辺野古への新たな基地建設に反対する2.18神奈川集会に150人!

218日、厚木基地直下の大和市生涯学習センターにて、辺野古への新基地建設に反対する2.18神奈川集会が開催されました。主催は厚木基地爆音防止期成同盟・神奈川平和運動センター・基地撤去をめざす県央共闘会議。厚木基地周辺の市民・労組など会場あふれる約150人が参加。集会後は天気快晴の冷たい屋外に繰り出し、「沖縄への基地押し付けを止めろ」「大和に静かな空を返せ」と熱く訴えながら大和駅周辺をデモ行進しました。

前沖縄防衛局長の差別暴言や、辺野古アセス評価書の強行搬入、沖縄防衛局組織ぐるみの宜野湾市長選挙への「政治的介入」など、沖縄の人びとの、日米の軍事植民地状況からの脱却=自立解放の願いを踏みにじる事態が続いています。2.18集会は、沖縄の声を無視した野田政権の沖縄政策に、基地を抱える神奈川からもノー!の声を上げようと企画されました。主催者の予想を上回る参加者が結集。ドキュメント『辺野古の3000日』の上映後、国会議員の糸数慶子さんと東京沖縄県人会会長の川平朝清さんから提起を受け、沖縄の熱い闘いに神奈川からささやかなエールを送る行動になりました。 

冒頭、厚木爆同の藤田委員長から主催者挨拶。藤田さんは、数日前の米空母艦載機の部品落下事故と防衛局への抗議行動を報告。「沖縄と連帯しながら基地撤去の取組みを進めよう」と訴えました。続いて、ドキュメンタリー映画「辺野古の3000日」が上映されました。沖縄の基地問題を追い続けている藤本幸久監督の最新作。辺野古で座り込みを続けるお年寄りの沖縄戦の体験談を冒頭に、新たな基地は作らせないという沖縄の人びとの強い思いと本年7月で座込み3000日になる辺野古の粘り強い抵抗闘争を39分の映像の中にコンパクトに描き、「基地があるから戦争になる」という、おばあの印象的な発言で締めくくっています。(宜野湾市長選挙の映像も加えて完成させるそうです)

1月下旬に24人の訪米団の一員として米国内で要請行動を展開した沖縄選出国会議員の糸数慶子さんは、「米国内でも普天間の辺野古移設は無理という理解が広がり、議会の国防費削減圧力の中で海兵隊全面撤退論さえある。」と米国内の反響の大きさと要請行動の成果を報告。放送界出身で東京沖縄県人会会長の川平朝清さん(横浜市在住)は、3.11原発震災以降、福島に対する差別意識が広がったことに触れ、「福島の思いと沖縄の思いはつながっている。日米安保をなくし、平和友好条約に転換させよう」と強調しました。

集会は最後に「艦載機の部品落下事故に抗議し、厚木地での全軍用機の飛行停止を求める緊急アピール」と「これからも沖縄の人びとと共に進み、闘っていこう!」とする集会宣言を採択し、神奈川平和運動センターの小原事務局長の挨拶で閉会。デモ行進に出発しました。

発言要旨

*当日の発言要旨を編集者の責任でまとめています。

厚木基地爆音防止期成同盟・藤田委員長(主催者挨拶)

28日、この会場のすぐそばの県道40号線のど真ん中に、2m以上の金属製の物質が落下した。厚木基地のそばの県道、そのわきの相鉄線の横の畑に破片が飛び散りました。これは明らかに墜落です。奇跡的にも大惨事には至らなかったが、一つ間違えば、大変なことになった。幸いにも相鉄の電車を直撃しなかった。爆同の事務所のそばですから、我々が現場に駆けつけて警察や防衛局に通報する状態だった。

翌日、防衛省に行き抗議した。こんな大事故を起こしたら、基地機能をすべて止めて、原因を調査するのが当たり前。ところが、事故を起こして現場にいる我々の目の前を同機種の飛行機が飛び立っていた。これは許せない。神奈川県知事をはじめ、関連自治体が事故原因解明と情報公開、当面の飛行差し止めを求めて抗議の申し入れを展開した。これに答えずに、飛行訓練を続けた。まったく、県民を愚弄している。国民をばかにしている。これまで数えきれない事故があるが、いくら抗議しても返答がない。今度は、中途半端なことで済ますわけにはいかない。

沖縄も岩国もそうですが、基地問題に対して市民が声を大きくしていかないと、何も変わらない。これからも全国の、とりわけ普天間問題が焦点となっている沖縄としっかりと連帯しながら、闘っていきたい。

ここへ来る前に、大和駅で「さようなら原発1000万人署名」の活動をした。原発問題もこの事故と似ている。一番大事なものを隠しながら、再稼働をしようとしている。福島の原発事故は収まったのか。まだ放射能が広がっているではないか。こんなことを許してはいけない。市民運動を広げ、世論を変えていく必要がある。みなさんと手を取り合って闘っていきたい。

参議院議員・糸数慶子さん

2月12日の宜野湾市長選挙は何としても勝利をして、ここでみなさんと喜び合いたいと思っていました。頑張りましたが、伊波洋一さんが、自公推薦の相手候補に900票差で敗北してしまいました。これから先、私たちの闘いが、次の世代に正しく評価される、そのような闘いを構築していかねばならないと思います。改めて、地球上から戦争がなくなっていくことをめざして、頑張っていきます。きょうは、1月21日から28日まで24人のメンバーで訪米要請団として行動しましたので、その報告をさせていただきます。

私が初めて訪米要請行動をしたのは、沖縄県議として活動していた1993年です。そのときは、伊波洋一さんは中部地区労のメンバーとして参加していました。18名で3週間米国内の5つの州で、50回近い集まりを持ち、上下両院の議員などにしっかり訴えてきました。その時から5回目の訪米になります。今回は伊波洋一さんが企画して、事務局体制も作って、一緒に訪米する予定でした。ところが安里猛宜野湾市長が健康を害して辞職されることになり、やむなく伊波さんは市長選に挑むことになり訪米を断念しました。市会議員や県会議員、国会議員、市民団体や個人を含めた多彩なメンバーの24人の訪米行動は初めての経験でした。

今回の訪米団の要請事項は5点です。@世界一危険な普天間飛行場の即時閉鎖・返還A辺野古新基地建設を中止しジュゴンの住むサンゴの海を守るB普天間を嘉手納空軍基地に統合することなく海兵隊を県外・国外に移すことC高江ヘリパッド建設中止D日米地位協定の抜本的改定です。課題を絞ったのは、何としても普天間基地の閉鎖・返還につなげることがテーマだったからです。昨年の4月に米上院軍事委員会のレビン委員長が沖縄を訪問して、辺野古の新基地建設の実態をご覧になり、「海兵隊は撤退をされるべきだ」とおっしゃって、普天間飛行場の早期閉鎖に向けた提案をしました。ただ、彼らは嘉手納統合案を言い出したのですが、とにかく「辺野古移設は幻想だ」と米国内でも言い始めている。その最大の理由は、国防費の削減です。海外の米軍基地を見直しいこうとしている大きな流れがあるので、そのチャンスを生かしていこうということで、訪米活動を展開したわけです。

4つのグループに分かれて、上院議員、下院議員12名に会うことができました。私たちのチームがまず行ったのは、オバマ政権に影響力があり、これまでは立場の違いからあまり接触できなかった超保守的なシンクタンク・ケイトー研究所です。そこの副所長と上級研究員が会ってくれました。時間が限られていたので、@普天間基地の閉鎖A爆音の問題B地位協定の三つに絞りました。@は宜野湾市職員Aは爆音訴訟団の弁護士Bは昨年1月の米兵による交通事故被害者の親友がそれぞれ発言しました。この中で一番研究員の心に響いたのは、地位協定問題を訴えた若者の発言だったようです。若者の必死さが伝わったようです。沖縄で何が起こっているか、基地被害の実態が米国内であまりに知られていないこともわかりました。話が終わってから、副所長が、「これは私たちの経済誌に記事を載せて米国民にぜひ知らせたい」と言ってくれました。後日、米国の経済危機の中で、海外の基地、とりわけ海兵隊の基地を減らす必要があり、アジアの中で信頼を得るためにも見直すべきだという趣旨の記事を載せてくれました。このケートーCATO研究所にはこれまで私は3回行きましたが、こんな対応は初めてでした。これまでは私たちがいくら訴えても、「あなた方の主張はワンパターンで自己満足ではないか」とか手厳しいことを言われていました、今回は違いました。最後に「みなさんは国務省や国防総省がどういう動きをしているかわかりますか」と言って、私たちが聞く前に色々と助言さえしてくれました。最初の訪問地でしたから、私たちはすごく元気をもらいました。

 次に訪ねたのは世界のピースネットの中でも大きな動きをしているグループの代表であるジム・ウェッブさんのところです。普通のレストランの中の一角で映像を使って市民同士がコミュニケーションするスペースになっていました。ここで2時間ほど意見交換しました。ワシントン在住の沖縄県人会の方や留学生などが来ていて、「自分たちに何ができますか」と言ってくれました。これもこれまでにない動きでした。本当に今回の訪米ほど、私たちの生の声を訴えてすぐ市民やシンクタンクのみなさんが具体的な手伝いを申し出てくれるということは、これまでになかったことでした。私たちがお願いしたのは、私たちが会った議員の方へのロビー活動です。継続的な要請活動、アプローチが重要だからです。私たちのすぐ後に稲嶺名護市長が訪米しましたが、私たちが重要だと思ったところ、行きたかったが会えなかった民主党のジム・ウェッブ議員のところを訪問し要請することができました。大きな前進だと思います。

 たった15分ですが、共和党のトム・コバーン議員にもお会いしました。ちょうどオバマ大統領の一般教書演説の日で、主だった議員がだいたいワシントンにいたんです。彼は「国防は重要だ。航空機の発達で地上部隊の有用性は低くなった。これからは在沖海兵隊を米本土に移転して軍事費を削減すべきだ」と言いました。彼らは「普天間閉鎖」とは決して言いませんが、粘り強く訴えることが必要です。

 アン・イッシューさんという女性下院議員にも会いました。この方は、オスプレイの配備に反対した少数派の方です。補佐官の方が冒頭「沖縄配備は残念。オスプレイは欠陥機です。」と言いました。もちろん「もう5年間飛行しているので安全だ」という議員もいました。マッカラム議員、ハチソン議員の補佐官にもお会いしました。ジャッキー・スペア議員は本人が「米兵の性犯罪は重要。具体的なことを話してほしい」と関心を示しました。米兵による女性への性犯罪に取り組んでいる議員でした。彼女には、高里鈴代さんらと取り組んできた基地・軍隊を許さない行動する女たちの会で調査した資料を渡しました。議員からは、「議会で追及するには、被害状況や被害者のこと、裁判のことなど具体的な情報が必要」と言われました。私たちは大変心強く思いました。

基地の閉鎖を私たちが訴えるのは、基地は戦争の準備に他ならないからです。日本政府は米軍基地のために莫大な予算を注ぎ込んでいますが、米国内の変化をしっかり把握して、いまこそ、対等平等に米国と外交交渉をすべきだと思います。米国では何人もの議員から、「問題は東京の政府でしょう」と言われました。「東京でも訴えているし、県議会も、名護市議会も行動している。沖縄の議員の活動の大半が基地問題に割かれてしまっている。沖縄にはもっともっと先に進めるべき住民の課題がたくさんある。でも基地問題の生の声を米国のみなっさんに届けたくてやってきました」と答えました。

訪米団の活動の後、米国のシンクタンクや市民や留学生のロビー活動が増えたことは、大きな成果だと思います。問題は日本の国会です。防衛大臣は昨日から沖縄に来ています。沖縄の負担軽減と言いながら、判で押したように「日米同盟の深化と抑止力」。沖縄ではゆくし(うそ)りょくと言っております(笑い)。これ以上ウソはついてほしくない。

これから、どこに向かって闘うのか。めげずにみなさんと一緒に考えたい。この集会に参加されている神奈川のみなさんは、眼がきらきらしています。同じ基地問題を抱えて闘っているからだと思います。今後も共闘して闘いたい。沖縄から基地をなくすことは、本土のどこかに引き取ってほしいということではありません。ただ、60年以上、小さな島に過重な負担を強いていく日本政府に問題があると思っています。
 宜野湾市長選での伊波さんの敗北は残念ですが、戦略戦術を考えながら、6月の県議選も闘っていきたい。県知事も県外を言っていますが、やはりきちんと基地問題を考えている議員を一人でも当選させていきたいと思います。ありがとうございました。

東京沖縄県人会会長・川平朝清さん

 糸数さんがまとまったお話をされましたので、何も話すことがないのですが、私も神奈川県民の一人ですので、みなさんと分かち合いたいことをお伝えします。

他府県の県人会は親善・親睦の集まりだと思いますが、沖縄県人会は、故郷に帰りたくても帰れない難民状況に陥っている沖縄出身の人たちの集まりとして誕生し、常に沖縄の施政権がどうなるのかという「政治的な関心」を持たざるを得ない存在でした。1952年、私はNHKのアナウンサー養成所にいましたが、その時に講和条約が締結され、沖縄は日本から切り離されます。このことに大変な反対運動をします。沖縄はアメリカにもっていってもらいたい、占領を続けてもらいたいというのが、当時の日本政府、昭和天皇の意向だった。そういうことで沖縄県人会は政治的に動くことがありまして、波乱万丈の60年の歴史を持つ県人会です。

会則の中に、「青少年の育成」に加えて、「基地をなくすために」「平和を回復するために」という項目もあります。県人会には、国会議員はお招きしない。政治的には中立を保っています。あるところで私は話をするときに、題を「在日日本人のみなさんへ、沖縄系日本人から伝えたいこと」としたことがあります。みなさんは在日日本人と聞いて、本当に日本人は主権のある国だと思っていますかと問いたい。それは沖縄系日本人しか感じないことではないのか。私たちは、日本人になるべく大変な苦労をした祖先、祖父母、父母を持っています。琉球王国から沖縄県になって行われたことは、植民地政策、同化政策でした。いかにして日本人らしくなるか。それが引き離されたり、くっついたりという話になる。そして、0.6%の土地に74%の米軍施設が集中しているということになる。

原発事故で福島は大変なことになっていますが、基地も原発、放射能も、自分の裏庭には持ってきてほしくない。どうも地方に押し付ける。私は、教会に属していますが、福島から来た牧師さんがこういうことを訴えていました。「みなさんは福島原発と言っているが、今後は東電福島原発と言ってください。福島原発というと問題の原因が福島にあるような印象になる。避難先で福島県民は差別されている。」そういう意味では、福島の人びとの思いと沖縄の思いとはつながっているところがある。知人からの年賀状に「沖縄は安全でいいですね」と書いてあったので、「とんでもない、米軍基地がたくさんあって危険です」と反論したくなりました。

県人会の会長をしていると、新聞や雑誌に沖縄とか琉球とかでると、切り取って引き出しに保存します。たまります。糸数さんの話の中で、訪米団がシンクタンクや議員を回ったという報告を聴いて、大変感銘を受けました。いま、沖縄のことを勉強しているのはアメリカの議員ではないか。糸数さんの報告にあったレビン議員やウェッブ議員は沖縄に来て視察をして、辺野古は駄目だ、嘉手納にしろと言ってグアム移転の予算を認めない。
 アメリカにリードされているということが、今の日米関係にはある。日本の防衛、外務官僚が、アメリカにおもねているような気がしてなりません。良い例が思いやり予算です。こんなのはある意味では、地位協定違反の行為です。米議会の公聴会で、パネッタ国防長官が「日本は、非常に寛大なことに、いかなる計画変更があっても支援すると言っている」と証言しています。グアムの家族住宅の建設費やインフラ整備費に使われるわけです。

いま、戦争前夜のような状況を、防衛官僚、外務官僚は作ろうとしています。それは、沖縄をまた捨石にすることになる。沖縄に軍事基地が多くなればなるほど、狙いはこちらに定められる。そうすれば本土決戦を避けるために、時間稼ぎに使われるような、そういうところにだけは沖縄はしてはならない。地域協定を改め、日米安保条約を廃棄して日米友好条約を作り、同時に、独仏が完全に和解してEUができたヨーロッパにならって、このアジアの地域の友好を深化させるようなことをしてもらいたい。