たのしい授業和歌山
スローライフ水泳教室〜誰でも泳げる4泳法〜
「スローライフ水泳指導法」の特徴
- ゆっくり楽に泳ぐ泳法です。大きな水しぶきもたてません。でも、けっこう速くおよげます。手足で水を激しくかいたりけったりして泳ぐのではなく、水中で魚のように体をうねらせながら泳ぐイメージです。
- 特別な泳法(ドル平など)や、特別な道具(ヘルパーやビート板など)は使いません。
- 泳ぎ方は、ほとんど従来からのそれぞれの泳法の指導法通りです(ネットや書籍を参考にしてください。)。ですから、誰でも指導可能で、指導者が替わっても集団で指導することができます。ただ、強調点や指導の順番、目標などが少し違います。それは次の項に書きました。ドル平泳法からは学ぶことが大変多かったのですが(というか考え方はそこから生まれたといってよい)、初期の泳ぎの指導が特殊な泳法なので普通の指導者には取り組みにくかったようです。最近「トータル・イマージョン(TI)スイミング」という米国生まれの水泳理論と練習法があることを知りました。私が求めていたものとほとんど同じです。もう少し勉強して取り入れていきたいと思います。ただ、まったくの初心者には、初めからこの方法だとうまく行かないような気もします。泳げない人に初めからこの美しいフォームを目指させるのには無理がある。このページ自体も子供たちへの指導を通じてまだまだ進化し変化していきます。とりあえず参考にしてください。
- クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの順番でそれぞれ200m以上泳げることを目指します。(特にクロールで200mというのは重要です。25mで終わってしまっては水泳を会得するというところまでいきません。)
- まったく泳げない子供が一人残らず1日で泳げるようになる、というものではありません。しかし、1回1時間程度3回以上繰り返せば、0m(顔をつけて浮くことができない)だった子供もやるたびに確実に泳力が伸びてきます。もちろん子供により習得の速さに違いはあります。学校で指導する場合は、夏季の2週間程度の時間しかありません。25m泳げなかった子供が3日でほぼ終える場合もあれば、3年かけて指導する場合もあります。それこそスローライフです。時間のかかる子供はその分じっくり自分の成長を味わってもらえるようにします。
主な指導段階の目標と指導法
(1) 伏し浮き、けのび、呼吸法
- まず、力を抜いてストリームライン(手足をそれぞれの先まで伸ばし、頭はあごをひいてへそを見る。)を作って浮くことを覚えます。胸に体重を乗せ、頭を沈める。
- 水中から顔を出して呼吸するときには、水を両手で押さえながら顔を上げ、「パッ!」と勢いよく息を吐いてから胸一杯空気を吸うことを覚えます。慣れれば、顔を上げるときに同時に水中で鼻から息を少し出すと良いでしょう。
- 浮くことができるようになったら、まず沈んでからプールの壁を蹴ってけのびで進めるように練習する。一回ごとに前記の呼吸法で立つ。
- 25mをけのびを繰り返しながら進みます。体重を胸にかけて斜めに軽くもぐってから斜めに浮き上がることで前に進みます。(平泳ぎやバタフライに通じる動きです。)
(2) クロールで25m
- 左右の手の伸ばし方とかき方、呼吸に集中する。(左右の手を交互に伸ばすときには、体を回転させること←これは初心者には難しい。25メートル以上泳げるようになってきてから徐々に指導していくとよい。)
- 足はほとんどつかわないこと。競泳で見る水しぶきを上げる激しいバタ足はイメージから除いてください。(足が沈まない程度に歩くようなリズムで、膝を大きく曲げずに股からキックします。足の甲とすねで水をキックするイメージです。)
- ストリームラインになること。(手足を伸ばし、体重を胸にかけて頭を沈め、へそを見る)
- 耳のあたりから手を水中に入れて伸ばす(けのび状態を保つ)。(このとき、伸ばした方と反対の腕で水中をかきながら肩から体を回して頭以外をひねって斜めにたてる。これも全く泳げない人には難しい。徐々に指導していくと良い)
- 手を前でタッチしてから水をかくこと。(泳ぎが苦手な人は水中でバランスをうまくとることができないので、体を左右に回転することよりも水平に保ちながら泳ぐようにしたほうがわかりやすい。25メール以上泳げるようになってきたら、これよりも腕を前に伸ばして保ち、反対の手をかきながら体を斜めにたてるというやりかたに移行していくとよいだろう。)
- 呼吸の時は、伸ばした腕に頭をつけ、肩を見ながら。
- 交互に腕を伸ばし、肩から体を左右に傾ける(回転させる)ことで推進力を得ているとイメージしてください。(右側が水中に沈んでいるときは、右足を蹴ることで反対側に回転する力を得ます。)
- 水に入って指導するときは、頭の前を後ろ向きに歩いて流れを作って泳ぎやすくしてあげると良いでしょう。
- クロールのまとめ:泳ぎの苦手な人は水中で体のバランスをとることがうまくできません。そのため、上級者の泳ぎ方やフォームをそのまま教えてもできません。ストリームラインを作る。手を交互にかいて進む。手は前方でタッチしてから反対の腕をかく。足で進むのではなく、足のはたらきは沈まないようにバランスをとるだけ。しっかり呼吸をしてから頭をつけるようにする。これで、25メートルが泳げるようになってきてから体を左右に回転させながら(ローリング)手を時間差でかきつつ進むやりかたに移行していけばよい。
(3) クロールで200m
- 前項の25mまでの泳法に注意しながら、ゆっくりしたリズムで200mを泳げるまで繰り返します。止まったら、そこから再スタート。
- 手足のバランスが崩れる子供には、足を使わず手だけで泳ぐように指導するとよいでしょう。
- 200mを続けてゆっくり泳げるようになれば、他の泳法は楽に身につきます。
- 25mまでは力任せでも泳げるので、200mを泳ぐことで水に浮きながら体を交互に回転させながら進むことを身につけていきます。
(4) 平泳ぎで200m
- 陸上でうつぶせに寝て足のキックのしかたを覚える。足の甲をおしりにつけるようにしてカエル足になるようにする。体からあまり外に足や膝がはみ出ないようにする。
- 陸上で立ってストリームラインを作り、腕をかき、手を伸ばしてから足を曲げ、足をキックしながら軽くジャンプして手と足を伸ばして再びストリームラインにする。陸上で手と足のタイミングを覚える。
- 水中で、足をキックしたときに手を伸ばすタイミングだけにまず集中する。
- 足のキックは、足の裏全体で水を後ろに押す感じ。
- 足をけったときには、必ずつま先を閉じてストリームラインを作ること。
(5) 背泳ぎで200m
- まず、両手を体にくっつけて足だけで25m泳ぎます。(肩から頭以外の体を左右に回転させるようにします。)
- 顔が空気中に出ていても、クロールと同じように水をかくときだけ「パッ」と呼吸します。
- 次に手のかきをします。片方ずつ交互に水をかきます。そのとき、水中に入れた側を下に肩と腰を回転させます。
- あごをひいて片方の手を進行方向に伸ばしてストリームラインを作ります。
(6) バタフライで200m
- 最初、手のかきや足のキックをせずに、体のうねりだけで進みます。ストリームラインから斜めに頭を沈めて腰からくの字に曲げてもぐり、もぐったらエビぞりになって斜めに浮いてきます。
- これを繰り返して進み方が分かったら手と足の動きをつけます。