(つづき)

問題点@ オスプレイの構造的欠陥に目をつぶる日米両政府

 

 日本政府の「安全宣言」は、ことし4月のモロッコ、6月のフロリダと続いた墜落事故の原因を「操縦士の人為的ミス」と決め付け、「機体に構造上の問題はない」とする米国の事故報告書を、そのまま追認したものだ。「オスプレイには、通常ヘリのようにエンジントラブルの際に安全に着陸するためのオートローテンション機能がなく、後方乱気流に影響されやすいなどの構造的な欠陥がある」とする米軍関係者や専門家の証言や指摘は全く無視された。

今回公表された文書をよく読むと、編隊飛行の場合、後方乱気流に影響されやすいことやオートローテーション機能に問題があることは部分的に認めている。日本側は「オートローテーション機能自体は保持している」と断定しているが、日米のやりとりを記録した議事録では、米側は機能の有無に直接は答えず、「飛行場内に安全に帰還するためのあらゆる措置を取る」と、パイロットの一般的な心構えではぐらかしている。つまり米側は「オートローテーション機能がある」とは言っていない。本気で疑問を解明する意思があるならば、もっと食い下がるところだ。ここにもはじめから米側を追及する意思のない日本政府・外務防衛官僚の姿勢が透けてみえる。

 

問題点A 抜け穴だらけの「安全対策」を誰が信用できるのか

 

9日に公表された「安全対策」には、「可能な限り」「必要な最小限に」「運用上必要となる場合を除き」の文言がちりばめられている。要するに全て米軍の努力義務・配慮義務にすぎず、実質的には米軍の裁量に委ねられている。そのことがどのような結果を生むか、普天間をはじめとした全国の米軍基地・訓練地域の被害の現状を見れば明らかだ。

たとえば、2007年に普天間の危険除去策として日米合同委員会で決められた旋回飛行ルートは、ほとんど守られていない。昨年10月の沖縄防衛局によるヘリ航跡調査で「はみ出し飛行」が常態化していることを認めざるを得なかった。さらに遡れば13年前、中国山地における低空飛行訓練による被害が問題になり日米合同委で協議し合意された(19991月)「地域住民に与える影響を最小限にする」「人口密集地域や公共の建造物(学校・病院等)に妥当な考慮を払う」などの取り決めも守られていない。そのことは、広島県議会などで低空飛行訓練中止を求める意見書が採択され続けていること一つとってもみてもはっきりしている。まず「オスプレイ沖縄配備」という結論ありきがミエミエ。抜け穴だらけの「安全対策」を、誰が信用するのか。


                    沖縄の闘いに呼応し、日米同盟を揺るがす闘いへ

 

岩国基地に駐機するオスプレイは、「安全宣言」を受けて、下関沖で試験飛行を行い、10月には普天間移駐を強行し、本格運用に突き進もうとしている。

日米両政府は、オスプレイ沖縄配備を、アジア太平洋地域における「日米間の動的防衛協力」―中国を意識した米軍事戦略に深く組み込まれた「日米同盟」強化・拡充の要と位置付けている。「安全宣言」の「CH46Eの後継機としては、オスプレイ以外にない。」という記述には、オスプレイ配備に込めた日米同盟の決意が漲っている。それは9.9沖縄県民大会への10万人超の大結集とそれに呼応する全国同時アクションに象徴されるオスプレイ配備NO!の闘いの高揚に対する、日米同盟の危機感の表れでもある。

沖縄ではすでに普天間基地の機能を停止させるための様々な直接行動が提起されている。東村・高江では、オスプレイのための訓練基地―オスプレイパッド建設に反対する住民の抵抗闘争が続いている。辺野古でも、非暴力直接行動で新たな基地建設を阻止し続けている。

「日米安保体制は、その土台を支えてきた沖縄から崩壊しかねない危機的状況を迎えた。」「日米の厚い壁を崩すため、ためらわず、粘り強く自己決定権を取り戻す主張を続けたい。」−これは920日付の琉球新報の社説だ。問われているのは、ヤマトに暮らす私たちの闘いだ。日米の軍事植民地状況からの脱却を求める沖縄の闘いに呼応し、オスプレイ沖縄配備を阻止しよう!