インフルエンザ Q&A


インフルエンザについて Q&A にしてみました。 ご覧ください。


1) インフルエンザはかぜとどう違うのですか?
2) インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?
3) インフルエンザの症状と診断方法について教えてください.
4) 合併症について教えてください.
5) インフルエンザ脳炎・脳症と解熱剤について教えてください.
6) インフルエンザにはどんな治療法がありますか?
7) インフルエンザの予防接種は効果がありますか?
8) 特に予防接種を受けたほうがよいのどのような人でしょうか?
9) インフルエンザの予防接種を受けることが好ましくないのはどんな場合ですか?
10)インフルエンザ流行のピークはいつですか?

11)タミフルの子供への使用について
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Q:インフルエンザはかぜとどう違うのですか?

普通のかぜはライノウイルスやコロナウイルス等の感染によって起こります。症状としては,のどが痛む,鼻がむずむずする,水のような鼻汁が出る,くしゃみや咳が出るなどが中心で,全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく,重症化することはあまりありません.一方、インフルエンザの場合は39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く,あわせて普通の風邪と同様の,のどの痛み、鼻汁などの症状もあらわれます。さらに,気管支炎、肺炎などを併発し,重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。また,インフルエンザは流行が始まると,短期間に乳幼児から高齢者まで膨大多数の人を巻き込むという点でも普通のかぜと異なります。ちなみに、よく似た名前を持つインフルエンザ菌という細菌がありますが、これは以前インフルエンザの原因と間違われたためについた名称で,インフルエンザの原困ではなく,別の病気の原因となります.

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Q:インフルエンザにかからないためにはどうすればいいですか?


予防の基本は,流行前に予防接種を受けることで,これは欧米では一般的な方法になりつつあります.また,罹患した場合に重症化する可能性の高い人には,重症化防止の方法としても有効です.インフルエンザは,インフルエンザにかかった患者の咳などで空気中に拡散されたウイルスを鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します.インフルエンザが流行してきたら人混みは避けましょう.特に高齢者や慢性疾患を持っている人や,疲れたり睡眠不足の人は,人混みや繁華街への外出を控えましょう.罹患したとき重症化する可能性が高くなります.空気が乾燥すると,インフルエンザに罹患しやすくなります.外出時にはマスクを利用したり,室内では加湿器などを使って適度な湿度を保ちましょう.常日ごろからバランスよく栄養をとることも大切です.外出時のマスクや帰宅時のうがい,手洗いは,かぜの予防と併せてお勧めします

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Q:インフルエンザの症状と診断方法について教えてください.


症状については,突然の39℃を超える発熱,上気道炎症状,全身倦怠感等の全身症状が出現することが特徴的です.流行期(わが国では例年11月〜3月)にこれらの症状のあった場合はインフルエンザの可能性が高いと考えられます.B型よりもA型のほうが症状は強い場合が多く,潜伏期は1日から5日(平均3日問)とされています.通常,症状は約1週間で軽快することがほとんどですが,肺炎などを合併する場合もあり,注意が必要です。感染直後にインフルエンザウイルスを検出するための簡便検査キットがあり診断できます.咽頭などからウイルスが分離されたり,血液検査で抗体価の上昇が認められれば診断が確定されます

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Q:合併症について教えてください.


抵抗力の弱い高齢者・乳幼児,気管支喘息等の呼吸器疾患,狭心症等の循環器疾患,糖尿病,腎不全,免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などを患っている方では,インフルエンザにかかると合併症を併発する場合があります.高齢者では細菌の二次感染による肺炎,気管支炎,慢性気管支炎の増悪が起こりえます.また,乳幼児では中耳炎や熱性けいれんが起こりえます.その他の合併症としては,ウイルスそのものによる肺炎や気管支炎,心筋炎,アスピリンとの関連が指摘されているライ症候群などが挙げられます.合併症の状況によっては入院を要したり,死亡する例もあり注意を要します.時に大流行を起こしたり,合併症が重く出現することがある点で多くの犠牲者が出る場合があります.近年,わが国では,まれながら小児でのインフルエンザに関連したと考えられる脳炎・脳症の存在が明らかとなり,現在研究班が構成され病態の解明を進めています


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Q:インフルエンザ脳炎・脳症と解熱剤について教えてください.


インフルエンザの経過中に,意味不明の言動,幻視,意識がはっきりしない,けいれん等の症状が現れることがまれにありますが,その場合,急性脳炎・脳症を起こしている可能性を考える必要があります..これまての調査では年問100〜20O例ほどの発症ですが,その1/3は死亡、約10%は日常生活に支障をきたす程度の後遺症が残る重症合併症です.発症者の多くは,1〜5歳の幼児です.その調査の過程で,ジクロフェナクナトリウムという成分を使った解熱剤(販売名 ボルタレンなどで知られているもので,内服剤と坐剤があります.)を投与された脳炎・脳症の忠者さんが死亡した割合は,解熱剤を投与されなかった患者さんやジクロフェナクナトリウム以外の解熱剤を投与された患者さんが死亡した割合より多い傾向がみられたことが指摘されました.また,病理解剖をさせていただいたインフルエンザ脳炎・脳症を起こした患者さんの脳の所見からは,解熱剤の投与の有無にかかわらず,脳血管の細胞が著しく損傷していることがわかりました.ジクロフェナクナトリウムは一般に,血管の細胞の修復に働く体内の酵素を抑制する作用が他の解熱剤に比べて強いといわれており,インフルエンザ脳炎・脳症で本剤が使用された場合,その損傷の回復を遅らせる可能性も考えられます

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Q:インフルエンザにはどんな治療法がありますか?


かぜだと考えずに早めに医療機関を受して治糠を受けましょう.
・安静にして,休養をとりましょう.特に睡眠を十分にとることが大切です.空気が乾燥するとインフルエンザにかかやすくなりますので,部屋の湿度を保ちしょう.水分を十分に補給しましょう.お茶,ジュース,スープなど飲みたいもので結構です.なお,早めに治療することは,自分のからだを守るだけでなく,他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変重要なことです.
なお、1998年11月から抗インフルエンザウイルス治療薬が使用できるようになりました.また,インフルエンザにかかったことにより,他の菌にも感染しやすくなりますが,このような菌の混合感染による肺炎,気管支炎などの合症に対する治療として抗生物質が使用されます.これらの薬の効果については,インフルンザの症状が出はじめてからの時間や体の状態により異なりますので,使用する,しないは医師の判断となりますので十分に医師に相談することが重要です.なお,市販のかぜ薬は,発熱や鼻汁,鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが,インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません.

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Q:インフルエンザの予防接種は効果がありますか?

インフルエンザの予防接種で,インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し,健康被害を最小限にとどめることが期待されます. また副反応については高齢者であっても重篤なものはなかったとしています.インフルエンザに対する治療法も実用化されましたが,感染前にワクチンで予防することがインフルエンザに対抗する最も有効な手段です.特に65歳以上の方や基礎疾患を有する方(今管支喘息等の呼吸器疾患,慢性心不全,先天性心疾患等の循環器疾患,糖尿病,腎不全,免疫不全症(免疫抑制剤による免疫低下も含む)などインフルエンザが重症化しやすいので,かかりつけの医師とよく相談のうえ,接種を受けられることをお勧めします.なお,当然のことですが,インフルエンザの予防接種では他のかぜウイルスによる「かぜ」(かぜ症候群)を防止することはできません.

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Q:特に予防接種を受けたほうがよいのどのような人でしょうか?


第一に65歳以上の高齢者が挙げられますまた,乳幼児や基礎疾患を有する方(気管支息等の呼吸器疾患,慢性心不全,先天性心疾等の循環器疾患,糖尿病,腎不全,免疫不全免疫抑制剤による免疫低下も含む)は,インフルエンザの重症化を防ぐためにワクチンによる予防が望ましいと考えられます.また,これらの方とする機会が多い方も「インフルエンザを感染させない」との観点から予防しておくほうが望ましいかと考えます.いずれの場合も,かかりつけの医師と相談のうえ,流行期に間に合うようワクチンを接種することをお勧めします.また,上記の方にインフルエンザをうつさないようにするため,同居やお世話をしている人にもワクチン接種をお勧めします

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Q:インフルエンザの予防接種を受けることが好ましくないのはどんな場合ですか?


ワクチン接種には不適当と考えられる方は以下のように考えられます.
@明らかな発熱を呈している者
  *:通常は,37.5℃を超える場合をいいます.
A重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
B当該疾病に係る予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーショックを呈したことが明らかな者
Cその他,予防接種を行うことが不適当な状態にある者
 このほかに生理機能の低下した高齢者,著しい栄養障害者も医師にご相談ください.

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Q:インフルエンザ流行のピークはいつですか?


近年の流行のピークは,12月から2月で,1月から増え始め,4月には終息することが多いようです.
     

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Q:タミフルの子供への使用について

タミフルの10代への使用中止については平成19年3月21日の朝、厚生労働省が10代の患者に対しタミフルの処方を行わないように指示したことが、報道されました。

当院では、特別な基礎疾患のない小中学生のインフルエンザ患者に対しては、報道されていた副作用の可能性を説明しタミフルを処方せずに対症療法で経過をみることを基本としていました。 それ以下の年齢のこどもでも、基本的に心疾患や喘息、熱性痙攣などの既往がなければ、副作用の可能性を理由に内服を勧めてはいませんでした。ふだんは元気に走り回っているような4、5歳児に対しては、タミフルの処方は控えるべきであると思います。

考えてみれば、ほんの6、7年前までは、インフルエンザ(だろう)と診断しても、対症療法しかなかったわけです。タミフルが使えないために小中学生のインフルエンザが重症化していたとは思えません。こういったことを本人と親に説明していますが、忙しい病院ではとても一人一人に詳しい説明をする時間がありません。

来週、試験であるとか、元々免疫状態が弱く、重篤な状態になることが予想される場合など特別な問題があればタミフルを使用して早く熱をさげてあげるのは意義があると思います。


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