イナズマンもどき
1501
体高:15センチ
メーカー不明
両手を握りしめて、何を我慢するのか。
さびしげなイエローフェース。

「イナズマンとは、新人類と闘う自由の戦士である」
オープニングテーマのあとに、こんなナレーションが流れていたことを覚えている。
昭和48年10月からNETテレビ(現テレビ朝日)系列で放映された。原作は石ノ森章太郎。蝶をモチーフにしていることから、イナズマンになる前に、一度サナギマンにならなければいけないところが他の変身ヒーローと大きく異なる。これを2段変身または転身という。
しかし、サナギマンはカッコ悪かった。そして弱かった。
テレビ実写版のイナズマンは前身ブルーでスマートだったけれど、写真はなぜか黄色でずんぐり。着色も中途半端でいかにもパチだ。



1502
体高:16センチ
メーカー不明/怪獣ニューシリーズ
色はテレビ版に近いけれど、
無表情で無個性で、あぁ無情……。

イナズマンの敵が「新人類」だと聞いて、かつて流行語大賞を受賞した“新人類”を思い出す人は少数派だろう。1960年代前半生まれの世代を全共闘世代がそう呼び、三無主義(たしか無感動、無関心、無関係)などとも言われていた。
イナズマンの新人類とはファントム軍団という名の怪人組織の帝王であるバンパが建設を目論む新人類帝国で……くどいから整理しよう。ファントムとは怪人の総称で、その中にはアクマバンバラとかホネバンバラとかの怪人がいて、その親分が帝王バンバで、バンバの目的が新人類帝国の建設……余計に分かりづらいか!? 分かりづらさの要因は「ファントム軍団」と「新人類」の意味に違いが見いだせないからに違いない。
ところで、イナズマンの変身コールは「ゴゥォリキショーライ!」である。漢字で書くと、たぶん「剛力招来」。「一陽来復」とか「木っ端微塵」とか「日曜大工」とか、そんな言葉を連想してしまうのだが、どうか? 写真は先のイエローフェースの色違い作品。その顔は「無表情」で、全体的に「無個性」で、そして何だか「あぁ無情」……造形師は、三無主義の新人類世代か。


※参考文献:竹書房『超人画報』・同『ウルトラマン画報(上下巻)』