いたどり村から届いた手紙
love letter from birdland 1
水の中の胡桃
胡桃が木に実っているのを見たことがない、とあなたは言っていたね。
胡桃割り人形の足で挟むのは、あれは核の部分。あの上に緑色のビロードのような果皮があって、
そうだな、、、毬藻のイメージかな、、、と、私は間違った比喩で教えた。
あなたがはじめて村に来たとき、ここが『越前竹人形殺人事件』で殺されることになる竹人形作家の
生まれた家のあったところ、と軽口を叩きながら車を停め、廃寺跡の墓地へ登る道で胡桃の木を見せ
ることができた。
あなたは、「あ、かわいい」と少女のような感想を述べながら、「構造としては銀杏と同じなのね」
と付け加えた。
たしかにそうだ。構造としては(笑)、、、。
しかし、銀杏の果皮の匂いと胡桃の果皮の匂いは、ずいぶん違うんだがなあ。
ま、いいや。とにかくナマの胡桃を認知してくれてありがとう。
あなたが帰ってから、村はずいぶん寒くなりました。
綿入れを着ながら手紙を書いています(笑)。
まだ暑さの残るころに、川を渡ろうとすると、水の中に落ちている胡桃の実があったので、
写真に撮してあります。
では。