ロボットもどきソフビ

R-001 サンダーZ
体高:24センチ
メーカー不明
ある意味オリジナル?
悪者みたいなマスクが素敵。

これをパチモンと呼ぶかどうか、意見の分かれるところかもしれない。袋タグに堂々と記された「サンダーZ」に原作があるわけではない。おそらく正規のルートを通じた販売もなされたのだろう。「ST」マークの交付も受けている。けれど、これ、どう見たって永井豪原作の『グレートマジンガー』(昭和49年9月〜フジテレビ系で放映)のパチソフビ。名前の「Z」はその前作『マジンガーZ』の「Z」だろうし……。
どこにもメーカー名が記されていないのも、やましいからに違いない。パチモンと認定したい。
全体の造形はグレートマジンガー的だが、どこか悪者みたいな顔立ちで、力およばずって感じがして、いい。足下にあるのは添付の剣だけれど、手はグーのままで持つ構造にはなっていない。


R-002 ロボット刑事もどき
体高:15センチ
メーカー不明/怪獣ニューシリーズ
ミニサイズながら、
造形師の腕が光る秀作!

石ノ森章太郎原作。昭和48年4月からフジテレビ系列で放映された。レンタルロボットを使って悪事を働く犯罪組織RRKK(レンタルロボット株式会社)と闘う、警視庁所属のロボット刑事という設定。その名を「K」という。
やはり石ノ森によって考案され、同47年からNET(現テレビ朝日)で放送された『人造人間キカイダー』に似た風貌ながら、仮面ライダーの延長線上にあったキカイダーに対して、ロボット刑事はよりヒューマニズム路線(?)が際立った作品だったように覚えている。
写真はミニサイズながら完成されたフォルムと彩色を誇る上質のパチソフビ。袋タグから、作品ナンバー0402のウルトラマンエースもどきと同メーカーの商品と考えられる。


R-003 マッハバロンもどき@
体高:14センチ(手先まで)
メーカー不明/透明怪獣シリーズ
両手を上げて「休め!」
の姿勢は疲れそうで……。

放映タイトルは『スーパーロボット マッハバロン』。レッドバロンの放映打ち切り後、約半年を経た昭和49年10月から、やはり日本テレビ系列で配信された。
同じく「バロン」を名乗り、赤を基調にしたカラーリングも共通することから、レッドとマッハは兄弟番組と思われがちだが、ストーリーに継続性はなく、制作会社も異なる。レッドの制作は宣弘社。対してマッハを手がけたのは日本現代企画である。
写真は「透明怪獣シリーズ」の一作。シンプルなレッドバロンに、マジンガーZのコテコテ観を加味したようなマッハバロンの造形をよくとらえているが、左右の脚の長さが違うため、自立できないという致命的な欠点を抱えている。


R-004 レッドバロンもどき
体高:36センチ
メーカー:ブルマァクもどき
ブルマァクのロゴまでパチった、
あざといだけのトンデモパチモン。

放映タイトルは『スーパーロボット レッドバロン』。昭和48年7月から日本テレビ系列から配信された。制作は『シルバー仮面』や『アイアンキング』で知られる宣広社である。身長40メートル、重量150トンの巨大ロボットの操縦は頭部内に乗り込んで行う。操縦できるのは科学秘密捜査(SSI)隊員の紅健ただ一人。健の「レッドバロン 出動!」の声にしか反応しないのだ。昭和48年当時から、すでに原作者の頭の中には声紋判定の概念が出来上がっていたということか。
袋タグにブルマァクのロゴマークが記され、NTVの承認シールが貼ってある。また、ソフビの足の裏には刻印も。しかし、ブルマァクのロゴは不明瞭で、足裏の刻印もいびつだ。キャラクターばかりでなく、メーカー名までもパチった商品であることは明らかである。それも、ブルマァク製品がプレミア付きで売買されるようになって以降の商品と推察される。愛嬌も何もない、売らんがためのトンデモ商品だ。


R-005 ゲッターロボもどき
体高:12センチ
メーカー不明
顔色は悪いけれど、
胴長・4頭身が愛らしい。

昭和49年4月からフジテレビ系列で放送されたテレビアニメ。原作は永井豪および石川賢人の2人が担当した。ゲッターマシンとよばれる三機の飛行機が合体して、3種の巨大ロボットに変身する。
ゲッター1は飛行できる唯一の形態で、ゲッタビームやゲッタトマホークなど豊富な武器を持つ。ゲッター2はドリル型の腕を持ち、地上戦・地中戦を得意とする。ゲッター3にはキャタピラがあり、水中での戦い等で活躍、ゲッターミサイルを放つことができる。
写真はゲッター1と思しきパチモン。ポピー製のミニソフビに酷似した商品があるが、写真の方が細面で腕が長い。
なお、変身ヒーローもどき・作品ナンバー0205仮面ライダーアマゾンとともにパッケージされていたロボソフビは、ゲッター2がモデルと思われる。


R-006 マジンガーZもどき
体高:15センチ
メーカー不明/怪獣ニューシリーズ
社長自ら絵筆を振るった(に違いない)、
まわしを着けたアニメヒーロー。

鉄人28号と並んで巨大ロボットを代表するアニメキャラクターである。原作は永井豪、製作は東映動画。リモコンで遠隔操縦するタイプの鉄人に対して、マジンガーZは、飛行体・ジェットパイルダーを操る主人公・兜甲児(かぶとこうじ)が、頭部に合体してコントロールする。人間が乗り込んで操縦するという斬新なアイデアは、「勇者ライディーン」「コン・バトラーV」など、後に続々と誕生するロボキャラに受け継がれ、「機動戦士ガンダム」で、乗るのではなく着るモビルスーツとなって結実した。
写真は作品ナンバーK-002の秀作・ロボット刑事もどきと同じ、「怪獣ニューシリーズ」の一作。フォルムはまずまずだが、着色はすべて手塗りで粗っぽく、とても同じメーカー製とは思えない。腰回りなど、まるで力士のまわしだ。きっと、有能な造形師がヘッドハンティングされたのだろう。社長は「君ならどこでだってやっていける。わしが太鼓判じゃ。頑張ってくれよ、なぁ山田くん(仮名)」。そう言って泣く泣く送り出したに違いない。それで、山田くんの置き土産に、絵心のない社長が自ら筆をとったのだろう。


R-007 ジャイアントロボもどき
全長:28センチ
メーカー不明
ロータスかウィリアムズか?
大英帝国のレースカーに乗った巨大ロボ。

 昭和42年10月からNET系列で放映スタートした巨大ロボット特撮。原作は鉄人28号の横山光輝。
 ジャイアントロボは、ギロチン帝国の秘密結社BF団が地球制服を目的につくった戦闘兵器だが、音声で操作する腕時計型リモコンが科学防衛組織ユニコーンの少年隊員・草間大作の手にわたったことで、平和を守る正義の味方ロボとなる。草間少年の「ゆけ!ジャイアントロボ!」の声に、「ヴァッ」との声(機械音?)を発して反応する。そのマスクはスフィンクスがモデルといわれる。
 写真は、憧れのジャイアントロボと、これまた憧れのレーシングカーをミックスすることで少年心をとらえようと試みたと推察されるパチモン。いまではフォーミュラカーの呼称が定着したが、当時はレーシングカー、略してレースカーだった。
 体長30メートルの巨大ロボが乗り込めるということは、全長20メートル・全幅10メートルはあろうかと思われるレースカーである。「どこを走るのか?」とか、ジャイアントロボは「そもそも空を飛べたはず」といった大人の検証は、しますまい。


R-008 勇者ライディーンもどき
全長:14センチ
メーカー不明
知る人ぞ知る“ガンダム”の前身。
左手の人差し指に、ぜひ、注目!!

 ツタンカーメン的なマスクに鎧のようなボディー、そしてベルボトム調の脚線美……勇者ライディーンの容姿には、どこか血筋の良さが漂っていた。
 昭和50年4月から1年間わたってNET(現・テレビ朝日)系列で放映。骨太タッチで描かれたマジンガーZに対して、ライディーンのそれはか細く、はかない。作画監督を担当したのは『機動戦士ガンダム』の安彦良和である。敵役プリンス・シャーキンのデザインと名前が、ガンダムのシャーに受け継がれたのはいうまでもない。ロボットアニメながら、女子に人気を博した点も共通している。
 写真のパチソフビ、よく見ると、左手の人差し指が立っている。弓を引いて相手を射倒すゴッドゴーガンはライディーンならではの必殺技だが、そのとき、前方に突き出して弓を支えた左手の人差し指が、たしか……立っていた。


R-009 電人ザボーガーもどき
全長:14センチ
メーカー不明
人間サイズの犯罪捜査ロボットは、
オートバイに変身しちゃうんだゼ!

 昭和49年4月からフジテレビ系列で放映スタート。原案は「うしおそうじ」である。
 スペクトルマンがウルトラマンを連想させたように、うしお特撮には、常に二匹目のドジョウをねらった二番煎じ観がつきまとっていた。ライオン丸は変身忍者“嵐”、タイガーセブンは仮面ライダー、そして電人ザボーガーはロボット刑事……ライオン丸の放映開始日は変身忍者“嵐”のそれより数日早いにもかかわらず、嵐が先でライオン丸が後、そんなイメージがつきまとうのである。後にコミカルロボット路線を築いたロボコン(原作・石ノ森章太郎)も、「冒険ロックバット」という作品でちゃんと煎じている。
 ザボーガーは犯罪捜査ロボットである。サイズは等身大。その設定はどこまでもロボット刑事的だが、見るからに巨大ロボット然とした風貌に、ブレザーやハンチングは似合わない。生身の体で闘い、時にオートバイに変身して、秘密警察・大門豊の足代わりとなった。
 写真のパチソフビは、色味においては実物をほぼ再現しているが、細身の体、丸味を帯びた顔が人間的で、ロボットというよりも、顔にペインティングしたミイラ男のようだ。


R-010 マッハバロンもどきA
全長:15センチ
メーカー不明
細部にわたる配慮を、
無駄とはいわないで……。

 まっ、こんなもんか的な作品が目につくパチ・ミニソフビの中にあって、造形的にはまったく捨て鉢観の見いだせないマッハバロンである。目と腰回り以外、オレンジ色のソフビが剥き出しであるため見づらいが、胸部、手の甲、下腹部、爪先などの凹凸が見事に再現されている。それに、テレビの中の実物は、中に人間が入ることを考慮するとこうなってしまうんだ的な四角い顔、ずんどう体型、がに股が目についたが、写真は、その言い訳部分をすべて払拭した、うりざね顔、逆三角形の体型、ベルボトム調の脚線美を実現している。この造形師、かなりの凝り性とみた。
 決してうまくはないが、オリジナル怪獣2頭をあしらった袋タグ(ヘッダー)のローセンスな絵柄も、手づくり観があって、いい。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』

新ネタ順次追加予定……
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