尻取り歌仙 「寄り道の巻」
       自  Sat, 25 Jul 1998 17:46:00 +0900
       満尾 Fri, 14 Aug 1998 09:51:00 +0900



初表

   夏(自)   寄り道にときをり回す日傘かな     零
   夏(自)    カナリア諸島ヨットの舵とる    勇魚
   雑(場)   流刑地の跡に観光バス着きて     月彦
   雑(場)    鉄冷えびえと拷問道具       白雨
   秋・月(他) 虞美人のやうに人あり月の下      燦
   秋・恋(他)  慕ふこころに萩はこぼるる      零

初裏

   秋・恋(場) 瑠璃色の睦言ひそと葡萄棚      勇魚
   雑(自)    なまくら批評綴るむなしさ     月彦
   雑(自)   酒過ぎて思考するさへ億劫に     白雨
   冬(場)    丹塗りの橋を飾る初雪        燦
   冬(他)   公達が供を呼びたる声冴えて      零
   雑(他)    手も艶やかに姫の琴弾く      勇魚
   雑(場)   口紅のついた吸ひ殻雨に濡れ     月彦
   雑 (自)     レジスタンスの仲間弔ふ      白雨
   春・月(他) 振り仰ぐ天草四郎が朧月        燦
   春(場)    黄蝶の群れの果てに鳴る海      零
   春・花(自) 満ち潮に筏なす花漕ぎ出でむ     勇魚
   雑(自)    無尽に当たり掛け軸を買ふ     月彦

名表

   夏(他)   古浴衣母の乳房のごとくなり      燦
   夏・恋(他)  リスボンの夜の汗と口吻      月彦
   雑・恋(自) 刎頸の友と取りあふパリジェンヌ   勇魚
   雑(自)    ぬんちやくの技繰り出だしつつ    零
   雑(他)   釣瓶から奴は一口水を飲む      白雨
   秋(場)    麦藁とんぼ後ろ立山         燦
   秋・月(他) まみなみの岡井隆へ月明り      月彦
   秋(他)    凛々しき声の牡鹿たりしか     勇魚
   雑(自)   刺客らのもはや来ぬ身となり果てて   零
   雑(自)    鉄道模型をひがな動かす      白雨
   雑(他)   かすれたる消印もしや大連か      燦
   冬(他)    カチューシャの唄歌ふ炭売り    月彦

名裏

   冬(自)   リウマチス悪化し寒き国を去る    勇魚
   雑(場)    ルビー付きたる杖がベンチに     零
   雑(場)   ニオブ・チタン超伝導技術書と    白雨
   雑(自)     盗賊鴎肩をかすめて        燦
   春・花・恋  鉄路にも散る花びらのラブ・アフェア 月彦
   春(他)    アヴェ・マリア歌ひ尼の草摘む   勇魚


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