前穂高岳 ソロテント
2015年8月14日〜15日

松本から松電(アルピコ)上高地線に乗って新島々駅に着き、バスに乗り換えて、9:50、上高地BTに降り立つ。身支度とトイレを済ませ、売店で稲荷寿司の弁当を買ってから岳沢に向かって歩き出す。

河童橋を渡り右岸の遊歩道へ移る。山の上は濃いガスに覆われ見えない。

明神方面と別れ左に入っていく。

10:45、岳沢入口を通過。樹林の中の緩やかな道をゆっくりと登って行く。

11:31、風穴前に到着。確かに涼しい風が吹き出している。ここで一休み。

やがて、上高地からも見えるガレ場に飛び出す。本来はガレ場ではなくゴーロ帯というべきだと思うが、この辺りでは岳沢は伏流になっていて河原とは見えないのでガレ場でいいかな。

少し登ったところで一休みして、上高地を見下ろす。結構登って来た。

ここからは沢沿いに左岸の樹林の中を登って行く。

きれいな赤い実。これは?

13:45、岳沢小屋に到着。テラスから上高地を望む。一休みしてから小屋でテントの手続きをする。1人1,000円。

テント場は涸れた沢を渡った対岸。既に満杯に近く、最上部まで登って張った今回がデビューのLBS20。奥の方の地面が濡れているせいか虫が多くて、あまり快適ではなかった。

縦に長いテント場の先に上高地を見降ろす。

河童橋辺りのアップ。

天狗沢。登ったことはないが、昔2度降りたことがある。一度は5月の雪の時で快適に駆け下りた。もう一度は畳岩を登ったあと灯り無しで真っ暗な中、手探りで降りた。少し懐かしい。

西穂に続く稜線。ここへは行ったことが無い。

小屋で缶ビールを購入。500円はまあ安いか。美味しかった。夕食は尾西のアルファ米とレトルトの牛丼。

ここからNo Imageです。その理由は? 
夜中に目を覚まし、ペルセウス座流星群の事が頭に有ったので外に出て空を見上げてみた。冬ではないので、驚くほどではなかったが下界では見られない無数の星が空一面に広がっていた。流星は確認できなかったが、一応写真を撮っておこうとカメラを手にした。カメラはコンデジだし、詳しくもないのだが、普通に撮ったら何も写らないだろうと考えモードをシーンの花火にして何枚か撮った。

この時カメラのバッテリー残が少ないとの警告が出たので、明日の事を考え急いで電源を切った。そして翌日、モードを元に戻すことをすっかり忘れバッテリー残量を気にして撮った写真を確認しないでいたら結果すべてが露光オーバーで真っ白。という訳で核心部の写真が一枚も無いということになりました。

8月15日。シリアルにミルクをかけただけの簡単な朝食を済ませ、5:35前穂に向けて重太郎新道を登り始める。若い頃、穂高に何度も来たけれど、このルートは歩いたことが無かった。どんな道なのかとても楽しみだった。お花畑の中ジグザグに登る。垂直に近い長い鉄梯子はシッカリしているので問題ない。急傾斜の岩道が続くが、高度をぐんぐんと稼いでる感じが心地よい。

7:18、岳沢パノラマ着。ここでザックを下ろして休憩。名前の通り岳沢の隅から隅まで見渡せる。天気は上々。20分ほど眺めを楽しむ。この先からは岩稜になるが、久しぶりに乾いた穂高の岩肌の感触を楽しむ。鎖も何か所か現れるが、慎重にさえ登れば特に使うことも無かった。

8:25、紀美子平。この途中で吊尾根の先の涸沢岳下の涸沢側の斜面にヘリが飛んできてホバリングを始めた。県警の救援ヘリのようだ。ホバリングしている真下は稜線から数百メートル下の箇所。道の無い場所なので、考えられるのは稜線からの滑落しかない。あの距離を滑落したら最悪の結果の可能性が高いなと、暗い気持ちになった。ここから先はさらに急な傾斜の岩場になるので、気を付けていかなければ。

ここまでの道でちょっと気になることがあった。トラバース気味の細い道で、奥穂方面を眺めている年配の男性がいたのだが、直角に道の脇に立っているので、背負ったザックが道をふさいでいて通りにくなっていた。そしてこちらが近づいていっても何の反応もせずそのままでいるのだ。仕方なく後ろを避けて通り過ぎたが、気になったのは、その人は谷側の縁に立っていて他の人の体が触れてバランスを崩せば、前に落ちる危険が有るのに、全く気にするそぶりがなかった。

この人は年配の女性二人とのパーティだったが、前穂への急な岩の登りでこちらを抜いて前を登っていた。男性、女性、一番背の低い女性のオーダーで登っていたが、最後尾の女性が足が高く上がらず遅れ気味になっていた。そして遅れに焦ったのか、その女性はとても乱暴な登り方をし始めた。山で中高年の事故が多くなって久しいが、もしかしたらリスクに鈍感な人が結構多くいるのではないかと思ってしまった。

9:25、前穂高岳頂上。数十年ぶりに来た場所。何度か来ているのだが、南北に縦長の地形にも記憶は感じはなかった。北尾根を見ると、ちょうど2峰から懸垂下降をしているパーティがいたのだが、何度か通過したその場所も、北尾根でザイルを使ったことは無いということ以外には記憶が無かった。しかし天気が良く横尾も真っ直ぐ見降ろせる高度感をたっぷりと楽しむ事ができた。9:55、下山開始。

紀美子平10:37通過。登りの時は重太郎新道の急傾斜はぐんぐんと高度を稼げて快適だったのだが、下りになるとその急さが足に響き始めてきた。森林限界まで下りダケカンバやナナカマドなどの樹々の中を降りる頃には、疲れた時はいつもそうだが道のりがとても長く感じられ始めた。テント場近くのお花畑の道まで降りてきて、やっと昨夜デジカメのモードを変更したままだったことに気づき、変更し撮ったのが右の写真。一日で一枚だけ。

13:30、テントに帰り着く。最上部のテントまで登るのがきつかった。足が痛いのではなく力が入らない感じで、ハンガーノックかなと思ったりした。一休みしてからテントをたたみ、パッキングをして、14:20疲れた脚を奮い立たせて下山開始。上高地まで2時間程度の下りなので昨日整理券を貰った16:46のバスには余裕が有るだろうと思っていた。

しかし全荷物を背負って下って行くと、それ程重いわけではなかったのに脚の疲れを強く感じ始め、スピードが出ない。足の筋肉にガソリンが行ってないようなもどかしさが強い。気がつくと背中まで丸くなってきていて、ザックが馴染んでいなくて歩きにくい。真っ直ぐにしてみるのだが、じきに姿勢が崩れていて、よっぽど疲れているなと思い知らされる。

2時間40分かかってやっと上高地BTにたどり着いた。予定のバスは既にいなかった。

窓口に行くと、17:18発の整理券に替えてもらえた。売店で買った缶コーヒーを飲んでいるうちに出発時間が迫り、上高地を楽しむこともできないまま、新島々へのバスに乗り込んだ。怪我無く降りられただけでも良かったかな・・。