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第3回 〜ひれの働き〜

 

 

 「さかなとはなんだろう」を合言葉にさかなについて「基本にかえって」勉強してみたいと思います。今回はさかなのひれの働きについてです。   

〜ひれの働き〜

 水の中でさかなが泳ぐとき、ひれはいろいろな働きをしています。その働きをわかりやすくするために、いくつかに分けて考えてみましょう。 

・からだを前進させる 

 さかなが前のほうに進む力は、からだ全体を左右にふることでうまれます。このとき、おびれは横に8の字をかくようにゆり動かされているようです。8の字をかくことで、前進する力を助けているのです。 
 人が泳ぐ時のことを考えてみましょう。うまく足をバタバタさせると、前に進む。この足の働きと、さかなのおびれの8の字かきとが、同じ働きなのです。 
 また、バタフライという泳ぎ方は、方向の違いはあるが、さかなのからだの振り方とよく似ています。 
 ヒラメやカレイでは、せびれが波をうつような運動をします。それが、前に進む力の助けとなっているのです。 
 スピードの速いさかなでは、泳ぐ時それぞれのひれがおりたたまれて、からだの形が流線形になるようにしています。 

・からだのバランスをとる 

 泳いでいるさかなは、決してひっくりかえったり、上下、左右に揺れたりしません。これも、ひれがからだのバランスをとる役目をしているからです。 
 背びれで左右の揺れをふせぎます。尻びれも、同じような働きです。飛行機の垂直の翼と同じ働きですね。胸びれを大きく横にはれば、からだ全体が安定します。わたしたちが深い水に入った時、両手を広げてバランスをとるのと似ています。 

・方向をかえる 

 かじの役目をするのは、さかなでは尾びれ、胸びれなどです。ボートではどうでしょう。右のオールに水がぶつかるようにします。左のオールには、水がぶつからないようにします。ボートはどうなるでしょう。右に曲がります。 
 水の中では、このように水のぶつかる力(水の抵抗)を利用して、方向をかえるのです。船のかじも、さかなのひれの使い方も同じです。 

・ブレーキをかける 

 泳いでいるさかなが胸びれをはります。ひれに水がぶつかります。ぶつかる力に邪魔されて、さかなは前に進みません。ブレーキがかかるのです。 
 腹びれも同じようにして、さかなが上下に運動するときのブレーキの役目をするようです。宇宙船が地球にかえって来るとき、パラシュートでブレーキをかけながら海におります。このパラシュートと同じことだと考えて下さい。水の抵抗は空気の抵抗よりずっと大きいので、水の中では小さなひれでブレーキがかかるのです。 

(つづく)

 

 

参考文献:学研の図鑑 「魚」 (学研)