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―肥満度と身長・体重・座高の度数分布の自動集計―

男子・女子それぞれ30人ずつ扱えるようにしました。また、シートの構成を修正したので少しサイズが小さくなりました。もし不具合があればお知らせください。すぐに修正します。(02/7/27)


●はじめに

 小学校での保健の統計作業を効率化するワークシートをExcel97/2000で作成しました。6学年・5学級、男女それぞれ30人まで対応しています。

(Windows用;Macについては動作未確認。)

●主な機能―肥満度,度数分布

  1. 身長・体重を入力することで自動的に肥満度を判定する。平成9年度(1997)の文部省による小学生の標準体重データにもとづく。標準体重データの更新も単純作業でできる。
  2. 学級の身長・体重・座高を入力すれば,それぞれの学級・学年別度数分布表ができあがる。
  3. 学級・学年毎の平均も出る。Excelの機能を使ってグラフ化などのカスタマイズも可能である。

●最新データに対応しやすくし,作業効率をあげる

  本校の養護教諭の方にお聞きすると,従来,肥満度の算定は簡易早見表を使用して一人ひとり手作業で行っていたといいます。しかし,このワークシートに使えば格段に作業効率が上がるようになります。

現に使用していた簡易早見表は,おおよそを判定するにはよいのですが標準体重のデータが古く,手直しするにはずいぶん手間がかかりそうなものでした。このワークシートだと,標準体重の更新も単純作業(標準体重シートの書き換え)だけで比較的楽にできるようになります。

私が相談させていただいた養護教諭の方が使用していた簡易早見表は昭和52年度(1977)のデータを利用していました。また,学年別ではなく,身長・体重・男女別での平均値となっています。こういった早見表だと,データの更新が大変です。

また和歌山県では,新年度の身体測定の結果から身長・体重・座高の学年別度数分布表を作成して県に提出しなければなりません。これも集計するにはずいぶん面倒な手作業が必要です。このワークシートによってデータの入力と同時に表が作成されるので所定の用紙に筆写するだけでよくなります。

●使用方法

保健統計2」をクリックするとあなたのパソコンにダウンロードされます。適当なフォルダに保存したあと,このファイルをクリックすると自動解凍がはじます。解凍場所を訪ねるパネルがでますので、お好きなフォルダを指定してください。空白のままOKすると、このファイルをダウンロードしたのと同じフォルダに解凍されます。

 各クラスのシートに身長・体重・座高を入力すると,自動的に肥満度の表と、それぞれのデータの度数分布表ができあがります。

 Excelのテンプレートにしておくと毎年の作業が便利です。

◆ ワークシートのサンプル

●肥満をどうやって判定するか--体格指数と標準体重による肥満度

肥満かどうかの判定といえば,ローレル指数を高校生のときに計算したことを思い出します。10年以上も小学校の教師をしてきて,肥満度といえば養護教諭の方がそんなふうな式で計算しているとばかり思っていました。それで,そんな計算式なら簡単だろう,と気軽な気持ちでExcelでの保健統計ワークシートの作成を買って出ました。

ところが,実際の作業を聞いてみるとそう簡単ではありませんでした。

小学校の養護教諭は,新学年の始めに体位測定をした後,肥満度を計算して「肥満」や「やせ」と判定した児童については注意を促すために保護者あてに通知を出します。

この肥満の判定を行うには,体格指数による方法や標準体重から肥満度を求める方法があります。前者は計算がたやすいので算出しやすいのだけれど,児童の場合には不適切なのだそうです。そこで現在は後者の肥満度による方法が一般にとられているというのです。

体格指数にはローレル指数=体重s÷身長(cm)3×107BMI=体重(s)÷身長(m)2などがあります。

ローレル指数の場合,身長によって肥満の判定基準が変わる。したがって個人の状態の推移を学年をおって記録するには不適切です。

BMIは小学生の場合,その判定と実際の児童の状態とがあまりにずれてしまうのだそうです。試しに勤務校の児童をBMIで判定したところ大半が「やせ」となってしまいました。青年期以降だと実態に合うようです。(BMIによる判定に興味がある方,ためしてみたい方はこちらへどうぞ→「体格指数BMI法」,「あいち健康プラザ」)

標準体重による肥満度は次の式で計算します。

肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100

 標準体重に対して実測体重の増加分を百分率で表して肥満度を判定するというわけす。

●昔の肥満は今の標準―標準体重とは何か

それでは標準体重とは何かというと,年齢別・性別・身長別の全国平均値のことなのです。体格指数のように絶対的な基準で標準を決めるのではなく,実態の平均値を標準としているのです。これには,私も驚きました。ずいぶん柔軟に子どもたちの実態を見ながら判断しているのです。これには,何か目を開かされる思いがありました。

当然,この値は年度によって変動があるはずです。標準体重は文部省が毎年,報告書を出しています。それによれば,次第に増えてきているようです。したがって10年前は肥満であっても現在の標準体重にあてはめれば標準であるという場合も出てきます。実際に1997年度のデータで本校の児童を判定すると,先の早見表では肥満とされたものでも標準となる例がたくさんありました。

本ワークシートでは,標準体重表からLOOKUP関数によって標準体重を割り出して肥満度を計算します。この作業をパソコンなしに何百人にも行うのは非常に大変です。

そこで,先に取り上げたような「簡易早見表」を考案してくださる方がいたのでしょう。これは画期的なものですが,すでに述べたような弱点を持ってました。それを解消して作業を効率化しようとするのが本ワークシートです。パソコンが無い時代とある時代の差といえるでしょう。やはり,パソコンは普通の個人に大きなパワーを与えてくれているといえるのですね。

●おわりに

勤務校の養護教諭の方に試用していただいて好評を得たので公開することにしました。体脂肪計がこんなにポピュラーになってくると,これが肥満度による判定に取って代わるようになるかもしれません。そのときが来るまで活用していただければうれしいです。また,手を入れてさらに便利に改良してください。なにぶんExcel初心者ですのでミスをしている部分があるかもしれません。あわせてご連絡をいただければさらい良いものにしていきたいと思っています。お気づきの点がありましたらご教示ください。

肥満の判定についての考察は参考資料としてあげた雑誌の論文によりました。この資料は養護教諭の神谷さんに教えていただきました。

・参考資料:『健康教室』(東山書房)1999年4月号

★免責事項:このワークシートの使用によって生じるいかなる損害にも責任を負いかねます。使用者の責任の元に使用してください。


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