力の定義を変更しょう  

(2017年12月7日)


1. 現在の力の定義

 国際単位系(SI)では、力1Nの大きさは質量1kgの物体に1m/s^2の加速度を生じさせる、と定められている。Wikipediaによると、(加速度の単位を間違えているが)次のように書かれている。

「1946年、国際度量衡総会 (CGPM) のMKS単位系で、1キログラムの物質に1m/s の加速度を生じさせる単位として認められ、1904年にブリストル大学のデビッド・ロバートソンにより提唱された「ニュートン」の名称が1948年に採用された。」

2. 力の定義が不適切

 定義は何をどのように決めようと間違いということにはならない。力の定義も「正しい」、「間違い」で判別することはできない。しかし、考えてみると現行の力の単位は極めて不適切なのである。何故ならば、力の物理を正しくとらえていないからである。

 SIの組立単位として長年使われてきた定義であり、誰も疑問を抱いてこなかった力の単位である。ニュートンの運動方程式を背景にしていることは明らかである。

 ニュートンの運動方程式とは、力をF、質量をm、加速度をα、で表した時の次式である。力は質量と加速度の積に比例する。比例定数は1として成立するように[kg]の数値を決めたものである。

                   F=mα      ・・・           (1) 

 この式を背景にして、力を定義していることが不適切であることは次の二つの事例で考えて見れば明らかである。

 ・ 質量mの物体に両側から力Fを作用させると、その物体は動かない。加速度はゼロである。つまり、(1)式は成立していない。

 ・ 東京タワーの鉄骨は全体で3600トンの質量があるそうである。すると重さは36メガニュートンにもなる。この重さを地面が支えている。力と力が釣り合っているので動かない。力はタワーの全体に作用していて、下の方ほど大きくなる。力が作用しているのに加速度はゼロである。

 このように地上にある物体はほとんど静止しているが力は常にあらゆる部分に作用している。これらのことから(1)式を背景にした力の定義は現実の物理に対して不適切であると言わざるを得ない。

 この定義が長く使われてきた理由は、質点系力学を最初に学ぶことにある。質点系力学ではすべての質量が1点に集中していると仮定して運動解析を行うものである。これなら現行の力の定義でも全く不都合はなかったのである。天体の運動解析で、海王星や冥王星の発見に大成功を収めてニュートン力学が不動のものになった。これらの歴史的背景もあって、今まで誰もこの定義の良し悪しを吟味しなかったのであろう。

3. 新しい力の定義

 力は物体に点や線で作用することはできない。必ず面を通じて作用する。つまり、圧力として作用するのである。従って、力は圧力と面積の積として定義することが良いであろう。

 1Nの力は1Paの圧力に1m^2の面積を乗じたものである。

 ただし、現在の圧力1パスカル[Pa]の定義が1平方メートル[m^2]辺り1ニュートン[N]の力とされているので、パスカルを基本単位に格上げする必要がある。

 また、大気圧が世界中のどこでもいつでも1気圧で不変なら大気圧を基準に取れば良いのであるが、大気圧は常時変動している。自然界に圧力の単位として適切な事象が見当たらない。

 代わりになりそうなのはフックの法則である。弾性体は力を加えると歪むがある力の範囲内ではこのひずみが力に比例するというのがフックの法則である。

 この法則を利用したものがロードセルやニュートンばね秤である。精度よく作れば力原器が作れるであろう。現在でも、力を測定するために加速度を測るようなことはしてはいない。

         ロードセル

 

4. 質量の定義 (参考)

 質量の定義はキログラム原器が廃止され新しく制定される途上にある。精度良く決める方策としては技術の進展に応じて常時見直されるべきであろう。

 しかし、単位は物理的な意味で決めるべきである。実際、現行の7つしかない基本単位の内の一つアンペアは物理的な意味から決められており実際に使える方法ではない。

 これに習えば、質量の物理的特性の第一は慣性があることを利用すべきである。慣性とは力に対して運動変化に抗する性質である。ここにニュートンの運動方程式が使える。

 1キログラムの質量は1ニュートンの力に対して1メートル毎秒・毎秒の加速度を生じる。

 この定義であれば、一つの物体に両側から同じ力が加わったときに動かないことも説明している。質量を組立単位に格下げすることに抵抗があるならば、基本単位のままにしておけばよい。現在の長さの単位はメートル原器を離れても基本単位のままになっている。物理的ない意味では既に長さは組立単位であり、速度が基本単位である。

(了)


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