5年生チームについて

 4年生のはじめから、「蹴らないサッカー」を目指して、いろいろな練習に取り組んできました。全員で守り、奪ったボールをきちんとつないで全員で攻めるサッカーをすることが目標でした。
(当然、守りといってもFW,MF,DFでそれぞれ意味が違いますが)
きちんとつなぐサッカーは、単純にパス回しの練習だけしていても、なかなかできるようにはなりません。高学年になり、お互いディフェンスがしっかりしてくるので、なかなかフリーになることができません。いい形でパスを受けるには、自分でフリーになる努力をしなければなりません。また、フリーでいられる時間もほんのわずかです。オフザボールの時にマークをはずす動きをして、お互いに声をかけあって意思表示をしたり、タイミングを図らなければなりません。去年の夏ごろはまだ、ボールの受け方、パス交換のタイミング、声のかけ方などを説明しても、明らかに頭の中が「????」状態の顔ばかりでした。

 逆に、ディフェンスの練習で、「ボールばかり見ないで、自分がマークする相手も見ろっ!」と指示を出しても、ボールと相手の両方を見ることができず、おたおたするばかりでした。たぶん、「そんな難しいことをいっても、できないよ」という感じだったのではないかと思います。攻撃、守りいずれにおいても、お互いに声をかけあって協力することの重要さや楽しさが実感できていなかったのだと思います。
  それが、MFA、リーグ戦決勝大会の2大会で連続して準々決勝で負けたころから、子供たちに明らかに変化が見られるようになりました。
わずかにマークを離してしまうと、そのはずれたタイミングでパスを出されてしまいます。相手は、声でパスのタイミングをはかっているのです。こちらのエースはびっちりマークをつけられ、1人くらい抜いてもむこうはうまくカバーリングをして守っています。味方のまわりの選手もそこそこいいポジションに動いているのですが、声がないためパスが通りません。子供たちは、「どちらかの大会はbest4に行けるのでは」と密かに自信があったようですが、残念な結果に終わりました。

 しかし、2つの敗戦が子供たちの意識を変えたように思います。

 リーグ戦決勝大会は、負けた後の2つの準決勝と決勝戦を、子供たちは見て帰りました。選手全員とはいえませんが、多くの子供たちが真剣に見ていました。自分たちより強いチームのサッカーを見て、何か感じるものがあったのではないかと思います。(このままでは、万年best8を脱却できないと感じた?)強いチームは、とにかく良く声が出ていて、その声にあわせてお互いがプレーしていることを実感したようです。その次の練習では、ボールをプレーしていない時に、よくまわりを見て情報収集することや、ボールを受ける時やマークにつく時の体の向き、おたがいに声を掛け合うことの大切さを説明すると、多くの子供が真剣に耳を傾けてくれました。子供たちの意識の変化は、練習中のプレーにも現れています。


<声が出るようになりました>

 町田の中の上位チームでは、声を出してお互いの意思の疎通を図ること は当然のようにされています。しかし、引っ込み思案が多いのか、自分 のプレーに手一杯で、余裕がないのか、大蔵の試合で響き渡るのはコーチの声ばかり。せっかくいい位置に走りこんでも、パスの出し手が気づ かなければパスを受けられません。長い距離を走り、しかも良い位置に 走りこんでいるのに、声を出さないばかりにボールをもらえないなんて、 走った本人にとっても、チームにとっても大きな痛手です。また、フリーの選手は、未来永劫フリーなのではありません。まともにディフェン スできるチームであれば、フリーでいられるのは1秒あるかないかでしょう。だからこそ、声をかけあう必要があるのです。ディフェンスでも同じことです。ボランチが相手のトップ下を離してフリーにさせてばかりいて、何度もピンチを迎えるDF陣。「XX!相手の○番のマークはなさないで!!」と言えば、自分たちがもっと楽に守れるのです。
 ほんとうに、ようやく最近になって、ミニゲームなどをやっても、「オレが行く!」「足もと!」「逆サイッ」「早く戻って」「そこのスペースをうめて」などという声が出るようになりました。まだ、声を効 果的に使ってサッカーをやっているのはほんの数人ですが、見ていても楽しいサッカーをするようになってきました。
 


<まわりが見えるようになりました>
 今までは、パスを受けてから回りを見ていたり、自分のそばにボールが来てから、自分のマーク相手を探したりしていました。しかし、アウトオブプレーの間にさかんに首を振ったり、ボールを受けに寄りながら周りを見たり、味方が相手にボールを取られた瞬間に、自分のマークすべき相手を確認できる子が何人か現れました。まだ、遠くまで広い視野で見ることができませんが、少なくとも「自分が良いプレーをするためには、なるべく多くの情報をもってプレーすべき」ことを理解しはじめています。ただし、回りを十分に見る余裕がある時は良いのですが、余裕がない時に効率よく回りを見ることができず、苦労しています。つまり、プレッシャーをあまりかけてこないチームとの試合では回りを見ながら良いプレーができるのですが、寄せが早いチームが相手になると回りが見えなくなります。このあたりは、周りを見ようとする意識をもって、プレーしつづければ、コツみたいなものがつかめるのではないかと期待しています。(ちゃんと見なくても、さっと見た時の雰囲気や、プレーの流れの雰囲気で、「このあたりにパスコースがありそう」とか、「ここはパスでなくてドリブル」などと判断できるようになると、サッカーがもっと楽しくなると思います)


<追いこんでボールが取れるようになりました>

  前の選手がボールを追いこんだ状況を見て、後ろの選手がパスコースを予想してインターセプトしたり、近くにいる選手がサポートして2人でボールを奪ったりするシーンが多く見られるようになってきました。
 以前は、前の選手が一生懸命プレッシャーをかけても、後の選手が感じていないため、前の選手の苦労が水の泡ということが多々ありました。「前の状況を注意深く見ていれば、パスやクリアのコース、ドリブルコースは読める」と言いつづけてきたことが、少しずつ実を結んだようです。しかしながら、このあたりも、町田の上位チームは当然のことのようにやっているプレーです。次のステップとしては、後ろの選手が前の選手に、「縦切れ!」とか、「左から取りに行って!」などと指示を出してボールを奪えるようになれば良いと思います。
 


<5/5の練習試合>

   5/5の成瀬SCとの試合は、今後の大蔵5年生チームのサッカーを占うゲームだと考えていました。一昨年までは、明確に大蔵のほうが良いサッカーをしていましたが、4年生になってから状況は大きく変わりました。戦跡は五分五分くらいだと思いますが、内容では負けている試合が多かったのではないかと思います。(何よりも成瀬SCは都大会に出ています)ここ1ヶ月、良くなってきたと思えるサッカーが、実際の試合で生きるのか?4/28の練習試合でもまずまずのゲームをしていたので、期待いっぱいで挑みました。

  2試合を通して常時、大蔵のペースで試合ができました。フォロー、カバーリング、オーバーラップ、DFラインの押上げ、すべてが満点とは決して言えませんが、十分に評価できる試合内容でした。何より、外からのコーチングがほとんどいりませんでした。カバーリング、マーキングに関しても、以前に比べたら驚くほど声が出ていました。途中から相手の裏に(適当)に放り込むプレーも織り交ぜたところ、ショートパスとドリブルを使った中央突破がより効果的にできることもわかったと思います。(すべての得点が中央突破からというのも、大蔵らしいといえ ば大蔵らしいのですが・・・ ウーム。珍しく、ロング/ミドルシュートもなし)

<今後の課題>

  大きく分けて、4つあると思います。
 5年生のうちに、少しでも課題のレベルアップをはかり、6年生を迎えたいものです。

@ディフェンスからのビルドアップ

現在の、ディフェンスメンバーは相手のドリブル攻撃には強いのですが、はっきりいって、あ まりボール扱いがうまくありません。よって、ディフェンスからつないでビルドアップするのは、正直言って怖いという状況です。(コーチングの時には、「蹴るなー!」といっていますが、心の中では、「蹴るねら蹴ってもいいぞ!」と叫ぶこともしばしば)彼らには安定したトラップと、正確なインステップキック、インサイドキックをマスターするよう指導しています。(「5年生にもなって、トラップとキックかよ」なんて言わないで)ようやく最近になり、自陣ゴールを向いてボールをキープしている時に、後方の前を向いている選手にバックパスして、前方へフィード(精度はまだまだですが)するプレーなどが安定してできるようになりました。スイーパーを介して逆サイドへ展開できるようになると、もっともっと良いサッカーになるでしょう。
Aロングパスを織り交ぜた攻撃
今までは通ると思ったパス以外は絶対しないよう指導してきました。(ただし、本当に危険と感じた時のクリアは当然OKです)そのため、パスの長さはせいぜい10m位です。別に、長いのを蹴れる子供がいないわけではありません。20m程度を狙って蹴れる子供 が2〜3人、25m程度を狙える子供が1人います。実際、彼らは逆サイドにフリーの選手を見つけた時に、ロングキックでサイドチェンジをします。ただし、ディフェンスの裏に放り込むようなボールは皆無です。なぜなら、簡単にクリアすると叱られるからです。それでは、同じ相手DFの裏に出すロングボールで、クリアとロングパスの違いはなんでしょうか?重要なのは、ロングボールのキッカーが意図をもって蹴ったかどうかです。キッカーが相手ディフェンスの陣形と味方フォワードの位置を把握した上で、このあたり出せばチャンスになると考えて蹴ったロングボールはパスだと考えます。より望ましくは、受け手のフォワードがその意図を感じとって欲しいところです。今までは、意図を持ったロングボールはクリアとは違うということをあえて説明しませんでした。ロングボールは、1つの立派なプレーではあるのですが、安易にロングボールに頼らず、強い意図をもってパスをして欲しかったのです。自分でパスコースを探し、きちんとパスを出すことを身につけて欲しいと考えていました。そのため、あえてショートパスとドリブルに重点をおいた指導をしてきました。(別に南米スタイルのサッカーが特に好きというわけではありません)しかし、ショートパスやドリブルで攻撃するのは大変な労力がいります。はっきり言って、効率が悪いこと極まりありません。そろそろ、基本的な技術も身についたことだし(本当?)ロングパスを解禁し、大きなサッカーもできるようにしたいと考えています。
  さて、「ロングパスを解禁」とばかり、大きな展開のサッカーも教えようと考えたのですが、思った以上にロングパスを意識させるのに苦労しています。狭いサッカーをやってきたために、視野が狭いのです。ある程度予想してはいたのですが、結構厄介なことになりそうです。ミニゲームのエリアを広めにとったり、視野を広げる練習を取り入れ、なんとか今年の秋頃には、大蔵もロングパス攻撃を身につけようと思います。ただし、ドリブル、ショートパス大好きな彼らのことですから、当面、ロングパスが攻撃の主力になることはないでしょう。
  でも、相手DFを広げたりするのにロングパスが有効であることは成瀬戦で実証済みですので、チェンジアップのように使っていければと考えています。でも、本当は、「足がそこそこ早い選手の中から、いいサイドアタッカーが育てばいいなあ」と期待してはいるのですが・・・・・
Bサイドからの攻撃
成瀬SCとの試合のところでも触れましたが、サイドアタッカーがドリブルやスルーパスを受けてサイドを突破し、センターリングからシュートという場面はほとんどありません。時々、トップやトップ下の選手がサイドに流れて結果としてサイド攻撃になることはありますが、本当にごくまれです。理由は、ドリブルが巧みで足の早いサイドアタッカーがいないということです。 現在、大蔵のサイドの使い方は、止り木、あるいは、攻撃の中継点です。サイドでは相手ディフェンスのプレッシャーが少ないので、ひとまず詰まったらサイドにつないで、そこから攻撃を組みたてるように指導しています。よって、センターライン付近でサイドMFが受けたボールは、トップの選手の足元に入るか、あるいは内側からサポートに寄ったトップ下に入ることがほとんどです。これからは、サイドのドリブル突破やワンツーでの突破を
もう少し織り交ぜたいと考えています。サイド攻撃をしかけることが、得意の中央突破を活かすことにもなるでしょうし・・・・・ 

  (それでもやはり攻撃の主力は中央突破かなぁ)

 

C体力不足
春先の暑い日や、秋口の残暑の厳しい日などは、もう大変。
ひっくり返って日陰で寝る者あれば、戻して帰宅なんてのも・・・体力トレーニング系の練習を一切やっていないのがいけないのか? アップのやり方がまずいのか?
この課題は、コーチ陣に課されたものですね。
これらの課題を少しでも克服できれば、町田のトップレベルのチームとも、勝負が出来るのではないかと期待しています。

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