半歌仙「都会にも」の巻 満尾1998/5/17
初表
春 都会にも春泥もがな乾く空 白雨
春 タンポポ色の飛行船浮く 燦
春 下校する子らに貝寄風触れゆきて 零
雑 遠きジンタの音の強弱 白雨
夏・月 睡蓮もそろそろ眠れ月が出る 燦
夏 窓の守宮はふいに素早し 零
初裏
雑 ジェット機のコースを仰ぐ安普請 白雨
雑 表札ふたつ若き手書きに 燦
雑・恋 ラピス・ラズリ口移しして戯るる 零
雑・恋 フリーダ・カーロの如き激しさ 白雨
秋・恋 鶲(ひたき)鳴く忘れむとして忘らえぬ 燦
秋 つぎつぎと折り吾亦紅抱く 零
秋・月 鼻緒ごと月の雫に濡れし後(のち) 白雨
雑 上がり框に剣菱の樽 燦
冬 寒取の横綱みなを投げ続け 零
冬 霜焼けの尻掻くゆとりあり 白雨
冬・花 大欠伸するマンモスに雪の花 零
雑 世紀の終はり無事は良きこと 燦
窪田薫氏の連句ルール
●一巻一語
●四季の順行
●冬・夏・秋の花、春・夏・冬の月あり、に従ってみました。