甲斐駒ケ岳 2013年10月12日〜13日(テント泊、ソロ)

 置き忘れた山
 私には「置き忘れた山」がいくつかある。その一つが「甲斐駒ケ岳」。高校生で山に興味を持ち始めた頃のこと、山と渓谷社が出した「日本の山」という写真集にそれは載っていた。今まで見たことのない、日本にこんな山があるのかと思わせる、怪異と言えそうなその姿。「いつかこの山に登る・・」と心に決めた。しかし20才になるのを待って入会した社会人山岳会は、岩と雪を志向していたので、行く山は谷川岳、穂高岳、剣岳などと限られていて、甲斐駒はほぼ対象外であった。その後、山から離れ「甲斐駒」は「置き忘れた山」のままになってしまった。あの時から40年、少しずつ再開した山歩き。J君と計画した山行であったが、J君の膝の具合が思わしくなく、残念ながら行けなくなった。今回は中止とも思ったが、きつい山でもないので、ソロで行こうと決めた。忘れ物を拾いに・・・

新宿9:02発のホリディー快速ビューやまなし号の車内。2階建て車両の2階に座れた。背もたれを倒すことができず多少座りにくいが、きれいで空いていて快適な旅になった。

甲府からバスで着いた広河原。最後に来たのは春の合宿でバットレス4尾根を登った時。40年ぶりになる。

バスを乗換え着いた北沢峠。初めての場所。昔は広河原からのバスなど無かったと思う。ここから駒仙小屋(今は長衛小屋)のテントサイト(今はテン場)までは10分程度のはず 。

長衛小屋のテン場は色とりどりのテントで埋まっている。空きが殆ど無い。

一番奥まで歩き、設営したテントの前で。トイレまで200mは歩かなければいけないところ。

ソロには広すぎるテントの中。斜めに寝てみようかな。でも真ん中に大きな岩があり、結局隅に寝ることになった。

翌朝は3:00に起床。少しのんびりして4:30に歩き始める。ヘッデンを着けて歩く林の中の道は真っ暗。

5:40に着いた仙水峠は強い風が吹き抜けている。ここで日の出を待つ。

6:00駒津峰に向かって歩き出す。いきなりの急登が始まる。

途中でのななかまど。このところの暖かい気候のせいか緑の葉と紅葉と枯れてしまった葉が混在している。

まだまだ続く急登。ゆっくりと登っても息が乱れる。

7:30、駒津峰に到着。360度の展望がひらける。風は相変わらず強く吹いている。

鳳凰三山のむこうにでんと構えた富士山。雲海の上に浮かんでいる。

西には中央アルプスの山なみ。

その右奥は御嶽山。さらに右奥には白山が見える。

北アルプス南部。穂高、槍へと続く。頂上付近は雪が見える。

振り返れば、北岳。

その右手にはカールを抱えた仙丈ケ岳。

ここで一枚自画撮り。

7:45いよいよ甲斐駒を目指す。途中の分岐はもちろん直登ルートを選ぶ。せっかくだもの。技術的には特に難しい処は無いのだが戸台川側がかなり急になっている個所が有り、ところどころ真剣になった。

9:15 甲斐駒ケ岳山頂。

標高2,967メートルは今年の最高到達点。

北東には八ヶ岳連峰。天気は最高。奥秩父を含め中部山岳の全てが眺望できる。

9:22 下山を始める。下りは巻き道ルート。花崗岩が砕けた砂の道でよく滑る。靴を斜めに置きながら下る。疲れが出始めてきた。そして500cc持ってきた水が少なくなっていた。心配・・

巻き道といってもこんな所もあり、登ってくる人たちとのすれ違いで渋滞が発生。その間は止まるので、疲れた体に嬉しいやら辛いやら。ともかく人が多い。

駒津峰からの下り。鋸岳を眺める。とても興味のある山だが技術的には問題なくても、今の体力では非常に危険だと思う。体力つけたら行けるかな・・・

鋸岳のアプローチ、戸台川の河原が延々と続いている。きつそうだな・・・ この後は双児山を越え、樹林の中の道を延々と下る。この下りがきつかった。写真も撮れません。13:15テントに倒れこむ。13:30のバスには間に合わない。少し休もう・・