歌仙 『六つ目の感覚』の巻 SF風に  2000/3/29〜4/22



【初表】

   春   六つ目の感覚啓く(ひらく)春の闇    媚庵
   春    秘密に触れてみれば初雷         零
   春   隠された機械犬から東風吹きて       燦
   雑    G微弱なる海岸にをり         白雨
  夏   欠くる月惑星都市の短夜を        勇魚
   夏    アンドロイドと酌む冷やし酒      媚庵

【初裏】

   夏   五回目の2000年の夏過ごしつつ     零
   雑    竜宮城には恋敵ゐて           燦
   雑   海底と交信できるセルラフォン      白雨
   雑    異星人ともペアーで踊れば       勇魚
   秋   馬の首暗黒星雲秋涼し          媚庵
   秋    だれもが消えてくれなゐの霧       零
   秋   竹の春タイム・トラヴェラー一人だけ    燦
  秋    月の居住区久しぶりなり        白雨
   雑   せつせつと宇宙移民ら列をなす      勇魚
   冬    冬霧の底鰓呼吸して          媚庵
  冬   転生ののちの瞼に雪の花          零
   雑    指輪の硬度ダイヤを凌ぐ        白雨

【名表】

   雑   永久(とことは)に黄昏続く母星まで   媚庵
   春    陽炎曳きてワープする船         燦
   春   春時雨遺伝子組み替へ執刀医       勇魚
   春    貞子と呼べば蝶の寄りくる        零
   雑   鱗粉は年初来なる高値付け        白雨
   雑    ドラキュラ伯の末裔の自死       媚庵
   雑   アーサー・C・クラーク卿も宇宙葬だぜ   燦
   雑    骨微塵など波は運びて         勇魚
   雑   捨てにゆく解読できぬ君のふみ       零
   秋    櫨(はじ)の実ほどのICチップ     白雨
  秋   月の出に全アラームが反応す       媚庵
   秋    機能半壊「霧野へ逃げよ」        燦

【名裏】

   雑   UFOを追ひつつ龍の首反転       勇魚
   冬    念動力を眠る山にも           零
   雑   八十年冷凍されてゐたるわれ       白雨
   春    古語解読機映す「啓蟄」        媚庵
  春   花の樹下花の絵文字は誰が書く       燦
   春    トワイライトゾーン遅き日は見え    勇魚

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