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第4回 〜ひれの変わった働き〜

 

 

 「さかなとはなんだろう」を合言葉にさかなについて「基本にかえって」勉強してみたいと思います。今回はさかなのひれの変わった働きについてです。 
 

〜ひれの変わった働き〜

 陸の動物では4本の足が歩くこと以外に使えるように変化しているものがあります。人間の手、コウモリや鳥のつばさなども、そうです。 

 さかなではさらに面白い変化が見られます。もともとは泳ぐためにあったひれに、そのさかなが少しでも生活しやすいように進化の過程で変わってきたのでしょう。 

 ・手のようになったむなびれ 

 ホウボウ。むなびれの前のほうが、カニの足のようになっている赤いさかな。さかな屋の店先でよくみられます。このカニの足のようなもの、手のようなものはむなびれが変化してこうなったのです。おもに海の底で生活するホウボウは、この手で石や貝殻をひっくり返したり、砂や泥を掘って餌を探すのです。味を感じることもできるといわれます。 
 泳ぎだすときは、この手を海底にしっかりとたて後ろに押し、勢いをつけて進みます。カンガルーがジャンプする時の前足、短距離競争の選手のスタートするときの手の働きに似ているでしょう。 
 イザリウオの仲間もむなびれやはらびれが手のようになっており、岩やカイメンの隙間でふんばっているところがよく見られます。 

 ・吸盤になったひれ 

 コバンザメ。せびれが吸盤に変化しています。この吸盤で、大きなさかなやカメの腹に吸い付きます。自分では泳がずに広い海を旅行したり、餌のたくさんある場所に移ったりするのです。 
 はらびれが吸盤のようになったハゼの仲間もこれに入ります。岩の多い場所に住んでいるので、この吸盤で岩に吸い付いて、からだを保ち餌を探したり敵から身を隠したりするのです。 

 ・つりざおになったひれ 

 深海に住むアンコウ。太平洋岸の岩場にすむイザリウオ。アンコウはめったに動きません。イザリウオも泳ぎはへたで、岩の間を静かにはいまわるくらいのさかなです。 
 このさかなたちは、せびれのとげの1本が、やわらかい釣りざおのようなものに変化しています。先にはひらひらした餌に見えるようなものがついています。小さなさかなやエビが近づくと、この釣りざおを立て、先をひらひらさせて誘い寄せます。そして大きな口でぱくりと飲み込むのです。 

 ・つばさになったひれ 

 御存じのトビウオ。飛ぶさかなです。むなびれが翼のようになっています。トビウオはまず、おびれを強く左右に振って水の上に飛び上がります。そしてむらびれを張り広げ、グライダーのように水面近くを飛ぶのです。 
 敵から逃げるとき、こうして空中を飛べば、水の中より速く逃げられるでしょう。 

(つづく)

 

 

参考文献:学研の図鑑 「魚」 (学研)