Last modified : 2004.05.31


ベータマックス(βデッキ)とは

●ベータのコンセプト

家庭用VTRで初めて登場したのが、SONYのベータ方式のVTRであり、

ベータマックスとは、SONYのベータ方式VTRの商品の総称である。
元々、SONY単体でベータマックス方式と呼んでいたが、東芝(ビュースター、VHSでも同名有)、
サンヨー(マイコニック)が加わった時点でベータ方式と変更になっている。
(後にNEC、AIWA、パイオニアが加わる)
ですから、ウオーキングカセットでのウォークマン同様SONY製品を指す。
すなわち、他のメーカーのベータ方式のVTRをベータマックスと呼ぶのは間違いとなる。
さて、ベータはいったい何処がいいのか?VHSに敗北したではないか?という意見もあるが、
それは、ベータファンなら誰もが語るであろう、『基本設計がしっかりしているから・・・』
なのである。
では、いったいどこが…となる訳だが、それは、言うまでもなく、27年前の技術が現在でも通用
する事が物語っていると言える。
私が初めてベータマックスを購入したのは、1982年の11月 SL-F7というのを購入したが、
この時既に、クリーンスチル、クリーンスロー、ピクチャーサーチ、リニアタイムカウンター装備、
ボタン操作から画面が出るまで、1秒というのが当たり前だった。
そんな事、当たり前じゃないか!と、思われるかも知れないが、VHSはそれが駄目だったのである。
では、何故VHSはそんなVTRだったのか、それは、VHSのコンセプトが長時間録画であって、
操作性・画質は元々設計思想には考慮されていなかったと思われるのである。
私は購入当時、BetaとVHSどちらを購入するか迷っていたが、静止画で白黒で上下に揺れる、
ボタン操作から画面が出るまで5秒以上待たされるVHSには、ある意味では衝撃的であった。(^^;)
当時はHiFiもなくStereoデッキが出始めた頃だった。
本当は上位機種のStereoデッキのSL-F11が欲しかったが、大人気機種で売り切れが続出し、
購入できず、どうしてもベータマックスが欲しかった私は1ランク下位機種のSL-F7を購入した。
設置に来た電器屋が静止画調整の時、思わず『画質、きれいですね…』と店員同士で顔を見合わせていた。
量販店なので、色々ビデオは見てる筈なので、私はこの言葉を見逃しはしなかった。
その後、店頭に並んだ頃に、すぐにSL-F11を買い足したのは言うまでもない。(^^)

●長時間戦争中も高画質に徹するBeta
SL-F11はSL-F7の上位機種だけあって、素晴らしいデッキだった。
当時、VHSとBetaはもう長時間戦争に入っていて、BetaはBetaIIを標準に長時間にBetaIIIを装備。
あまり知られていないが、そんな中でも、Betaは既に高画質化対策を行っていたのをご存知
だろうか。
それは、くし型フィルターと言うものであった。SONYの当時の宣伝のまずさがあるのだが、
カタログにこっそりと掲載されたこの、くし型フィルターこそ、現在のHQ技術と同じ物なのだ。
この1982年の時点でくし型フィルターによるYC分離、ホワイトクリップ260%という脅威的な数値で
あった。VHSは、BetaのHi-Band化を機に、HQ対策を施した。
VHSはHQ化で、ホワイトクリップは従来の180%から200%に20%アップさせたが、Betaもこれに
対抗して260%にしたといわれる。しかし、Betaは元々260%なのである。
それでなくても、大口径ヘッドドラムにより、毎秒7mの相対速度を得ているBeta、(VHSは毎秒5.8m)
だから、Betaはダイナミックレンジが広いといわれるのである。
各数値レベル

VHS

Beta

ホワイト
クリップ
Yキャリア ホワイト
ピーク
解像度 ホワイト
クリップ
Yキャリア ホワイト
ピーク
解像度
ノーマル 180% 3.4Mhz 4.4Mhz 230本以上 ノーマル 260% 3.6Mhz 4.8Mhz 240本以上
HiFi 180% 3.4Mhz 4.4Mhz 230本以上 HiFi 260% 4.0Mhz 5.2Mhz 240本以上
HQ 200% 3.4Mhz 4.4Mhz 230本以上 Hi-Band 260% 4.4Mhz 5.6Mhz 270本以上
Super
Hi-Band
260% 4.8Mhz 6.0Mhz 280本以上
S-VHS 210% 5.4Mhz 7.0Mhz 400本以上 ED-Beta 170% 6.8Mhz 9.3Mhz 500本以上
●長時間化で音声の劣化
しかし、長時間化は音声の劣化へと繋がった。これにより、苦肉の策としてHiFiビデオが登場した。
●常に技術が1年先き行くBeta
Beta発売後、1年遅れてVHSが発売された、その後というのは、Betaがいつも1年早く新技術を
VTRに投入していった。その代表的な技術革新がインデックス機能、リニアタイムカウンター、
くし型フィルター(現在のHQ)、HiFi、Hi-Band化、編集機能、EDIT機能であった。
VHS陣営はBeta陣営の投入した技術を後追いで追従するしかなかった。
こういった状態はBeta全盛の時代中続いた。
そんなVHSにも、大改革があった。SONY以外のBeta陣営がVHSへ移行したのだ。
これを機に、VHSは一気に、リニアタイムカウンター、ハーフローディングによるクイックレスポンス
、インデックス機能を手に入れる。BetaのノウハウがVHSへ投入されたのだ。
そして、VHSも大幅なHi-Band化がされ、S-VHSが誕生した。
当時、BetaはSL-HF3000というSuper Hi-Bandデッキを主力にしており、ED-Betaが出るまでは、
後にも先にもBetaがVHSに追い越されたのはこの時のみである。事実、15年前に設計、そして
販売が開始されたEDV-9000は未だS-VHSには劣らない。
●優れた技術の恩恵!?
Betaはテープのトラックトーレースの精度が非常に正確だと聞いた事がある。
その為かコピーガードに反応しない、というか、コピーガードも正確にコピーしてしまうと言う結果
になってしまったようだ。
これに関しては、現在の新しいコピーガード技術はどうか不明だが、当時、それがほのかに自慢
だったりした(笑)

●本音と愚痴!・・・
まぁ、色々ウンチクを述べましたが、『何故、ベータなんか使用してるの?』って聞かれた時のお決
まりと思ってください。何も、聞いてきもしない人に、『ベータはこうこうでいいんだぞ』等とは申しま
せんよ(笑)それより、VHS派の方で『ベータ使ってる奴はバカじゃないの』的な言い方や、必要以上
にベータを嫌うのは何故なんでしょう。結局は目の上のコブ(無視出来ない存在)だったのでは?
と思うくらい作為的な事も多々あります。とりあえず、好きで使っているのだからほっといて(笑)
現在までに、消えた規格は数知れないが、例えば、3.5インチフロッピーはまだ現役ですが、
8インチ・5インチ・3インチ・2.5インチを使用している人や、オープンリール、カセットテープ、
Lカセット、8トラ、マイクロカセット、アナログレコード、VHD、LD、DAT・・・
これらを現在でも使用している人には得にベータ程の突っ込みは無いようである。
また、直ぐにソニー信者は・・・・と言われてしまうのですが、自分ではソニーびいきと言っているが、
実はシャープ派だよ、と言っておきましょう(笑)布教活動もしておりません。
結局、最初に購入したVHSもシャープだったなぁ。しかも大阪のメーカーだし。
私がSL-F7を購入した時期に、弟がシャープの8ビットパソコン(MZ-2000)を購入。
その後、私がビデオデッキよりもこのパソコンにはまり、周辺機器(*1)を充実させていった。
オプションのグラフィックボード、1200bpsのモデム、I/Oポート、I/Fカード、プリンタ、3インチ/5インチ
フロッピードライブ、16ビットキットそして、さらにもう1台(MZ-2200)追加。
この投資金額は、過去に投資したベータへの金額を遥かに上回る。では、何故ベータのサイトを
作ったのだと言うと、それは、『なぜ、このサイトを作成したか?』に書いてある通りです(笑)
結局何が言いたいのかと言うと、和製パソコンで生き残ったNEC(と言うよりも、BASICとMS-DOS)
ビデオで生き残ったVHS(レンタルソフト、海外アダルト、いわゆる裏ビデオ等)・・・
結局は不正コピーが皮肉にも両者を普及させたと言う事で、普及した事を自慢できるものでもなく
VHSにはコピーガードが掛けられた。と言う事ですね。
だから、普及した事をそんなに自慢しなくてもいいと思いますよ。
(*1) この頃のPCは高く、本体以外は全てオプションで本体のみでは何も出来なかったのです。
しかも価格も高く、グラフィックボード(PAGE1)4万円、グラフフックRAM(PAGE2/3)各8,000円、
プリンタ、FDD、RS-232Cを装備するにもそれぞれI/Fカードが必要で、1枚4万円程した(苦笑)
更にモデムが5万、I/Oポートが4万円、FDDが19万円、プリンタ9万円、16ビットキットが9万円、
データレコーダは2万円パソコン本体は21万程だった。
今から考えると、これらを購入していなかったら、SL-HF900MIIやSL-HF3000を新品購入していた
だろうな・・・でも、この時の色々な経験が元になって、現在の職業やベータの修理が生きている。

 


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