韓国・沖縄・神奈川の連帯で東アジアに平和を!



〈ホン・リギョンさん講演要旨〉

みなさんの県央共闘会議と私たちの対策委員会の性格は似ている。全教組、公務員労組、環境団体、市民団体、進歩政党で構成されてます。このように広範な団体で構成されていますが、カンジョン村の状況は厳しいものがある。

カンジョン村は、別名「第一のカンジョン」と呼ばれる。水が一番きれいです。チェジュには畑はありますが、水田はカンジョンにしかない。コメどころで豊かな農家が多い。現在はミカン栽培が盛んです。このように平和な村でした。水がきれいなので、天然の鮎も生息している。

ところがこうしたすばらしい自然環境を守る闘いを強いられている。海軍基地建設のための埋め立て工事が進められ、ユンボが入っている。コンクリートの塊が海中に埋められた。村民は、海軍基地建設を阻止するために、ユンボの前に立ちはだかり、ミキサー車の前に横たわる。いま映画評論家のヤンさんが逮捕され、獄中でハンストに入っている。彼の主張はただ一つ、「工事を中断しろ」です。「海軍基地計画を撤回しろ。そのために命を捨てる。」そして現在もハンスト中です。工事の事業主であるサムスンがクレーン車の前に横たわったヤンさんを告発した。ハンスト41日目に、彼は遺言書を書いているはず。しかし道庁も政府も工事を中止しない。韓国政府は命の大切さがわかっていない。

(スライドを映写しながら)このきれいな海の生物は、絶滅危惧種のサンゴです。群落もあります。さまざまな種類のサンゴがあり、ユネスコも生物系保全地域に指定している。ここを浚渫し、潰そうというのです。生命の尊厳を全く認めていない。韓国政府も生態系保全地域に指定し、文化財絶対保全地域にも指定しています。特別法で規定され、どのような理由でも開発は許されない。2004年の保全地域指定を2009年に解除した。自然だけでなく、共同体も破壊された。

最初の海軍基地計画は1996年に明らかになった。95年に確定した計画により、96年にカンジョンの西側の海岸にあるファスンに指定されたが、住民による10年間の反対闘争で工事はできず、2006年に今度は東海岸のウィミに指定された。ここでも全住民に反対され、最後にカンジョンが指定された。そこで海軍がしたのは、卑劣で許せない方法だった。村の代表を密室に呼んで村長と指導部を懐柔し、村民集会を開いた。海女は誰も参加しなかった。1000名ほどの村民のうち、80名が集められ海軍基地受入を決定した。反対派も対策委員会を作り、結局村落共同体が瓦解した。意見が違うというだけで、息子の結婚式にも、友人の葬式にも参加しない。村の共同体は木端微塵となり、人々は心に大きな傷を負った。経済的にも傷を負い、農業もできず、家庭も瓦解した。政府・道庁・裁判所いずれも、住民の側に立つことはなかった。

問題は三つある。第一は環境破壊。第二は村落共同体の破壊。第三は手続きの違法性。これは裁判所でも認定された。推進側は80人の村民集会の決定を根拠にしているが、新しい村長の下で760人が集まり、80%が反対した。道庁は世論調査をでっち上げ、立地選定調査をした上で、工事を強行した。2009年には環境アセスも実施した。アセス委員も十分な調査ができないまま、委員の発言もできないまま決定された。絶対保全区域には道議会の決議が必要だが、審議もせずに指定解除を強行採決し、裁判になっている。18日に判決が出る。期待してはいない。みなさんもご存知だと思いますが、住民も期待していない。悲しい現実だが。違法な方法で、工事が進行している。

海軍基地には15000トン級の船が入る。広さは16万坪もあり、船が57隻入る。原子力潜水艦の入港計画もある。

この写真は、カンジョンだけに生息している赤カニです。海軍は他の地域に赤カニを全部移す計画を立て、捕獲を始めている。もう赤カニは見れなくなるかもしれません。環境問題の専門家は、カニの移住は無理だと言っている。この写真は村民の反対闘争の様子です。済州島を一周し、全道民に訴えた。市役所前で平和文化祭も実施した。これは工事の生コン車の前に身を投じている写真です。ユンボの前に立ちはだかり、警官に連行されている。警察が動員され、工事が進められている。

済州島に海軍基地を建設するのは、島の防衛のためでなく、攻撃拠点です。海軍基地ができれば中国が緊張を高める。韓国の安全保障のためには、多国間協議こそが必要であり、絶対に戦争ではない。兵器、基地を通じて平和を守ることはできない。みなさんと力を合わせて連帯するときに、東アジアの平和は可能です。そのために来た。きょうは一日基地の周辺を歩き、色々学び、神奈川の闘いの雰囲気を学ぶことができた。今回は来るのに悩みました。でも来てよかった。沖縄でも、神奈川でも、みなさんの闘いの中に希望を学ぶことができたからです。みなさんと一緒に闘いたい。力を貸してください。ありがとうございました。

〈主な質疑〉

Q:建設予定地の水深は。文化財とは何を指すのか。

A:水深は公開されていません。計画の概要だけ公開して、詳細は要求しても公開しない。予算も増えている。2014年までの計画だが、9500億ウォで、当初予算の1・5倍。しかし、詳細計画は公開されない。国会に真相究明団が結成され、5月4日から調査が始まっている。それから、文化財とは、サンゴと植物などです。

Q:韓国の沿岸は浅いはずですが。

A;最初の計画では潜水艦の計画はなかった。「クルーズの港」と言って、「海軍艦船は立ち寄るだけ」と発表していた。詐欺でした。近くにクルーズの港は既にあります。つまり、実質は大型艦船が入れる港。潜水艦が二隻は入れる。現時点では、海軍側もそう明言し、浚渫計画もある。

Q:米軍の計画との関係は。米軍の意図があるのでは。

A:そのとおり。韓国軍の作戦指揮権は米軍です。共同使用が前提です。沖縄に自衛隊基地を作る動きと今回の海軍基地計画も無関係ではありません。東アジアの緊張を高める動きです。

Q:海軍基地はいくつあります?

A:海軍基地は2か所。東西の海岸にあり、スウィングして北に向かう。

Q:日米韓の軍事一体化が強まる中で、反基地平和運動をどう強めるか。

A:労働運動と市民運動、進歩勢力がどう結びついたらよいか。弱体化する運動を再生するのに、いろいろな知恵と教訓を教えていただいて、参考にしたい。

Q:チェジュにはこれまで基地がなかったと聞いている。戦前の日本軍の基地はあったが、なぜいま海軍基地建設なのか。

A:軍事基地を作る試みは、これまでもあった。米軍の空軍基地建設計画もあった。3年前に県央共闘のみなさんが見学された旧日本軍の飛行場跡に何度も建設計画があったが、道民の反対で阻止してきた。今でも米軍基地の建設計画なら、全道民反対になる。だから、「韓国国軍の基地」と言っている。みなさんご存知のように、自衛隊基地も自衛隊だけが使用するのではない。1939年に日本軍が試みたのは、全島要塞化。海岸に洞窟を掘り、飛行場を作った。2009年に暴露されたプランには、島の南半分の要塞化が盛り込まれていた。これを暴露した国会議員は機密漏えいで裁判になっている。

Q:指揮権がなぜ米軍にあるのか。

A:1950年の朝鮮戦争の時期には、韓国に軍隊組織はなかった。将軍はマッカーサーで、韓国にはイ・スマンがいたが、全権はマッカーサーにあった。それがいまだに引き継がれている。ノ・ムヒョン政権の時に2012年までに作戦指揮権を米軍から韓国に返還することになったが、イ・ミョンパク政権に代わり変換時期が延期され、確定していない。

ノ・ムヒョンのスローガンは「自主国防」で、米軍との緊張が高まった。この時に海軍は野望を抱いた。海軍の威信を高めるチャンスになると踏んだ。イ・ミョンバクは実用主義で、海洋防衛は米軍に任せろという政策。むしろ沿岸部に重点的に予算配分する政策。駆逐艦とかイージス艦を重視する。

Q:横須賀が原子力空母の母港になるのに10年かかった。原子力空母に必要なのは、まず岸壁の拡張、純水装置の設置、ガス発電所。この3段階があるので参考にしてください。

A:ありがとう。