怪獣もどきソフビ

K-001 レッドキングもどき
体高:23センチ
メーカー不明
つくりの荒っぽさで、
本物以上の怖さを演出。

ゴジラが怪獣の代表であり続けられるのは、その初演作が特撮映画の創成であったことに加えて、見るからに怪獣らしいフォルムを忘れるわけにいかないだろう。時代を超えて人の記憶に残る怪獣は、どれも、これ以上手の施しようがないと思えるほど、完成されたフォルムに身をつつんでいるものだ。
初代『ウルトラマン』に登場した怪獣の中で、記憶に残るといえばレッドキング。バルタン星人やゴモラの完成度も高かったけれど、ウルトラマンが苦戦するほど強かったという意味においても、レッドキングは記憶に残る。
写真はおもちゃメーカー・ブルマァクのライセンスソフビにそっくり。同社ソフビから型を取ったのかもしれない。
素材は液体洗剤の容器と同じポリエチレン。写真のみどりポリのほかに赤いポリ作品も確認されている。
随所に見られる色ハゲは、購入当初からこんなだったような気がする。



K-002 キングミウラ
体高:17センチ
メーカー:ミウラ
これぞ、デフォルメ&
パロディー路線のきわみ。

ゴジラの好敵手といえばキングギドラだ。昭和39年公開の『三大怪獣 地球最大の決戦』(東宝)ではゴジラほかモスラ、ラドンを相手に闘い、それでも負けないくらいに強かった。おそらく、映画史上最強の怪獣だったのではないだろうか(2001年の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』(東宝)ではゴジラにやられちゃったようにも見えたけれど……)。
写真はそのキングギドラ……では、ないな。何が違うって、首が2本しかないゾ。キングギドラは三首龍のヤマタノオロチをモデルに創造された怪獣だったはずだ。
だからキングミウラ。足の裏に制作メーカーと思われる「ミウラ」の刻印を見つけてそう命名した。パチモンというよりもパロモン(パロディーモンスター)かな、これは。



K-003 ペギドラス
体高:20センチ
メーカー:マルサン(推定)
新生マルサン移行期の生産か?
ペギラ的な半オリジナル怪獣。

その名「ペギドラス」は仮名である。ウルトラマンにもゴジラにも、こんな怪獣の記録はない。その頭部がマルサンのオリジナル怪獣・ドラギラスに、腹部と翼がやはりマルサン製のペギラに似ているため、そう名づけた。
ソフビ怪獣で一時代を築いたマルサンは、設立当初はマルサン商店といい、壊れないブリキのおもちゃや、日本で最初のプラモデルを生産したメーカーとして知られる。ウルトラQにはじまるライセンスソフビの生産を開始したころには社名を「マルザン」に改称。ところが、事業拡大がもとで1968年に倒産し、ソフビの金型はブルマァクに引き継がれることになる。翌69年には再生を果たし、オリジナル怪獣ソフビの生産をはじめるのだが、再生前のわずかな期間に、社名を伏せて、いくつかの怪獣ソフビを生産していた形跡がある。
写真は、その再生までの間に作られたソフビで、足の裏の凸凹はメーカーや怪獣の名を記した刻印を消したものと思われる。



K-004 ゴモラもどき
体高:19センチ
メーカー不明
ただならぬ職人技が冴える、
ライセンスソフビに劣らぬ作品。

ゴモラは『ウルトラマン』(昭和41年7月〜TBS)の第26・27話に登場した古代怪獣で、1億5千年前に棲息していた恐竜ゴモラザウルスが眠りから覚めたとの設定。その完成されたフォルムは、レッドキングと並んで記憶に残るジス・イズ・カイジュウだった。
実写版ウルトラシリーズが、『ウルトラマンレオ』を最後に一応の終焉を見たのが昭和50年。待望の新作は同55年の『ウルトラマン80』まで待たなければならなかったが、その第22話ではゴモラもゴモラUとして復活し、往年の怪獣ファンを喜ばせた。
写真は、本来は1本の鼻上のツノを2本に、また後頭部にも1本のツノを加えながらも、その最大の特徴である頭部両サイドに備えた三日月型のツノをしっかりと踏襲したことで、ゴモラのイメージを壊すことなく造形されたゴモラもどきである。
レンガ色の素材をメタリックブルーで覆い、顔面にモスグリーン、爪先等にシルバーを施したカラーリングが素晴らしい。造形師のただ者でない職人技を余すところなく披露した秀作である。



K-005 ジャイアントゴジラもどき
体高:31センチ
メーカー不明
大きいことはいいことだ!
ポリエチレン製の廉価版(?)ゴジラ。

昭和29年3月、アメリカがビキニ諸島で行った水爆実験で、日本の遠洋マグロ漁船・第五福竜丸が被爆。同年9月、久保山愛吉船長は「原水爆の犠牲者は私を最後にしてほしい」との言葉を残して亡くなった。広島・長崎の記憶も新しい当時のこと。日本国内で反核運動が高まったのは言うまでもない。
そんな時代に製作されたのが『ゴジラ』(東宝)だ。ゴジラは核の申し子。核抑止力というまやかしの論理を、映像で喝破して見せたアンチテーゼ映画である。
ジャイアントゴジラとは、その名の通りジャイアントサイズのゴジラソフビのこと。ライセンスものは昭和40年にブルマァクから発売されたが、1700円と当時としては高額で、生産数も限られていた。写真はそのパチモンで、素材はポリオエチレン。おそらくブルマァク製品から型を取ったのだろう、造形がうり二つだ。
いま、この地球上には、一瞬にして67億の人類を滅ぼすほどの核爆弾が存在するという。それも何十回も。1回で終わってしまうというのに……バカな話である。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』

新ネタ順次追加予定……
トップページに戻る...