重力消去が局所に限られる理由  

(2011年4月22日)


 夢の技術であった重力消去は自由落下を続ければ良いだけだから既に実現されていると言える。国際宇宙ステーション(ISS)で活動している宇宙飛行士は無重力を謳歌している。

 理論物理学者は重力消去が実現できるのは局所系に限られると言う。これには二つの理由がある。

 (1)重力場が放射状であること。
 (2)重力加速度の大きさが距離の逆二乗則になっていること。

 (1)の理由は地球の重力場なら、重力の方向が地球の重心方向であるということ。従って、非常に大きな宇宙ステーションを想定すると、その両端の重力場の方向が平行でないということであり、正しく重力の方向に自由落下できないということである。このため、この宇宙ステーションには水平方向に圧縮応力が発生することになる。

 (2)の理由から、やはり非常に大きな宇宙ステーションを想定すると、地球に近い側は重力加速度が大きく、遠い側は反対に小さい。つまり、宇宙ステーションの重心が自由落下する速度より地球に近い側では早く落下しなければならない。遠い側では逆に遅く落下しなければならない。これらが拘束されて重心の落下速度にされるので、宇宙ステーションの上下方向に引き張り応力が発生する。

 1994年、シュメーカー・レビ第9彗星が木星に衝突する直前にばらばらになった理由は(2)による。通常、(2)の効果は潮汐力とも言われている。地球の表面では太陽の重力の方が月の重力よりもずっと大きいが、潮汐力としては月による力の方が大きい。


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