きょうは高江の問題で、高江から遠くにある横浜の地で学習会を開催してもらえるということで、感謝しています。
4月16日から23日まで、自治労からの派遣で宮城県にボランティアで行って来ました。報道されているように、本当にすさまじい世界でした。被災地の一日も早く復興ができるよう力を合わせたいと思います。きょうはここに来る前に平和フォーラムの総会がありました。今年の5.15平和行進は、震災の関係があり全国行進を取りやめました。延々と流される被災地の状況を見て、今年も沖縄で基地撤去をがんばろうと呼びかけて一緒にすべきか悩みました。やはり平和行進は復帰から39年続いていますので、止めることはできませんが、沖縄だけで行進して、全国の仲間とは被災地支援でがんばろうということにしました。来年は復帰から40年の節目を数える年です。恐らく辺野古の基地建設も始まる可能性もありますので、節目の大きな行動を提起したいと思っています。そのときにはよろしくお願いします。
最初に高江の状況をお話して、後でまた沖縄の全体状況に触れたいと思います。
「12月22日の未明、高江で今年の工事が始まった」というニュースが流れました。22日の夜に平和運動センターの車にコンロと米・味噌・しょうゆなどを詰め込んで、すぐ高江に向かいました。その日は何事もなく車の中に泊まりました。翌日、23日の夜7時ころ、真っ暗で何も見えない状態でしたが、米軍のヘリコプターがいきなり飛んできて車の上でホバリングを始めた。車が倒れるくらいにゆれて、テントが壊れる音がしました。そんなことがあって、1月中旬までに防衛局長交渉2回、現地での交渉1回やりましたが、埒が明かない。私たちの要求は、米兵がやったのは事実なのだから謝罪させろ。謝罪するまで飛行訓練は止めさせろ。防衛局の工事も止めろ。これを求めました。結局、米軍はやっていない、通常訓練で飛んだだけ、と。通常訓練であんなことが起こるということはこれからも起きるということ。とんでもない。こんなやり取りをしているときに、工事に入りました。それからは工事を止める行動に集中したので、結局、ホバリング事件は闇に葬られました。沖縄の長い基地闘争の中で、沖縄現地の防衛官僚、防衛局長を現場に引き出してやり取りしたのはかつてないことでした。
北部訓練場は那覇市がいくつも入るくらいの広大な演習場です。1996年のSACO合意で北部訓練場の半分北部の国頭村分は返還しましょう、となった。みんな喜んだが、7箇所のヘリパッドを南部の東村に移しますという条件付でした。これは普天間の話と同じです。この基地建設の大きな問題は、辺野古の新基地建設と関連していることです。辺野古の新基地からヘリが飛んできて高江で訓練するということです。現在はCH46とCH53というヘリですが、来年2012年にオスプレイという最新鋭ヘリに更新されます。アメリカでも墜落事故が頻発しているオスプレイという恐ろしいヘリが高江の集落のそばで訓練することになる。ヘリは低空飛行で訓練するので危険性も増します。
1月18日から2月28日まで毎日防衛局の職員を連れてきて、工事を強行してきました。N4ゲートには既存のヘリポートがありますが、オスプレイ用に拡張している。琉球松を伐採した。N1は、反対派を阻止する為にゲートを作ったため、ダンプで資材を搬入できないので、土嚢を投げ入れる。それを阻止した。進入路も200メートルしかできていない。
7月からさらに整備する工事を始める。これを阻止するには、人が必要。高江は辺野古からも1時間以上かかる。全国から様々な方が支援に入っていますが、那覇から日帰りではなかなか来るのが難しい。高江の闘いは2007年から始まっていますが、村長も区長も反対を言わない中で、厳しい闘いとなっている。県知事も名護市長も反対と言っている辺野古との違いです。5世帯10数名で住民の会を作って運動している。厳しい中で、くじけないで建設反対を言い続けています。代表2名は妨害禁止の仮処分決定を受け、「仮処分は不当」と本訴に持ち込んでいる。
菅総理が6月に訪米する予定で、その手土産で高江の工事を強行したという話がある。こんな政権は何なんだ。有権者の期待を政治家が裏切ってはいけない。
高江は世界の希少動物の宝庫で、産卵期ということで、工事は止まっていますが、7月1日からは、作業員を200人、300人、ダンプを20台、30台連ねてくる可能性もある。
辺野古の状況も話しておきます。SACO合意から15年ですが、まだ作らせていない。15年たって作れないのに、まだ作るというのか。海兵隊はそもそも必要なのか。そういう議論も出ている。沖縄では「沖縄のために基地が必要」なんて言っても誰も信じない。しかし、本土では宣伝が行き届いていて、沖縄の基地がなければ日本の安全が守れないという理屈が通用しています。今回の大震災でも、沖縄の海兵隊が被災地に行ってパフォーマンスしました。やはり海兵隊必要だろう、と。3月31日には思いやり予算1881億円の現行水準を5年間維持する法案が可決されてしまいました。沖縄では、こういう思いやり予算を震災復興に回すべきではないかという声が強い。原発80k圏外から被災地支援するよりも、その方が被災地の為になるのではないか。辺野古新基地建設1兆円、グアム移転1兆円、合わせて約3兆円を被災地支援にあてるべきではないか。これが沖縄で言われていることです。
消費税を上げるという話が出ていますが、こういう無駄な金をそのままにしておいて、増税はないでしょう。私たちはどこかで自分のはらわたに怒りを溜めないで、どこかで吐き出さなければいけない。言うべきことを言わないと世の中は変わらない。震災の支援に米軍や自衛隊が出ていて、軍隊反対といいにくい雰囲気がありますが、いうべきことは言わないといけない。仲井真知事も「米軍が支援していることと、基地を認めることは違う」と言っています。そこはしっかり言わないと、丸ごと絡め取られてしまいます。CMで日本は一つ、力を合わせようとやってます。文句は言うな、と。しかし、文句は言わないといけない。震災の現場に行ったら、本当に悲惨でした。直径60キロ圏内は人が住めない、こんなことをしておいてみんな怒っています。東電は絶対許さん、原発は許さん。それが言えない様な状況を作っている。そこが権力の怖いところだと思います。
沖国大でヘリが墜落したときに、事故現場周辺を米軍が囲い込み中に入れなかった。有事の場合に、国は誰を守るのかということ。国は、住民の安全ではなく、米軍と共に軍事機密を守ろうとした。事故ヘリに誰も近づけなかった。いま、福島で起きている状況は、まったく同じではないですか。20キロ圏内は死体も放置されている。
米軍がいたら沖縄が守られる?「うそ言うな!」です。いざミサイルが飛んできて阿鼻叫喚の地獄になったら、国家なんて住民のことを考えません。自分の暮らしは自分で守らなければと思います。2007年にPAC3が搬入されたときも、天願桟橋に行って阻止しました。このときも「北朝鮮のミサイルから沖縄を守るための配備だ」と言われましたが、そんなことはウソ。米軍基地を守るだけ。そんな危険なものを持ち込むな、と反対しました。沖縄に基地がなければ戦争なんか起きない。これは沖縄戦の反省です。住民の知恵は、戦争を避けるためには、戦争の道具を遠ざけることです。
東京や神奈川の大都会は企業や資本、労働力が集中しています。それを守るために、維持する為に米軍基地と原発が張り巡らされている。臭いものは全部地方です。1960年の安保改定のとき、本土の米軍基地は沖縄に行きました。その後どうなったか。基地は沖縄に集中して、本土の地方には原発がいっぱいできた。これがこの国の成り立ちです。このことをよしとしている限り、地方は生きていけない。そういう国のあり方はおかしいという論議をしないといけない。
なぜ沖縄の人が基地問題に熱心なのか。原発を抱えている地域の住民が原発から逃れられないように、沖縄は基地から逃れられない。つい最近も酒気帯びの米軍車両と正面衝突した19歳の少年がいて、公務中だからということで裁判権は沖縄にない。地位協定の問題は大きな問題です。
最後に、女性たちが4月12日に普天間飛行場で風船をあげる行動を展開し、ヘリの離発着ができなくなった。普天間飛行場は航空法が適用される飛行場でないので、米軍も警察も風船上げを阻止できない。さまざまな行動を工夫しながら、高江も辺野古もがんばります。私たちに人間らしい生活を返せというのが根本です。