時代劇風歌仙『伝令一騎』の巻 (Eメール)
                         起首  8 Feb 1999
                         満尾 14 Mar 1999


【初表】

1 発句 冬   寒暁を伝令一騎駆くるかな           勇魚
2 脇  冬    流星鼻白たてがみに霜             燦
3 三句 冬   皮足袋の鞐(こはぜ)を染める粋もなし     月彦
4 四句 雑    甑(こしき)の下に燻(いぶる)る薪あり   白雨
5 五句 春・月 賂ひの術(すべ)授け合ひ朧月          零
6 折端 春    永き日暮れて袷繕ふ             勇魚

【初裏】

7 初句 春   戦場に猩猩袴むらがりて             燦
8 二句 雑    姫君背負ひ走り去る犬            月彦
9 三句 雑   仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の玉      白雨
10 四句 夏    寺子屋に墨すりて汗ばむ            零
11 五句 夏   行水す代書の筆も進まねば           勇魚
12 六句 雑    眠る朱鞘のニ尺五寸              燦
13 七句 秋・月 月が射す清水門外役宅に            白雨
14 八句 秋・恋  手絡(てがら)を乱し泣くも冷まじ       零
15 九句 秋・恋 秋狂言忍ぶ恋われは奪ふ恋           勇魚
16 10句 雑    銀の煙管は十三両だぜ             燦
17 11句 春・花 花守の昔とつたる杵柄も            月彦
18 折端 春    春は曙みきりのぼかし            白雨

【名表】

19 折立 春   義士まつり一揆の手だて練りに練る       勇魚
20 二句 雑    耳掻きしたく簪はなく             零
21 三句 雑   根岸から孝行糖を売りに来る          月彦
22 四句 夏    敦盛さまに瓜ふたつとは            燦
23 五句 夏   賊将の裔(すゑ)なる誇り富士詣        勇魚
24 六句 雑    ここに構へし鶴翼の陣            白雨
25 七句 秋   ぬかるみに足取らるるも霧中にて         零
26 八句 秋    一番槍の熟柿突きたる            月彦
27 九句 秋・月 赤々と叡山焼けて障子月             燦
28 十句 雑    村八分なり伴天連者は            勇魚
29 11句 雑   圧政に益田時貞抗し立つ            白雨
30 12句 冬    鉄鎖首枷小(ち)さき凍蝶           零

【名裏】

31 折立 冬   根深汁いくさの話聞き飽きて          月彦
32 二句 雑    琴責めといふ責めもあつたな          燦
33 三句 雑   立てとほすまことあやふき身八つ口        零
34 四句 春    それでも春のほーら跫音           白雨
35 五句 春・花 森羅万象(ものみな)の行き着くところ花ひらく 勇魚
36 挙句 春    佐保姫様に御酒奉る             月彦


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