..... 百韻 『筑波嶺をの巻』 .....

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初表
発句 新年 筑波嶺を仰ぐやけふの初詣 初枝
新年 空凛々とあらたまの年 とも子
第三 奉書紙九寸五分がかをりゐて
代筆屋から貰ふ算盤 真白
軒端に売れ残りたる蕗の薹 恵子
東風吹く夕のそぞろ歩きに 龍人
丸窓に朧月夜を嵌め込みて 栄子
膳にあかるむ蒸し蛤は 久仁子
                     
初裏
すこし飲みさらふ謡のつやめきに 和子
花街二階なべて客あり 初枝
足指を揉みゆく小さき声洩れる とも子
涙で緩むか日焼けオイルも
心中を誓ひて駆ける夏野原 真白
空蝉拾ふ夢のをはりを 恵子
厨房に珈琲の香が満ちる朝 龍人
ひとり笑ひが込み上げて来る 栄子
銀行はアゼリア通りのつきあたり 久仁子
セールの幟秋風のなか 和子
十一 公園に踏みしだかれて赤い羽根 初枝
十二 夜学生読む『呂氏十八史略』 とも子
十三 つくづくと呉越同舟月ひとつ
十四 明け方に降る雨の気配に 真白
                     
二表
裏木戸の犬ばしりゆく下駄の音 恵子
鶴渡るとふ画像見てゐる 龍人
庄屋跡築地が中の寒椿 栄子
鬢付け油にほふ小春日 久仁子
足袋白し石段先に登らせる 和子
閨にあかりの灯さるるまま 初枝
欲しいのはあなたの心だけと泣き とも子
後朝の駅扉へだてて
ナポリからヴェネツィアまで行く睦月 真白
運河に光みつる春昼 恵子
十一 千年を咲き継ぐさくらの並木道 龍人
十二 野を焼く煙り届く窓辺に 栄子
十三 遠足は雨天決行四月尽 久仁子
十四 撥ね見咎めて笑顔すばやし 和子
                     
二裏
染み付けし父の書類が気にかかり 初枝
禁断の恋垣間見し夏 とも子
昼顔はやさしきさまに緊縛し
がんじがらめの愛をほどいて 真白
狂王の俤消ゆる湖の面 恵子
精霊ねむる木漏れ日の森 龍人
爽やかに風も下り来る坂の道 栄子
G線上に蚯蚓鳴くなり 久仁子
家一の竿竹とりて月狩りに 和子
戦地に向かふ雁の隊列 初枝
十一 気がかりは身内に秘めて庭を掃く とも子
十二 タイムカプセル掘りおこしつつ 真白
十三 伊賀上野に元禄二年の餅の花
十四 紙衣を着たる若旦那ゆく 恵子

                     
三表
ベロ出して受けたる雪はほの甘く 龍人
寒稽古する子等に混じりて 栄子
なによりも金のメダルが欲しいゆゑ 真白
融解液で霊魂を練り 和子
ここ数年話し相手はテディベア 初枝
ふはふはの風水仙畑 とも子
耕して腰伸すしばし海見ゆる
戦艦大和も蜃楼に消え 真白
蚤の市昔むかしを並べゐて 恵子
わが目交をよぎるギャルども 龍人
十一 気に入りのちりとてちんに癒される 栄子
十二 口三味線で髪結床へ 和子
十三 満月に斎藤緑雨のかくれんぼ 久仁子
十四 鬼の子軒にぶら下がりたり 初枝
                     
三裏
朝顔を日ごと数へる小学生 とも子
プラトニックな恋であつたか
見え透いた手練手管に騙されて 真白
君の眼差し胸にしまひて 栄子
北国へエクスプレスの客となる 龍人
はやぶさの羽ひかるおおぞら 和子
篠笛の音も冴ゆるまま細き月 恵子
元宰相がカード切りたる とも子
ババを引く確率五倍さらに倍 初枝
天中殺の真つ只中さ 真白
十一 蟄居して蜆食ひゐるつつましさ
十二 春の水ゆく遊漁場まで 恵子
十三 流れ着くところ定めぬ花の果て とも子
十四 さればこの世はなにごとも無し 龍人

                     
名表
落語聞き笑ひ泣きするあほらしさ 栄子
一夜明けたるけつたいな顔 久仁子
日のしたに美し惚れたのかもしれぬ 和子
好きにしてよと凭れ掛りて 初枝
ゴスロリをオイラは好きと思ひ出し 真白
がつつり齧るアイスキャンデー
檀尻が近づいてくる響きする 恵子
角の米屋に胡蝶蘭あり とも子
商ひは信用なりと祖父言ひし 龍人
落ちてゐたのは縄の切れ端 栄子
十一 ちんぎれの朱の鼻緒にすげかえて 久仁子
十二 禅智内供の墨染めの袖 和子
十三 月影に屍累々照らさるる 初枝
十四 アルジャジーラに秋の映像 真白
                     
名裏
アラビア語思へばトタンを打つ胡桃
雑木林のあをきたそがれ 恵子
微笑みをつくりて映す冬の池 とも子
久しく食ふてをらぬ鴨鍋 龍人
ガスレンジ磨く余裕は未だ持てず 栄子
魚氷にのぼる岸のあかるみ 久仁子
日本一の名をほしいまま花の山 和子
挙句 軽々として浮かぶ連凧


* 連衆 歌人:西王燦・山本栄子・谷口龍人・青木和子・山野とも子・平居久仁子・藤田初枝・滝下恵子・山科真白 *

* 捌 山科真白  総監修 西王燦 *

2008.1.1−.2008.12.8

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