ニュートンの早合点2  

(2013年10月22日)


  (1)加速度がゼロでないのに速さ変化していない例
 今、太陽を回る惑星の軌道が円であったとする。この惑星と太陽の質量はいずれも中心に集中しているとして、その中心間の距離をrとする。円軌道であるということはrが時間により変化しない、つまりr=一定、ということである。この惑星の速度をvとすると、v=一定、でもある。この惑星の動径に直角方向の速度は一定であって加速度もゼロである。ところがこの惑星が円軌道であるということは、動径方向の加速度が太陽の方向にv^2/r であることが幾何学的に求められる。
 円軌道を取る惑星は動径方向の加速度がゼロでないのに速さが変化していない。

 (2)速さが変化しているのに加速度がゼロの例
 今、太陽を回る惑星の軌道が楕円であったとする。この惑星と太陽の距離rは常に変化しているから動径方向の速度はゼロでない。動径方向の加速度も変化していてゼロではない。
 一方、この惑星が太陽に近い近地点の付近を通る時は速く、遠地点付近を通る時は遅い。これはケプラーの第2法則である面積速度一定の法則からも明らかである。つまり、動径に直角方向の速度は変化している。ところが、動径に直角方向の加速度は常にゼロなのである。(ref.「力の本質を決める逆二乗則」、荒木不二洋、別冊数理科学、サイエンス社、1995年)
 楕円軌道を取る惑星の動径に直角方向の速さは変化しているのに加速度はゼロである。  

 (3)ニュートンの早合点
 ケプラーの三つの法則から楕円軌道を取る惑星は動径に直角方向の加速度はゼロであり、動径方向の加速度gはg=GM/r^2であることが導ける。ここでGは万有引力定数でMは太陽の質量である。ニュートンはこの加速度に惑星の質量mを乗じて、太陽と惑星万有引力  F=GMm/r^2で引き合っているとした。
 質量mの物体が加速度gで運動していれば、力mgが加わっているとしたのはニュートンの早合点である。万有引力が力である証拠は何もないから、mgは見かけの力と言わざるを得ないのである。

 (4)フックの法則における同様の例(参考)
 フックの法則とは応力と歪が比例することを示している。
 σ:応力
 γ:歪
 フックの法則: σ=Eγ
 E:ヤング率(材料の種類で決まる定数)

 応力が生じているのに歪がゼロ:
 材料の伸びを抑制して熱を付加すると歪はゼロでも応力が発生する。これは熱応力である。
 歪が生じているのに応力がゼロ:
 材料の伸びを自由にして、熱を付加すると応力はゼロでも歪が発生する。これは熱歪である。

(了)


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