ウルトラマンシリーズ

0401 ウルトラマンもどき@
体高:25センチ
メーカー:マルヨシ/DELUXE TOY
仏のようなご尊顔に、
合掌!!

昭和41年7月からTBS系列で放映スタートした、巨大変身ヒーローの先駆け。正義の味方の代名詞として、老若男女を問わず知れわたったその知名度は驚異的ですらある。同46年4月から放映された『帰ってきたウルトラマン』と区別して初代ウルトラマンと呼ばれることもあるが、ウルトラマンの先にも後にもウルトラマンがあるはずがなく、ここは「帰ってきた〜」の方を「帰りマン」と呼ぶことで統一したい。
写真はそのウルトラマン風人形である。バミューダパンツ的なタイツ模様が帰りマンとの違いを主張している。
素材はポリエチレンで彩色もなく、悲しいくらいにチープだが、その顔、いやご尊顔を見てほしい。まるで仏のようで、思わず手を合わせてしまうほど、ありがたい。
封入されていた袋のタグには、おそらくメーカーの名前だろう、「マルヨシ」と記されている。



0402 ウルトラマンエースもどき@
体高:30センチ
メーカーメーカー不明/怪獣シリーズ
ライセンスソフビがモチーフ。
造形師の腕が冴える上出来ソフビ。

『帰ってきたウルトラマン』の後続番組として昭和47年4月から放映。怪獣よりも強いとされる超獣と数々の名勝負を演じた。責任感の固まりのようなウルトラマン、イケメン路線のセブンに対して、どこか柔和で「いいとこのボンボン」的な風貌を持つエースだが、実は孤児で、ウルトラの父と母のもとで育ったという悲しい過去をもつ。
写真のエース風人形は、ライセンスソフビに劣らないハイレベルでバランスのいい造形を誇る。
ところがなぜか目の彩色だけは投げやりな手塗り。そこがパチモンであることを主張している。
マスク脱着式のブルマァク製ソフビをモデルにしたのだろう。後頭部の切れ込み線まで忠実に再現してある。



0403 ウルトラマンレオもどき@
体高:15センチ
メーカー不明/透明怪獣シリーズ
頭上の両手のグーとパーは、
ひとりジャンケン?

昭和49年4月からTBS系列で放映。同46年の『帰ってきたウルトラマン』を皮切りに続々とテレビデビューを果たしたウルトラ兄弟だったが、レオを最後に一応の終演を迎えることになる。
ウルトラマンはM78星雲で生まれた宇宙人だ。対してレオの生まれ故郷は獅子座L77星。つまりレオは、ウルトラマンから見ても宇宙人なのだ。ちなみに風貌が似通ったアストラはレオの弟にあたる。
写真のソフビをウルトラマンレオもどきと判別するには、それなりの熟練が必要かもしれない。何しろ色がねぇ〜。足元は給食のおばさんの長靴みたいだし……。でも、頭のかたちが、確かにレオである。



0404 ウルトラの母もどき
体高:16センチ
メーカー不明/宇宙怪獣シリーズ
柔和な顔とボディーライン。
でも、なぜゴジラで宇宙怪獣なの?

『ウルトラマンタロウ』の第1話でテレビ初登場を果たす(昭和48年4月6日)。一般にはウルトラ兄弟の母と理解されているようだが、実の子はタロウのみで、エースは養子で、セブンが甥っ子の設定。ゾフィー以下、他のウルトラ兄弟との血のつながりはない。しかし、その慈愛に満ちたまなざしや行いが、母と呼ぶに相応しいことは周知のとおりだ。
日本におけるキリスト教は、イエスその人よりも、母であるマリア様の慈愛の心に導かれて広まったとされる。今日にいたるまで、ウルトラシリーズが長く受け入れられている背景に、ウルトラの母の母性を指摘するのは考えすぎだろうか。
写真は、ゴジラの絵をパチった袋タグになぜか「宇宙怪獣シリーズ」とある。母の姿といかにも不釣り合いで、パチソフビ的だ。



0405 ウルトラマンエースもどきA
体高:15センチ
メーカー不明
この悪ガキ顔は、
養子縁組前の幼年期がモチーフか!?

みんな忘れちゃっているだろうけれど、帰って来たウルトラマンに続くヒーローがウルトラマンエースだと知って、当時、違和感を覚えた人は少なくなかったはずだ。ウルトラセブンがウルトラ“マン”セブンだったら格好悪い。「マンって、なんか余計」……そんな感じである。企画段階では、円谷プロも「ウルトラエース」を予定していたらしい。ところが、怪獣ソフビの老舗メーカー・マルサンが、すでに同名のオリジナルヒーローを生産していて、商標登録も済ませていた。それで急遽「マン」が追加されたという。
写真は、いかにもパチモン然としたエースである。作品ナンバー0402の紹介文に記した「いいとこのボンボン」とはかけ離れた、育ちの悪そうな顔立ちが気になる。もしかしたら、ウルトラの母・父と養子縁組を組む前の、幼年期の姿かもしれない。手塗りで、赤すぎるほど赤い彩色が痛々しい。全体に細身ながら前後に厚みのある胸板の造形や、ソフビの質感が他のパチ製品と異なる。同じ造形師の作と考えられる作品は、ほかに発見できていない。



0406 ウルトラマンタロウもどき@
体高:22センチ
メーカー不明
ライダーV3のパチ袋に入った、
ウルトラの国の最強戦士。

ウルトラマンエースの後を継いで、昭和48年4月からTBS系列で放映スタート。その怪獣は、大亀怪獣キングトータスとか、蝉怪獣キングセミラとか、百足怪獣ムカデンダーとか、とても分かりやすかった。なかでも思い出深いのは「もち怪獣モチロン」と「わんぱく宇宙人ピッコロ」。前者が餅つきの臼、後者がピノキオをモチーフにしていることは言うまでもない。「らくがき怪獣」とか、「食いしん坊怪獣」とか、「酔っぱらい怪獣」なんてのもいて、より低年齢の子どもをターゲットにしたという意味ではそれなりに一貫性はあったが、半面、ネタ切れ感も否めなかった。
写真はライセンスソフビといっても通用しそうな造形を誇る。特にマスクの雰囲気はブルマァク製によく似ている。しかし、両足がはめ込み式になっている同社製品に対して、こちらは腰から下は動かない造り。また、ソフビの素材色も微妙に異なる。ブルマァク製は濃いめのオレンジ色、写真は赤に近い。仮面ライダーV3が印刷されたあり得ない袋タグも、パチモンならではだ。



0407 ウルトラマンタロウもどきA
体高:16センチ
メーカー不明/怪獣ニューシリーズ
ソフビは間違いなくブルマァク製だが、
販売元は絶対違う! だって彩色が……。

ウルトラの母の項に記述した通り、ウルトラ兄弟の中で、母と父の唯一の実子がタロウである。頭ではなく耳あたりから突き出たツノは、父の血を受け継いだ証。そしてそれは、ウルトラの国最強の戦士であることを意味する。
さて、写真のソフビである。「おやッ!?」と思った人もいるはずだ。そう、紛れもなくブルマァク製である。真贋の証ともいえる足裏の刻印もある。だがしかし、その塗装があやしい。適当で中途半端で、すべて手塗り。ブルマァクが生産し出荷したとは考えられない。しかも袋タグは、ロボットもどきソフビ作品ナンバー3002の「ロボット刑事」と同じ、「怪獣ニューシリーズ」だ。
昭和47年にロボットアニメ『マジンガーZ』が大ヒット。後にさまざまなロボットキャラが誕生し、子どもの関心を未来に誘う。併せてポピーがロボットとの相性に優れた超合金人形を発売し、ソフビ人形を凌駕する人気商品となる。そんな時代の流れの中で、昭和52年、ブルマァクはおもちゃメーカーとしての使命を終えた。写真は、ブルマァク生産の売れ残り未完成品が、倒産後に買い叩かれてパチメーカーにわたり、塗装されて出荷された昭和の遺産ではないだろうか。



0408 ウルトラマンレオもどきA
体高:23センチ
メーカー不明/透明怪獣シリーズ
生気のない顔色と表情、
足元の長靴観は0403と同じ。

 ウルトラマンとともに地球を守ったのは科学特捜隊。セブンはウルトラ警備隊で、帰りマンがMAT(MONSTER ATACK TEAM)、エースがTAC(TERRIBEL MONSTER ATTACING)で、タロウがZAT(ZARIBA OF ALL TERRITORY)、そしてレオの代にはMAC(MONSTER ATTACKING CREW)を名乗った。MACである。カタカナで書くとマック。大阪で言うところのマクドみたいだ。
 ウルトラマンの活動時間3分はよく知られるが、レオのそれが2分40秒であることを知るのはマニアに違いない。
 写真は作品ナンバー0403のサイズ違い。体高23センチとミドルサイズである。前出が4頭身であるのに対して、こちらは6頭身とスマートだが、「これのどこがレオよ!」とツッコミを入れたくなる作風は同じだ。



0409 ウルトラマンもどきA
体高:29センチ
メーカー不明
マルサン製のウルトラマンには
「イヤ〜まいった」ポーズがよく似合う。

 科学特捜隊員といえばウルトラマンのハヤタ隊員だが、主役を喰う存在感で活躍したのが、熱血漢・アラシ隊員である。演じたのは「ババァ、生きてか。ガハハ」の毒舌でお馴染みの毒蝮三太夫。当時は石井伊吉の芸名を名のっていたが、『笑点』の座布団運びに抜擢されたのち、司会の立川談志から「正義の味方が座布団運びはおかしい」とのアドバイスを受け、毒蝮に改めたという。石井(毒蝮)のはまり役はウルトラセブンにも受け継がれ、ウルトラ警備隊のフルハシ隊員役としても活躍した。
 写真は、造形、ソフビの質感ともに、怪獣ソフビの老舗メーカー・マルサン製によく似ている。体高も同じだから、同社製品から型を取ったに違いない。
 片手を腰に、もう一方を後頭部にそえると、カトちゃんの「イヤ〜、まいったマイッタ」ポーズになることに、気づいてしまった……。


参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』