歌仙『寒もどり』の巻
1999/3 於・掲示板

【初表】
発句 初春  寒もどり「・・・−−−・・・」とノックする 白雨
脇  初春   ツンツンツンと釣れる公魚(ワカサギ)    燦
第三 仲春  山椒の芽がエプロンのポケットに        零
四句 三春   ゆびこそばゆくふらここは揺れ       詠人
五句 春・月 源氏ほど魅力はなくて朧月          悦子
六句 雑    朗読劇は真夜にはじまる         南菜風
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【初裏】
初句 夏   凍る夏水玉模様はもう着ない         悦子
二句 夏    あなたは去って郭公が鳴く         龍人
三句 雑   翼ならぬ真夜のメールは秘密めく       悦子
四句 雑    夢にうつつに香るキャンドル         零
五句 秋   そぞろ寒振り返りまた振り返る        白蓮
六句 秋    野分はるかにニューヨークから      つくも
七句 秋・月 星芒をさっくりと刈る月の鎌         玄衣
八句 秋    明日も晴れるか胡桃ころがす        白蓮
九句 雑   透明な壜には薄き影ありて          りく
10句 春    ふるえるような春の訪れ         えつこ
11句 春・花 花という花を咲かせてボンネット       りえ
12句 春    おぼろでんぶと煎り玉子なり       つくも
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【二表】
初句 春   春眠の鼻をくすぐる気配して         白蓮
二句 雑    お自動さんとか無人くんとか        りく
三句 冬   ぬばたまのマント朽ちるもわれドラキュラ  つくも
四句 冬    神留守なれば洗濯をする          玄衣
五句 雑   どんぶらこお船が沈みませぬやう       りく
六句 夏    少女の声のなかに夕虹           美尾
七句 夏   蝉たちも寝たるか夜の街を行き        龍人
八句 雑    残響振り落とす(さようなら)      えつこ
九句 秋   赤のまま誰れのたそがれから来たの      玄衣
10句 秋    栗焼くおおき鉄鍋の前          つくも
11句 秋・月 天心に月あり地下に魔王いて         りく
12句 雑    貫く木々に風の行き交う         南菜風
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【二裏】
初句 雑   水たばこぷかりぷかりと昼日中        白蓮
二句 雑    町はしずかに港のように          玄衣
三句 春   イースターパレードにいる帽子屋が     つくも
四句 春    パチンコ二万勝ちてのどけし        美尾
五句 春・花 ウェブを舞うメールは花か幻か       えつこ
       花はいさ手のなかにある ひのひかり    つくも
       キムタクの吐息まばたき花吹雪        りく
       ちる花のひいふうみいよいつか消え      玄衣
       沈黙は金のはなびら去りてなお       えつこ
       無韻なる真昼の花底にひとと佇ち       龍人
       花の枝くわえてうつつまだうつつ       そら
       目覚めてもまた夢を見る花の下        白蓮
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挙句 春    子猫の子猫 この子、猫の子?        燦
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【初裏】11句投句 花
    変身の琥珀の指輪花ざかり            つくも
    刺青の男と行かん花吹雪              りく
    花という花を咲かせてボンネット          りえ
    再びの愛もあるべし花は咲き            龍人
    新しい口紅を塗る花の下              白蓮
    花という花たずさえて会いに行く          りえ
    会いてのちより花ひらく気配あり          りえ
【初裏】12句目投句 春
    あとはおぼろと海までの道             りく
    おぼろでんぶと煎り玉子なり           つくも
【二表】初句投句 春
    春眠の鼻をくすぐる気配して            白蓮
    かあさんが三越に行く春日傘            りく
【二表】四句目投句 冬
    三時間後の氷柱のやうに              りく
    神留守なれば洗濯をする              玄衣
【二裏】七句目投句
    白繭のなかにあなたを閉ぢこめる          りく
    蝉たちも寝たるか夜の街を行き           龍人
【二裏】九句目投句
    赤のまま誰れのたそがれから来たの         玄衣
    朝焼けとどちらが苦いななかまど          りく
    ポケットに秋の日はMy唐辛子          つくも
【二裏】10句目投句
    栗焼くおおき鉄鍋の前              つくも
    トィンクル・ボーイ風のいろどり          りく
【二裏】11句目投句
    桂林に月照石を衛る猿              つくも
    封印す水面の月のきみなれば           えつこ
    天心に月あり地下に魔王いて            りく
【二裏】初句 投句
    よろこびは肩のシフォンの肌触り          美尾
    水たばこぷかりぷかりと昼日中           白蓮
【二裏】二句目投句
    イースターパレードにいる帽子屋が        つくも
    国境にヒッチコックの鳥交る            りく


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