Back to Basic

最終回 〜海にも川にも住めるさかな〜

 

 「さかなとはなんだろう」を合言葉にさかなについて「基本にかえって」勉強してみたいと思います。今回はとうとう最終回になりました。最後のテーマは海にも川にも住めるさかなについてです。 
 

〜海にも川にも住める魚〜

 海に住むさかなを海水から真水に入れると死んでしまいます。川に住むさかなを海に放せばやはり死んでしまいます。これが普通です。ところが海から川、川から海と住む場所をかえるさかながいます。この秘密をといてみましょう。 

 真水に住むさかなは水がいつもからだの中に入ってきます。反対に海水に住むさかなはからだの液がそれよりも濃い海水の方に出ていくのです。からだの中とからだの外にある液体の濃さが違えば違うほど水が出はいりするために押す力が大きくなります(これを浸透圧という)。さかなは濃さの違う水へ移る時はじん臓の働きで少しでも濃さの違いを少なくしようとします。 

 一生の間に海に住んだり川に住んだりするサケやマス..。これらのさかなはそろそろ川に登る時が来たり、海に下る時が来るとからだの中で支度を始めます。まわりの水とからだの中の液の濃さが急に違わないようにします。前もってからだの液の濃さをだんだんに変えておくのです。川へ登る時は薄く、海へ下る時は濃く。サケやマスはこのような調節をする力が大きいので海にも川にも住めるわけです。 

 海辺の潮だまりに住んでいるさかながいますね。これらもサケやマスのようにからだの液の濃さを調節する力が大きいのです。なつのかんかん照りのとき、潮だまりは水温があがり水が蒸発して濃い塩水になります。大雨の日などは水温も下がり薄い塩水になります。このような場所でちゃんと生きていけるのはやはりからだの液の濃さを調節する力が強いからです。 

 潮だまりに住むアゴハゼ、キヌバリなどを水槽で飼ってみます。だんだん塩水の濃さを薄くしていきます。すると、ほとんど真水に近い水で飼えるようになってしまいます。 
 

 

参考文献:学研の図鑑 「魚」 (学研)