重力の性質

(平成22年4月27日)

1)地球のように大きな質量の物体は周りに重力場を作る。
 
もちろん大きな質量に限りません。小さな質量では測定できないほど重力場は小さいものです。
 万有引力が発生する説明には重力子の交換説と重力場説があります。後者を取るものです。

2)均一な重力場にある物体は、その運動が妨げられないならば、その物体には重力は働いていない。
 
地球が作る重力場では高度により差ができます。しかし、宇宙ステーションぐらいの大きさなら微々たる差しかありません。運動を妨げられない物体には何の力も働いていないことはどの部分にも応力が発生していないことから判ります。

3)重力場にある物体は運動を妨げられた時にその物体に重力が現れ、運動を妨げる力(外力、または反力)と釣り合う。重力場による力(重力)は反力の存在があって発生する。
 力というのは相手があって始めて出るものです。「暖簾に腕押し、糠味噌に釘」とは力が入らないことの例えです。
 完全に静止している状態にあることが判れば、反力を検知することによりその場所の重力を知ることが出来ます。つまり物体を地上に置いたときに重力に釣り合う反力を床から受けます。

4)慣性とは質量のある物体が静止しているものは静止のまま、速度のあるものはその速度のままでいようとする物体に備わった性質をいう。物体の速度を変えるのに必要な力を慣性力という。
 慣性の法則がニュートンの第一法則です。力の大きさを決めているのがニュートンの第2法則です。

 力は点や線で作用させることはできません。力を点で作用させるということは、錐で何かを突くようなものです。相手は穴が開いてしまいます。力を線で作用させるということは、包丁で何かを切るようなものです。相手は切れてしまいます。力を作用させるためには面で作用させることが必要です。つまり力は2次元的に分布させることが必要です。

 

 ところが、重力だけは力が質量に比例しますので質量の分布に比例して加わるのです。つまり重力は3次元的です。そして、慣性力もまた質量に比例して分布しますから、3次元的です。

 

 重力により自由落下している物体は重力と慣性力が微視的レベルで釣り合っているから力が働かないのであるという説明も成り立ちそうです。しかし、これは考えの上でのことで具体的に観察できることではありません。

 

(重力安定衛星)

 スペースシャトルが宇宙に運んで放置したLDEFという衛星は姿勢制御装置を何も持たずに常に一つの面を地球に向けた状態でした。これは地球の重力傾度を利用した姿勢安定の方法を採用したものです。LDEFの重心より下の部分は地球に引かれるのに少し抵抗しています。逆に上の部分は慣性力が生じるほど早く落ちています。LDEFの重心では重力場に見合う落ち方をしているのですが、内部に引き張り応力が発生しています。2)で均一な重力場というのは実際にはないのですが、小さな衛星では均一とみなせるというものです。

 

(万有引力の性質)

 万有引力は物体の内部でも作用しますから、物体自身も中央に収縮する力が働いています。しかし、万有引力は電気力に比べると桁違いに小さい力なので、物体が地球のように大きな物でない限り、物体自身の万有引力による収縮応力は無視できるものです。(自己重力は小さな物体では無視できる。)

 

(太陽の重力を感じない私たち)

 地上にいる私たち人間は地球の重力を感じます。エレベータに乗ったり崖から落っこちたりするときでしょうか。毎日のことなので意識しないぐらいです。それは地球の重力場が命ずる自然な動き(自由落下)にいつも反抗しているからです。
しかし、私たちは地球と共に太陽のつくる大きな重力場にいることも確かです。それなのに太陽の重力を感じることはありません。太陽の作る重力場に対してはその命ずる動き(太陽への自由落下)に何も逆らっていないからです。

 この説明ははったりです。地球は太陽から1億5千万Km離れていますので、地球の位置で太陽の重力場は地球周辺の地球の重力に比べると桁違いに小さくて直接検知できるようなものではありません。

 

(等価原理の間違った説明)

「一般相対性理論は慣性力と重力を結び付ける等価原理のアイデアに基づいている。等価原理とは、簡単に言えば、外部を観測できない箱の中の観測者は、自らにかかる力が、箱が一様に加速されるために生じている慣性力なのか、箱の外部にある質量により生じている重力なのか、を区別することができないという主張である。」
 箱が一様に加速されるのが重力ならば、それがどれほど大きくても箱の中の人は無重力状態でしょうし、外力で加速されているのなら箱の中の人は壁に押し付けられますからすぐ判ります。箱の中の人は外力が加わっているか否かを区別できるのです。力が加わっていないとき外の景色が見えれば、本当に何も力が加わっていないのか、重力場で自由落下しているかの区別はできるでしょう。なお等価原理は「慣性質量と重力質量は区別できない」というものです。

(了)

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