耳鼻咽喉科 Q&A

 

いろいろな耳鼻咽喉科での質問をあげてみました。
特に、お子さまの問題を多く取り挙げ、Q and A にしていますのでご覧下さい。

 
9)習慣性扁桃腺炎

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1)学校における定期健康診断について


Q.定期健康診断について校医と主治医(受診医)の診断が違うことがありますが?


A.主治医の診断を優先させてください。集団健診は基本的にスクリーニング健診です。集団健診は短時間に多くの児童・生徒を健診するため正確さを欠くこともあるといえます。また、健診と主治医受診時期にズレがあると病状も当然変わることがあります。最近は季節的なアレルギー疾患が多いので、受診した日には指摘された疾患がすでに治っているようなこともあります。

Q.健診で病気が見つかれぱ水泳は禁止ですか?


A.病気が見つかったとしても、すぐに水泳は禁止といったことではありません。日本耳鼻咽喉科学会の基本的な考え方によれぱ、耳鼻科の病気があったとしても、出来るだけ皆と一緒に楽しく水泳をやっていただこうというものです。例えぱ鼓膜に穿孔がある慢性中耳炎がみつかったとしても、患耳に水が入らないように耳栓を装用した上で水泳を認めるようにしています。
耳鼻科的に水泳が許可されないのは、病気が急性期にある時や、鼻漏や耳漏が多量にあり、プールの水を汚す恐れのある場合等です。健診の緒果、学校から治療勧告書を貰った場合、治療終了報告書を提出しないと水泳に参加できないといったことではありませんが、個々のケースについては主治医の意見をお聞きください。アレルギー性鼻炎がある場合はプールの塩素が鼻粘膜を刺激・傷害することがあるので注意しながら水泳をするのがよいでしょう。
 

Q.しん出性中耳炎のため耳にチュープを入れている児童・生徒の水泳はどうですか?



A.基本的には慢性中耳炎の場合同様、耳に水が入らないように耳栓をした上で水泳は可能です。しかし、飛び込み・潜水は禁止です。詳しくはチュープ挿入手術をした主治医の意見にしたがって下さい。

 
Q. 定期健康診断で耳垢(栓塞)の病名が大変多いようですが?

A.最近の家庭での傾向は耳垢を家で取らない(取れない)ように思います。そのため耳垢を貯めている児童が大変多くいます。外耳炎の原因になることもあり、また、耳垢のため、鼓膜を充分に診察することが出来ないことも多く、健診の意昧が少なくなります。家庭で取りにくいなら、専門医で耳垢を取ってもらった上で、診察をうけるのがよいと考えています。
 
Q.アレルギー性鼻炎も大変多いようですが?

A.アレルギー性鼻炎は現在、児童・生徒の3割強に認められ、小学校高学年から中学生になると増える傾向にあります。また、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、結膜アレルギーを含めたアレルギー性四大疾患の中でも最も頻度が高く、学校保健の中では大きな問題疾患であると考えられます。アレルギー性鼻炎の三大症状であるくしゃみ、鼻水、鼻づまりのうち小・中学生では鼻づまりが最も多い症状であることが調査で明らかになっています。鼻づまりからの集中力不足は勉学等に大きな影響を及ぼすと患われます。
 
Q.毎年、定期健康診断で扁桃肥大を指摘されますが、毎回専門医の受診が必要でしょうか?

A.扁桃肥大でも特に、症状のないものは経過観察のみでよいと思います。但し、睡眠時無呼吸症候群の原因になっているものや、慢性扁桃炎を起こしていて、腎炎や慢性リウマチ等の病巣になっているものもあることを注意してください。
 
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2)学校で良く起きる鼻血・鼻部外傷

Qよく鼻血を出すこどもがいますが?

A.鼻出血の80〜90%は鼻中隔前下部(キーゼルバッハ部位)から起こります。この部は粘膜の表面近く多数の毛細血管があるためです。鼻をかんだり、少し鼻を触ったり、あるいは何もしなくても鼻血が起きることがあります。鼻の入口に近いところですから、この部位に綿球を詰めた上で、左右の小鼻と一緒にしっかり挟むようにして下さい。そうすれぱ大抵の鼻血は程なく止まります。顔をあお向きにしていると出た鼻血がのどに流れて気持ちが悪いことがあるので、寝かせずに坐ってうつ向きになっているのがよいでしょう。
肝疾患・高血圧・血液の病気などで鼻血が起こり易いこともありますが、子供の場合、大抵は特に病気はなくて上記キーゼルバッハ部位の損傷によるものです。鼻炎やアレルギー性鼻炎などがあると鼻を触るくせが出るので鼻血もよく起ることになります。勿論、鼻血がひどい時やあまり.頻回に起きるときは一度は出血傾向にいて全身的検査を受けることも必要でしよう。
 
Q.鼻部の打撲で鼻の辺りが腫れ上がったとき鼻骨々折がないか心配することがありますが?

A.鼻骨は弱い骨なので、スポーツの最中、鼻を打ったときなどに、簡単に鼻骨骨折が起ります。鼻骨々折を疑うのは鼻スジが歪んだときや陥凹が出来たときです。しかし、鼻骨々折の整復は緊急の要ではありませんから、鼻血がいつまでも止まらない、縫合を必要とする外傷があるといった場合でなけれぱ、あわてずに、設備の整った病院へ行って診察を受けるのがよいでしょう。
 
 
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3)しん出性中耳炎について


Q.しん出性中耳炎とはどんな病気ですか?

A.しん出性中耳炎は中耳カタルとかカタル性中耳炎といい、のど、鼻の奥を連絡し中耳の気圧の調整をしている耳管の機能が風邪や副鼻腔炎などで悪くなった時に起こります。耳管の機能が悪くなると鼓膜が陥凹して、徐々に中耳に液がたまります。そのために耳のふさがった感じやきこえが悪くなったりします。まず、風邪や副鼻腔炎を直すことが大切ですが治りにくかったり、きこえが悪い場合には耳管通気療法(鼻を通じて中耳に空気を送り込む治療法)や時には鼓膜に小さなチューブを挿入する手術をすることもあります。成長するに従ってあまりかからなくなりますが、小学校の高学隼までは何度も繰り返したりなかなか治りにくかったりするので根気強く治療をしなけれはならない場合があります。
 
Q.しん出性中耳炎でチューブを入れるにはどんな時ですか?

A.私どもは次のような基準を考えております。
小学校入学までは自然治癒も多いので保存的な治療を続けます。 なお、鼓膜に問題がありそうなときは小学校入学の数ヶ月前に聴力検査をします。 (うまい具合に、この時期になりますと通常の聴力検査ができるようになります) この検査で30−40デシベルの音が聞こえないとすると、小学校の授業で先生の言うことが聞こえない可能性があります。 そこで、この時点でチューブを入れるかご相談します。 これも、この年齢になりますと、ほとんどのお子さまで外来で局所麻酔でチューブを入れることが出来ます。
チューブは通常3−6ヶ月間入れたままにしておきます。
 

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4)心因性難聴について


Q.心因性難聴とはどんな病気ですか?

A.心因性難聴とは発症の背景に何らかの心理的要因があると思われる難聴で、心因性の咳、チック、視力障害と同じようなものと考えられます。聴力検査にオージオメーターが導入されるようになってから発見されるようになりました。聴力検査では難聴を示しているのに、その難聴の程度に相当する器質的障害が認められないものです。本人にとっても難聴の自覚がないこともあり、普通に会話ができている。「日常会話には支障がなく、周囲もこの子どもの聞こえが悪いとは感じたことはない」ということが起こります。耳の症状としては他に、耳鳴り、耳閉感、耳痛などが見られ、耳以外の症状としては視力障害や頭痛、または腹痛、吐き気、食欲不振などの消化器症状などを合併することがあります。発症の背景となる心因としては環境的なもの(外因子)とこども自身の性格的なもの(内因子)があり、その内容は学校生活、家庭生活、患児自身にかかる間題などがあります。たとえぱ、学校関係では転校やいじめなど、家庭環境では両親間の問魍、兄第問の葛藤などがあり、これらの背景は単独でなく、オーバーラップしていることがあります。
発症の男女比は約1:2と女子に多く、年齢的には8〜10歳前後を中心とした小学生から中学生に多く見られます。頻度は小学生では1万人に8人程度と推測されていますが、全症例のうち6割が学校健診で発見されます。この子達はオージオグラムを介して心の危険信号を発している訳です。これを発見し、心の訴えを受けとめてあげることが大切です。
 
 
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5)なかなか治らない中耳炎


Q.中耳炎で耳鼻科に通っていますが、数ヶ月間も治ったといわれません。 また、一度治癒と言われても、すぐに中耳炎になります。

A.これは、耳鼻咽喉科医師にとって、おおきな悩みです。一般的に言えば、一度も中耳炎にならずに大人になる子供もたくさんいますが、中耳炎を繰り返すお子さんや先に述べたようなしん出性中耳炎の状態となり治癒が遅くなることが問題です。 これは、つぎのような原因が考えられます。
1) 鼻と耳をつなぐ管、耳管といいますが、これが幼少時は太くて、短く、水平に近くなってい ます。 すなわち、鼻水が耳に入りやすく中耳炎になりやすくなっています。 かなり個人差があると思われますが、この解剖学的特徴が目立つ子供は中耳炎になりやすく、治癒の途中でも再び中耳炎が再発するということになります。
2) 最近は、アレルギー性鼻炎の子供が多く、一度中耳炎になると中耳の粘膜もアレルギー性変化が起き、なかなか治りません。これは、しん出性中耳炎の発生しやすい体質です。
3) 安易な、抗生物質の投与が薬剤耐性の細菌の発生が起き、難治性中耳炎の原因となります。したがって、強力な抗生物質よりも鼻、のどをきれいに掃除してできるだけ細菌の量をへらしてあげるようにします。
 
こういった理由でなかなか治らない中耳炎が存在します。厳密に言えば、中耳炎は少しづつ治っていますが、もう少しで正常になるというところで新たに中耳炎が発生ということが起こっています。わたしたちも、一刻も早く「治りました」といってあげたいのですが、中途半端に治療を終了すると再発やしん出性中耳炎を引き起こしてしまうので引き続き治療を行うのが現状です。 現在のところ、画期的な治療法はなく根気よく治療するしかありません。また、途中の鼓膜の状態をよく見る必要がありますのでご苦労ですがあきらめずに通院してください。多くの場合は年齢とともに中耳炎発生もなくなります。 担当の医師によく現在の状態をお聞き下さい。 
 
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6)小児の副鼻腔炎
 


Q.すぐに小児副鼻腔炎になるのですが?

A.小児と大人の副鼻腔を比べると小児は鼻腔と副鼻腔とのつながりが広いため、簡単に細菌が侵入し簡単に副鼻腔炎になります。 また鼻の中の空洞が狭いため、すぐに膿が一杯になって、鼻腔にでてきます。つまり、小児の副鼻腔炎は
・風邪など、ちょっとしたきっかけで、なりやすい(繰り返しやすい)。
・膿性の鼻汁が多くでる。
・治りやすい。
という特徴を持っています。 

小児の副鼻腔炎はほとんど、外来の治療で治ります。安心して治療に専念して下さい。

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7)アデノイド

Q.アデノイドが大きいといわれました。

A.アデノイドは扁桃腺の一部で鼻の奥にあります。 これが大きいと、鼻から呼吸が出来ない、しん出性中耳炎が発生しやすいなどの障害がでてきます。 あまり症状がひどい場合はアデノイドを切除して空気の通り道を拡げる手術を行います。 同時に扁桃腺を切除する場合もあります。
 

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8) 先天性耳ろう孔


Q.先天性耳ろう孔といわれました。  

A. 耳の前に小さな穴があり、ときどきジクジクと汁が出て、くさいにおいがする。 これは、先天性耳ろう孔といって、耳の前の小さな穴は奥に皮膚が入り込んで管状になったものなので、自然には治りません。細菌感染を繰り返すなど症状がひどい場合は手術をお奨めします。 


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9)習慣性扁桃腺炎について


Q.扁桃腺炎を繰り返します。耳鼻科を受診し、扁桃腺の手術を勧められました。どうしたらいいでしょうか?

A. 習慣性扁桃炎といって、年に4・5回以上、高熱とのどの痛みを伴う扁桃腺炎を繰り返すことです。 大人の人でも同様ですが、たとえば発熱して一週間休んだとします。 これを4回繰り返すと、合計1ヶ月学校、会社を休むことになります。 これは、大きな損失です。
また、睡眠時無呼吸症候群の原因になっているものや、慢性扁桃炎を起こしていて、腎炎や慢性リウマチ等の病巣になっているものもあるもあります。
 
抗生物質の発達で以前にくらべて手術例は少なくなりましたが、上記のような方は手術をお奨めします。

 

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