テクニック?

 某掲示板で、少年サッカーで(体力)トレーニングはどうするの?とか基礎練習の技術がなんで試合に生きないの?などという話がでていました。

このあたりについて、考えてみました。

(1)トレーニングの件
 小学生ではまだ体がきちんとできていないので、過度の負荷をかけた筋力トレーニングは不要(というより危険)といわれています。私もそう思いますので、筋力系のトレーニングはしていません。(ストレッチをする程度)この時期に必要なのは、しっかりした走行フォームを身につけることと、アジリティ(俊敏性)のアップ、調整力の育成だと思います。リズミカルな動作の取得も重要だと思います。ラダーを使ったステップの練習やブラジル体操などを取り入れるチームが多いのはそのためです。大蔵は貧乏でラダーを持っていないため、ボールを使ったアジリティアップのためのステップの練習をしています。ただ、大蔵では、最近、持久力向上のため、アップの際に動作をしながら長めの距離を走るようにしています。(負荷を加えたランニング)。当初はあまりやりたくはなかったのですが、あまりにうちの選手の体力がないものですから。効果については、始めて3ヶ月くらいしかたっていないので???


(2)技術力について
 リフティングやコーンなどを使ったドリブルの練習は、相手がいない無負荷練習です。実際の試合では相手選手がおり、大きな負荷がかかります。そのため、無負荷練習がうまくても試合で生きないことも多々あります。逆に、無負荷練習ではうまさが目立たなくても、試合で良いプレーをする選手もいます。

でも、私は無負荷練習をきちんとした上で、負荷練習(対人プレー)をすべきと思います。インサイドやインステップはいいかげんなキックだけど、ドリブルやパスのセンスが良く、試合で良いプレイする選手を良く見かけますが、「きちんとキックした方がいいのになあ」とつい心配してしまいます。ドリブルだって、小学生や中学生のうちはスピードさえあれば抜けますが、高校生になった時、それなりのレベルの中でやりたければスピードだけでは絶対通用しません。ロナウドやオーエンのドリブルは、速さがクローズアップされがちですが、あのスピードの中で彼らは恐ろしいほど柔らかいタッチで沢山ボールを触っていることに注目すべきです。(スローモーションビデオで見るとよくわかりますが、とてつもない繊細なタッチのドリブルをしています。)コーンを回りながらのドリブル練習とロナウドの高速ドリブル、関係ないようですがおおいに関係ありなのです。無負荷練習が、技術の基本です。

(3)試合でのプレー
 基礎練習とゲームの大きな違いは、基礎練習はあらかじめ設定条件が決まっていて、負荷が軽い(相手がコーンだったり、本気ではないDFだったりする)のに対して、ゲームはそうではないという事です。例えば、DFを背負ってボールを受ける練習をすると仮定します。「フェイントで背負ったDFをだます動きをして振り向いて、1対1の勝負をしてシュートしよう」と言えば、いろいろなフェイク、フェイントを駆使して前を向き、相手をかわしてシュートを打ちます。次に、「無理に自分は前を向かないでポストプレーで前を向いている味方にボールを落とし、その選手からスルーパスを受けてシュートしよう」と言えば、その通りやって見せてくれるでしょう。「次に、ダイレクトでサイドに振って・・・・・・」「いきなりDFの裏を取って・・・・・」
それでは、試合でMFがドリブルでボールを持ちあがって来ました。FWである自分はDFを背負っています。さて、どんなプレーをしましょうか?フェイントで相手を振って、前を向いて勝負か?スピードで相手を振り切って裏でボールを受けるのか?それとも・・・・?そうです、試合では、自分がすべきプレーを選択することから始まるのです。そのためには、「回りを見て情報を集め、良いからだの向きを確保して・・・」ということが必要になるわけです、しかも本気のDFを背負った中で。

ゲームの中では情報の収集、その情報に基づいた判断、そして判断に基づいたプレー(必ずしもボールにプレーするとは限らない)を、高負荷の中で逐次行なわなければなりません。しかも、レベルの高いゲームほど、情報収集、判断にスピードが求められます。このあたりがうまく行かないと、基礎練習の技術の高さがゲームに生きてこないのです。サッカー(いや、大部分のボールゲーム)はボールを持っていない時の時間の方が、圧倒的に多いのです。この、オフザボールの時間をいかにうまく使えるかが、非常に重要になるわけです。しかし、何度も言いますが、基本技術があってのオフザボールの動きです。小学校のうちに、基本技術を身につけるのが一番大事で、あるレベルに達した子がオフザボールの動き、あるいは戦術的な知識を見につけていくべきと思います。(全員が小、学生の間に基本技術を身につけて、オフザボールの動きを覚えて欲しいところではありますが・・・)


 最近の少年サッカーは非常にレベルが高く、驚かされます。30年前なら、小学生でワンツーなんてしたら、「おーっ、スゲー!」という歓声が上がりました。今では、ワンツーどころか3人目の動き、オフサイドトラップなんて平気でやります。しかし、このような高等な技術、戦術も、すべては基本技術あってのものです。きちんとトラップし、きちんとキックし、きちんとドリブルができた上での話です。(きちんとキックできる子は、本当に少ないと感じます)私もついつい、技術レベルの高い子に合わせて、難しいことをやらせがちですが、やはり基本が一番です。小学生までに基本技術をきちんと身につけないで、ごまかしをしていると、後々痛い目に合うと思います。

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