おさかな生態塾

第5回 〜ダイバーが目にする魚たちの社会行動 1〜

 
マツカサウオ
マツカサウオは堅牢なウロコで身を守っている

 
 ライセンスを取って間もない頃、どんな魚でも初めて見るもので楽しかった思い出があります。しかし、だんだん目が肥えてきてか、珍しいものばかりを追い求めていた頃がありました。そんなとき、ある本でホンソメワケベラのクリーニング行動を知ってから、身近な魚たちのさまざまな行動に目を向けるようになりました。ホンソメワケベラにとってのクリーニング行動は餌を食べる摂餌行動でありますが、それだけでなくみんながクリーニングを必要とするため、だれからも襲われない(例外はありますが)という、いわゆる防衛のための行動ともとれます。 

 そこで「おさかな生態塾」では次回からしばらくの間、海の生物たちの個々の生態ではなく一般的によく知られている社会行動を「ダイバーが目にする魚たちの社会行動」と題してご紹介していきたいとおもいます。 

 一般的によく知られている社会行動を以下に3つあげてみました。 

  1.摂餌行動 
  2.防衛手段 
  3.産卵行動 

 いづれの行動も生きていくためには欠かせないものですね。そのどれもが生きてゆくための知恵であり、その方法は進化の過程で取捨選択されて今に至っています。またその行動形態も非常に多岐にわたります。 

 そんな生物の多様性に富んだ地球はまさに宇宙の奇跡ではないでしょうか? 地球からちょっとはなれた火星ですら生物が見られないことを考えると、地球と太陽の位置というのは絶妙なバランスを持っているといえるでしょう。また、大気の厚さも気温を一定の範囲を保つのに重要な役割を果たしていると思われます。それは月を考えると明白で、大気がないために昼と夜の温度差がはげしく生物の生息環境にはなりえないのです。こんな特殊な地球をわたしたちは大切にしていかないといけないんだなぁとつくづく感じます...。 

 と話はそれてしまいましたが、身近な魚たちにも面白い社会行動がありますので、これを機会に海への興味をより一層深めてくれればと思います。 

(次回は「1.摂餌行動 その1」です)


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