シルバー仮面もどき

0801
体高:29センチ
メーカー不明
蝋人形のような、もの憂げな、
口もとが、悲しい……。

昭和46年11月からTBS系列で『シルバー仮面』のタイトルで放送開始。当初は等身大の変身ヒーローで、物語もどちらかというと地味め。宇宙人に殺された父の意志を継いで地球を守る5人兄弟の健気な家族愛が重く、人気もいまひとつといったところだった。
そこに限界を感じたのか、第11話から突然巨大化。番組タイトルも『シルバー仮面ジャイアント』に改められた。
写真は等身大当時がモデルと思われる。バンダイから発売されたライセンスソフビとまったく異なるフォルムに、造形師の意地がうかがえる。蝋人形的な口まわりともの憂げな表情など、造形美においてはこのパチソフビの方が優れている。写真にはないが袋タグの絵柄はバンダイ製品にそっくりだ。
作品ナンバー0701のサンダーマスクと身体のフォルムが共通していることから、同じ造形師の作と考えられる。



0802
体高:16センチ
メーカー不明
色もフォルムも
中途半端で、合格!

おそらくシルバー仮面……なのだろう。頭部のシルバー以外、ひとつとして実物の色を再現していない。赤いベストはまるで救命胴衣のようだ。
左腕の曲がり具合から、何かを「しようとしている」、または「したあと」のポーズであることは確かだが、その何かが何なのか、想像をたくましくしてもさっぱり分からない。
そのペイントはすべて手塗りである。
とうちゃんが型を作り、かあちゃんが色を塗る、そんなつましい家族経営のおもちゃ工場を連想させる。きっと子だくさんで、わんぱく盛りの男の子が3人はいるはずだ。家事はすべてしっかり者の長女が担う。貧しいけれど、でも、幸せなんだ……。
昭和の風景がここにある。
同様のポージングのパチソフビとして、ほかに、バロム・1、アイアンキング、仮面ライダーなどが確認されている。


0803
体高:27センチ
メーカー不明
素材色むき出しのチープな出で立ち。
いくら名前が“シルバー仮面”でも、ねぇ。

 シルバー仮面の第1話『ふるさとは地球』と、第2話『地球人は宇宙の敵』の監督を務めたのは、ウルトラマンほか、映画やCM作品も多く手がけた故・実相寺昭雄である。
 実相寺が手がけたウルトラマンは、スペシウム光線などの飛び道具を使わないことで知られる。夢と現実が混濁したような演出は“実相寺マジック”といわれた。子ども向け特撮番組といえども、あくまで幻想の中のリアリズムを追求した、世間に媚びない映画人魂が垣間見える。
 写真は、そんな実相寺マジックなどどこ吹く風の、「よい子のおもちゃ」と化したシルバー仮面である。素材は見てのとおりチープ観満点のポロエチレン。封入された台紙に描かれた絵だけが少しだけリアルで、かろうじて救われる。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』