会場は水道橋の全水道会館。緊急の呼びかけにも関わらず、約100人が集まり会場は満席となりました。(写真)
与那国から町会議員2人(田里千代基議員、崎元俊男議員)が報告。
崎元さんは、2005年に下地島の自衛隊誘致決議が住民説明会を経て白紙撤回された例をあげ、住民説明会も開かずに議長含めてわずか6名の町議会誘致決議(2008年、反対は2名)で独断専行する外間守吉町長を鋭く批判。「みなさんの知恵を借りたい」と支援を訴えました。
2008年の誘致要請決議の時には与那国町民514人の署名が集められましたが、今回の誘致決議撤回要請決議署名には566人の町民が署名。3年前の誘致要請署名514人の中から20数名が撤回要請署名に加わったそうです。世論調査でも73%の町民が反対で民意は明らかなのに、9月22日に2人が提出した誘致要請撤回決議(別添)は6人の町議会で否決されました。わずか1600人の島民が賛成反対で分断されるのがたまらない、と崎元さん。
田里さんは自衛隊誘致が与那国島の地域振興にならないことを、陸海空自衛隊を誘致しても大幅に人口を減らしている対馬の例を挙げて指摘。むしろ国境の緊張を高めることで、与那国島がこれまで進めてきた台湾との民間交流を軸とした「自立自治共生の島づくり」の障害になることを強調しました。
陸上自衛隊の南西諸島配備を軸とした島嶼防衛体制の構築は、昨年末の中期防衛力整備計画に「南西地域の島嶼部に陸自の沿岸監視部隊を配置する」と明記されました。本年6月21日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、東日本大震災の経験を教訓に「南西諸島を災害救援のためのロジスティックハブ(国際物流拠点)として整備する方針」が打ち出されました。北沢防衛相(当時)は「震災を一つの契機にして、南西諸島に災害対応の国際的なものを作る」「無人機やロボットの訓練基地を整備し、日本だけでなく東南アジア諸国連合諸国にも開放したい」と述べています。
8月5日、新たな防衛計画の大綱で掲げた「動的防衛力」の具体化に向けた構造改革推進委員会の報告書が公表され、そこでは重点地域に首都圏と南西地域を指定し、緊急事態の南西諸島への部隊展開では民間と米軍の輸送力活用を明記。平素から島嶼部に実戦部隊を置き、全国から応援を受け入れる拠点づくりを重視。日米韓3カ国の共同訓練を検討。南西地域での訓練場整備や米軍施設の共同使用拡大で充実化を目指すとされ、また「与那国島南西部の町有地を取得し駐屯地を建設する方針を固めた」(8/21沖タイ)とされています。
9月30日に発表された防衛省の概算要求に与那国島への陸自配備予算15億円が盛り込まれ、地元の声を無視して昨年末の「新防衛大綱」に沿った南西諸島への陸自配備が強行されようとしています。
この陸自配備問題と並んでもうひとつの注目すべき動きは、同じ八重山の中学校教科書選定問題。石垣、竹富、与那国の教育長らで構成する「教科用図書八重山採択地区協議会」の玉津博克会長(石垣市教育長)がこれまでの選定ルールを突然、変えたのが発端。現場教員の意向が無視され、教育長らでつくる協議会の権限が強められ、結果として3市町の協議会メンバー8人の無記名投票で「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版教科書「新しいみんなの公民」を採択、3市町で協議会の決定に疑問の声が噴出し、9月8日、3市町の13人の教育委員全員が集まり、公民教科書として東京書籍版を賛成多数で採択しました。
ここから、自民党が介入し巻き返しが始まります。9月13日には中川文科相が9月8日の全教育委員による決定は無効との見解を示し、15日には沖縄県教育長に八重山3市町への「指導」を求める局長名の通知を出すに至ります。
この経緯は、4年前の高校教科書の沖縄戦の記述を巡る教科書検定問題を想起させます。
陸上自衛隊の八重山配備問題と教科書採択問題の行方は、野田新政権の沖縄政策の本質が問われる問題です。