スペクトルマンもどき

0101
体高:32センチ
メーカー不明
目のつけどころが違う!
一峰大二作画似のパチヒーロー。

昭和46年1月からフジテレビ系列で放映されたスペクトルマンは、第2次怪獣ブームの先駆けとなった特撮ヒーローである。
そのキャラクターは、円谷英二とともに日本の特撮の創成を担った「うしおそうじ」による。意匠権もうしおが設立したピー・プロダクション所有。ライセンスソフビとしては増田屋製が有名だ。
対してここに紹介するスペクトルマンのフォルムは、一般に知られたそれとはずいぶん異なる。テレビ版しか知らない人には、スペクトルマンであることさえ疑わしく思えるだろう。
少年漫画誌『冒険王』などに連載されていた一峰大二作画による漫画版スペクトルマンがモチーフ。もちろん、ピープロ、フジテレビ等のライセンス表示や、メーカー名の刻印はどこにもない。



0102
体高:32センチ
メーカー:OJK/PLASTIC TOY(推定)
花瓶のようなマスクと、
鍛え抜かれたマッチョなボディー。

頭上の突起はちょんまげか? トサカか? 先の漫画バージョンと同じキャラクターとはとても思えない、妖しさ満点のパチ人形である。
大人になった「荒野の少年イサム」(昭和46年〜『少年ジャンプ』連載・川崎のぼる作画)のようなパンプアップされたマッチョなボディー。対して脚の筋肉は発達途上で、まるで長靴をはいた幼児のようだ。それに、頭上の突起のせいか、妙に胴長なのも気になる。
目映いまでのゴールドが物語るとおり、素材はポリエチレンである。その割にチープ感がないのは、自信に満ちたマッチョな肉体が放つ存在感のお陰だろう。
ウルトラマンのライバルにはなりきれなかったが、パチモンワールドでは、スペクトルマン、侮るなかれ! である。



0103
体高:24センチ
メーカー不明/Special Toys
胸を張り威張ってみせた、
老けた子ども顔のスペクトルマン。

こちらもポリ製スペクトルマン風である。両手を腰に当て、胸を張って威張ってみせるが、どこかしまらないのは素材色のせいか? シルバーというよりもねずみ色、ベルト中央の赤が痛々しい。それに、顔が…どうも。よく見ると瞳が突起していて、ちょっとキモイ。
体の線もずいぶん細い。腕や脚のスーツのしわがテレビ版スペクトルマンもどきであることを物語るが、造形的には失敗作といっていいだろう(そこがパチっぽいのだが……)。
ちなみにテレビのスペクトルマンは、当初は『宇宙猿人ゴリ』というタイトルで放映され、それが『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』に変わり『スペクトルマン』に改められた。



0104
体高:29センチ
メーカー/mk
チープ観・横綱級の
OMIYAGEヒーロー。

 パチモンを語る上で欠かせない要素に製品のチープ観があるが、これ以上ないほどのチープ観を醸し出しているという点で、写真は他の追随を許さない。全体の造形はもちろん、素材も、配色も、昭和の大らかな貧しさが満ち満ちている。それでいて一目でスペクトルマンとわかるのだから、パチモン界の横綱級に位置する作品といっていいだろう。
 たしか、これととてもよく似た造形の月光仮面を見た記憶があるが、残念ながら入手できていない。  袋タグには欧文で“OMIYAGE”とある。「おみやげ」でも「お土産」でもなく、OMIYAGEである。製作会社の社長の知性がにじん出ている。また、菱形マークのセンターに“mk”と印字されている。おそらくメーカー名前だろう。“k”は株式会社か、工業か? “m”はいろんな製品を手がけているという意味で「マルチ」かな? もしも、目的のためには手段を選ばないパチモンメーカーの理念を「マキアベリズム」の“m”で表現したのだとしたら、この社長、ただ者ではない。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』