仮面ライダーもどき

0201
体高:29センチ
メーカー不明/GOOD TOY'S
石ノ森先生、
似すぎてて、ゴメンなさい。

作品ナンバー0101のスペクトルマンもどきと並んで、パチソフビを代表する作品がこの青い仮面ライダー風人形。漫画版(石ノ森章太郎作)がモチーフである点や、長くて細い手足、ひ弱な肉体などフォルム上の共通点も多く、同じ造形師の作品と考えられる。いずれにしても漫画本から飛び出したような出色の出来であることは誰もが認めるところだ。
マニアの間では古くから幻の名作として語り継がれてきた名作パチソフビである。
写真は生身のソフビだが、タグ(ヘッダー)付きのビニールが残っており、タグには「GOOD TOY'S おもちゃ」の文字とともに、不出来な西洋人形を思わせる子どもの絵が描かれている。



0202
体高:34センチ
メーカー:マルマン(?)/Special Toys
パチモンだけど、
それがどうした!

パチモンであることをまったく卑下することのない“威風堂々”とした立ち姿。腕や脚に再現されたスーツのしわが、昭和46年4月から放映されたテレビ実写版をモチーフにしたことを物語っている。素材は塩化ビニールではなくポリエチレン。そのためソフビ特有の肉厚な質感はない。また、着色も目、マフラー、ベルトに限られ、残りは素材色のゴールドがむき出しであるため、チープ観は否めない。
けれど、である。この体調30センチを超える威風堂々ライダーが、たとえば駄菓子屋、あるいは縁日の露天の軒先につり下げられている様を思い浮かべてほしい。子どもたちの目を釘付けにしたことは容易に想像がつく。ロケット、レースカー、怪獣と、男の子が好きなモチーフであしらった袋タグには「満」の字を○で囲ったロゴが。メーカー名はマルマンか?



0203 仮面ライダーV3もどき@
体高:24センチ
メーカー不明
マスクのグラデーションに、
こだわりました。

本郷猛(1号)と一文字隼人(2号)を超人(改造人間)化したのは世界征服をねらう悪者ショッカーだった。ところが昭和48年2月に放映スタートしたV3は違う。風見志郎を改造したのは、実は1号と2号の2人のライダー。両ライダーがそれぞれの力をV3にそそぎ込んだのはいうまでもない。V3とは、第3のライダーという意味に加え、本郷、一文字、風見の3人の力の結集を意味するのだ(と思う)。
写真のパチV3の体高は24センチ。ミドルサイズに属するが、腰から下が稼働しない点はミニソフビ的だ。また、首ははめ込み式であるため左右に動く構造だが、襟がジャマして可動範囲はとても狭い。まともに動くのは腕のみである。
淡いオレンジに彩られたマスクのカラーリングは出色の出来。反してベルトの作りと色遣いは投げやりで、いかにもパチっぽい。



0204
体高:27センチ
メーカー不明/よい子のおもちゃ
¥300也。
当時価格の記録を止めた貴重な一品。

仮面ライダー1号と推測される。大手おもちゃメーカーから発売された製品とそっくりのフォルムだが、こちらはソフビではなく厚めのポリエチレン製。マスクもはずれないし、靴も脱げない。
ベルトの模様は紙製のシール式になっている。ということは、つまり、この製品のためにベルトシールだけ印刷したということで、製作費は案外高かったかもしれない。
ブーツと手袋のペイントはとてもはがれやすい。安物塗料のせいだろう。
袋タグには「よい子のおもちゃ」と印字されている。
写真では見づらいが、「\300」と記された値札シールが残っていて、当時の貴重な記録を止めている。



0205 仮面ライダーアマゾンもどき@
体高:23センチ
メーカー不明/怪獣セット
得意技を表現した手のカタチ。
ロボとの関係性は不明。

仮面ライダーアマゾンは、昭和49年10月から毎日放送・テレビ朝日系列で放映。全24話は、ライダーシリーズの中では最も短い。そのフォルムはトカゲがモチーフとされ、必殺技はライダーキックではなく、敵に飛びかかり腕のヒレで切り裂く「大切断」。引っ掻きや噛みつきといった技(?)も得意とした。
写真は、細身ながらアマゾン特有の不気味な雰囲気がよくでている秀作パチソフビ。造形師はキャラクターを熟知していたようで、すべての指を開き、挑みかかり引っ掻こうとしているかのような手をうまく表現している。
となりのロボットはゲッターロボと思われる。アマゾンとゲッターロボがなぜセットなのかは不明。きっと、複数のソフビをパックすることで、割安感、買い得感を演出しようとしたのだろう。



0206 仮面ライダーアマゾンもどきA
体高:23センチ
メーカー不明/よい子のおもちゃ〜怪獣シリーズ
なぜ「透明」を消そうとしたのか?
推測が推測を呼ぶ、タグの痕跡。

「よい子のおもちゃ〜透明怪獣シリーズ」の仮面ライダーアマゾン風人形である。ただ、「透明」の文字を印刷段階で消そうとしたような痕がある。また、他のシリーズが15センチ前後のミニサイズであるのに対して、こちらは23センチと、ミドルサイズの仕上がりとなっている。その分作りも精巧だ。400円の値札シールが残っている。
なぜ「透明」を消そうとしたのだろうか。サイズ違いをシリーズ名でも表現しようとしたのか。いや、パチモンの宝庫といわれるまでの仕事に手を染めたメーカーが、サイズの違い程度でシリーズ名を変えるほどのこだわりをみせるとは思えない。
もしかしたら、あまりの粗製濫造に業を煮やしたライセンス発給者や契約メーカーに摘発され、「もう透明怪獣シリーズは作りません」と念書を書かされたのではないか。それで、「透明」を消して「怪獣シリーズ」にしようなんて剛毅な対応をしたのだとしたら、さすがだ。



0207 ライダーマンもどき
体高:25センチ
メーカー不明/透明怪獣シリーズ
パチモン造形師のマニアな性癖を物語る、
知る人ぞ知るサブヒーロー。

歴代のライダー群の中で、おそらく最も知名度に欠けるライダーだろう。「仮面ライダーV3」の第43話に初登場以来、生涯にわたってオリジナルシリーズを持つことはなく、脇役として活躍した。
仮面ではなく、半面を覆うだけのヘルメットを装着。そのため、変身後も口周辺は生身の人間が露出している。きっとご飯だって食べられるはずだが、もちろん、そんなシーンはない。
当初は、秘密結社デストロンのヨロイ元帥への個人的な恨みをモチベーションに闘っていた。後にはV3と共闘するが、武器といえるのは右腕に取り付けるアタッチメントタイプのカセットアームのみであるため、ひ弱さが目立ち、子どものヒーローとはなり得なかった。しかし、そのヒューマンチックな風貌はむしろ強烈で、「やけに気になる思い出」と語るライダーファンは少なくない。
いずれにしても、その存在そのものが相当にマニアックなライダーマンである。まさかパチモンが造られていたとは……やはりお前か!「透明怪獣シリーズ」。手当たり次第である。



0208 仮面ライダーもどき
体高:31センチ
メーカー不明/おみやげ
画一的大量生産のたまものか、
スペクトルマンと共有のマッチョボディ。

 写真を見て、「どこかで見かけたような……」と思った人はもう遅い。あなたはもう、後戻りのできないパチモンワールドに足を踏み入れてしまっている。そう、これは、本HP「変身ヒーローもどき」に掲載の、花瓶の頭を持つスペクトルマン(作品ナンバー0102)、そしてミラーマンの顔を持つマッチョヒーロー・ミラクトルマン(作品ナンバー1601)と金型を共有する仮面ライダーもどきである。
 金色に輝く腕と脚はスペクトルマンもどきと同じだが、あえてそうしたのか、赤く染められたボディーは、液体洗剤ボーナスの容器みたいな質感を放っている。
 あるんじゃないかなぁ……と思っていたら、「やっぱりあった!」、そんな感じである。しかし、まったく異なるヒーロー間で共有しても違和感がないとは……器用なボディーである。



0209 仮面ライダーXもどき
体高:15センチ
メーカー不明/透明怪獣シリーズ
葉っぱじゃないよ、マフラーだよ。
変わらぬ粗雑な彩色が魅力の透明ライダー。

 V3の後を受けて登場したのがXである。昭和49年2月から毎日放送系列で放映開始。それまでのライダーのコスチュームがグリーン基調であったのに対して、Xはシルバーというか、白っぽかった。当時、ライダーシリーズは、マジンガーZなどのロボットアニメに人気を奪われ、斜陽傾向にあった。それで、ロボ観というか、メカ観を出そうとしたなどという話もあるが、真偽は定かではない。
 テレビで一番印象に残っているのは、「セターップ! セターップ! セターップ!」の連呼ではじまるオープニングのテーマソングだ。セターップとはセットアップのこと。主人公・神敬介がXに変身する際のかけ声である。アニキこと水木一郎が発するとセタップとなる。
 写真のパチXの左肩から垂れ下がっているのは大きな葉っぱではない。マフラーである。



0210 仮面ライダーV3もどきA
体高:15センチ
メーカー不明
様にならない両手は、
空手の基本構えがモチーフか。

 おさまりの悪い両腕をいじっていてひらめいた。45度に曲げた左腕と伸ばし加減の右腕は、空手の基本構えをイメージして成形されたのではないか。結果、失敗したことは見てのとおり。脇を開きすぎたことが原因。そうやすやすとは思い通りにいかないのが人生である。その両腕と下半身の金型は、作品ナンバー0802のシルバー仮面、および同2002のアイアンキングと共有。頭部と一対の上半身だけがV3専用に造形されている。
 ちなみに、この様にならない空手構えのソフビシリーズは、どれも足が大きくてしっかりと自立する。体高15センチに対して足は3.3センチ。仮に身長を170センチと仮定すると、足サイズは37センチとなる。
 1号・2号のライダーがバッタをモチーフにしたことはつとに有名だが、V3のモデルがトンボであることはあまり知られていないようだ。この後の人生の役に立つとは思えないが、この際だから覚えておこう。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』