恋の歌仙
「秋しぐれ」の巻
首 Sun, 01 Nov 1998 02:42:00 +0900
尾 Sun, 22 Nov 1998 16:41:59 +0900
初表
1 発句 秋 秋しぐれ送らぬ文をつづりけり 零
2 脇 秋 ふと聞こえ来る鹿の鳴く声 燦
3 第三 秋 旧子爵邸円窓に月射して 月彦
4 四句 雑 香の煙のふつとたなびく 白雨
5 五句 雑 髪切れど髪の量(かさ)ほど募る恋 勇魚
6 折端 冬 湯ざめに気づく鏡台の前 零
初裏
7 初句 冬 引き被る小夜着の中から海が見え 燦
8 二句 冬 夫婦(めをと)の松に雪降りしきる 月彦
9 三句 雑 初体験エアーポケットにすがりつく 白雨
10 四句 雑 墜落しても一緒に死ねる 勇魚
11 五句 雑 いつの日か形見に指の猫目石 零
12 六句 春 手招きをするやうな囀り 燦
13 七句 春 萬愚節結婚特集拾ひ読み 月彦
14 八句 春 愛林日だよ外にでようよ 白雨
15 九句 春・月 異星人かぐや姫帰る春の月 勇魚
16 十句 春・花 「むじんくん」には花時に寄る 零
17 11句 雑 街角の夢占ひをナンパして 燦
(しのびよるこひはくせもの)
18 12句 雑 見る『忍夜恋曲者』 月彦
名表
19 初句 雑 歌舞伎跳ね彼のフェラーリ首都高へ 白雨
20 二句 雑 死刑台なり駆け落ち先は 勇魚
21 三句 夏 いま一度くちづけせむと雷(らい)のした 零
22 四句 夏 葦簾の裏に入る恋人 燦
23 五句 夏 痴話喧嘩冷やし西瓜を食べながら 月彦
24 六句 雑 食塩の瓶そらと差し出す 白雨
25 七句 雑 新婚の記念アルバム投げつけむ 勇魚
26 八句 秋 縁切寺に咲ける露草 零
27 九句 秋 去つて行く後姿の鬼やんま 燦
28 十句 秋 御機嫌とりに夜食運べば 月彦
29 11句 秋・月 満月が二つの影を寄り添はす 白雨
30 12句 雑 “Shall we dance ?”ともし火の下 勇魚
名裏
31 初句 雑 モボ・モガの接吻ゲームいつまでも 月彦
32 二句 冬 くるぶし寒く背伸びしてをり 零
33 三句 雑 家具のなき借りしばかりの四畳半 白雨
34 四句 雑 壁紙替へて新世帯なり 勇魚
35 五句 春・花 花の朝なほ抱擁は無限にて 燦
36 挙句 春 至上の愛を告ぐ百千鳥 月彦
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