妊娠中の女性に対するアレルギー性鼻炎治療のポイント
妊娠中は女性ホルモンが増加し、鼻粘膜が腫れてうっ血しやすくなるなど、鼻炎症状は悪化する傾向にあります。 治療の原則は 抗原となる花粉や ハウスダストから 身辺を 守ることです。 花粉のシーズンは 外出時にマスクやめがねを着用し、ハウスダストを周りから減らすことなどを心がけましょう。どうしても薬物療法が必要なときは、局所用剤や比較的安全性の確立されている薬剤の短期的、必要最小量の投与が原則です。 まず、セルフケアと薬物療法について説明します。
1)セルフケア
すぎ花粉に対して
花粉の少ないとき : 花粉情報に注意 治療薬を準備
やや多いとき : 外出時マスク、めがねをつかう
表面のけばけばした服の着用は控える(花粉が付着するから)
多いとき : 外出から帰ったら洗顔、うがい、鼻をかむ
非常に多いとき : 外出を控える 窓、戸をしめる
ハウスダストに対して
家庭内のハウスダストを減らす カーペット、畳はダニが発生しやすい
こまめな掃除
室内で動物を飼わない 湿度が60%以上でダニの発生が起こるので注意する
空気清浄機の使用
最近の高性能フィルターを使用した空気清浄機はかなり効果があると言われています。
寝具の手入れ
布団で寝るよりベッドのほうがよい 出来るだけ丸洗いできる素材の寝具がいい
中綿は羊毛や羽毛はダニの餌になるので、綿か化繊のものにする 防ダニ布団もある
2) 薬物療法
妊娠中の薬物の使用は催奇形性や胎児毒性の問題を考える必要があります。 ことに、妊娠初期には投薬を極力さけることが望まれます。
局所用剤は経口剤より安全性が高いと思われます。 点鼻ステロイド、点鼻点眼アレルギー薬を必要最低 限の量で使用します。
経口薬をやむをえず使用するときは、安全性の確立されている第一世代、第二世代の抗ヒスタミン薬を短 期間使用します。
3) 減感作療法について
減感作療法は日頃抗原として吸い込んでいる物質を用いているので、妊娠しても継続する事が出来ます。ただし、注射の濃度は皮膚反応がでない程度に抑えた方が安全と思われます。
4) 鼻の洗浄
蒸留水を用いた鼻の洗浄用具を用いて物理的にアレルギー物質を取り除きます。 また、蓄膿症などの鼻洗浄にも効果的です。この方法は、全身にはなんの影響もおよぼさず、妊娠された方にはまず、第一の選択といえます。 当院では、リノフロー、ライノウオッシュ といった、器具を用いています。