どどいつ2000 2月号 『おおしま』
『おおしま』
お目にかからにゃ 女がすたる 知らぬ仲じゃあ まだ死ねぬ 小雪
小渕踊らす 小沢は暗い 嫉妬島国 まか不思議 泥鰌
(後に風迅洞さんは、このような固有名詞のあるものが一番良くないと語る)
「おお!」と言ったが お後(あと)が出ない しばし見ほれた 真っ裸 龍
おやこりゃまったく 女は怖い 静かにいるのに また足蹴 れろれろ
(れろれろ=れろれろきゃんで)
思わせぶりに 後れ毛はさみ しのぶ気持ちを まどわせる れろれろ
親兄弟を 思い浮かべて しょうことなしに 真人間 れろれろ
思わせぶりに 後れ毛はさみ しのぶ気持ちを まどわせる 桜吹雪
親兄弟を 思い浮かべて しょうことなしに 真人間 桜吹雪
老いの影さす おまえの顔も しんみり見れば まだ愛し 桜吹雪
(小泉八雲の思い出ふうに。なかなかよろしい)
同じコートの おんなが二人 知らぬ顔して 待ち合わせ 龍
逢うた晩から おかしぃなって 芯のあらへん まんまやの 小雪
おらの島には おめさは来ねば しけているども また行くべ 小雪
お江戸は遠く お台場あたり 白く乾いた 街となり 龍
おっと魂消た 大きい熊だ 死んだふりして まぬがれた 龍
おいたしてくる をとこのゆびを しのぎながらに またさそふ 小雪
奥のほうまで 拝んでみたい 閉めたカーテン 窓の中 五右衛門
俺とおまえの 大馬鹿話し 森羅万象 摩訶不思議 龍
お顔わすれて お名前きいて 知らぬおかたに 「また今度」 隠居
(隠居とは「柳川」のこと。以下、隠居がらみのが続く)
親が死んだと お前に言へば 知らせついでに まさか、なあ 泥鰌
おなつかしいが お年を召され 師匠ほんまに また来てね 龍
お供したけど お餅が鍋の 〆だなんてさ まして二個 小雪
おひなさまでも おとことおんな しまいわすれの 枕紙 若隠居
老いてないのに おばばだなんて 皺が洒落には まだならぬ 泥鰌
親を亡くして おまえもやっと しっかりしたと また言われ 龍
(このころ泥鰌の父親が死に、「にがにがしくもおかしかりける」で盛り上がる)
(ここで、ようやく方向転換)
大木のが言い お乳が良いと 白いのが好き 豆も言い ひでじろう
嘘とおもって いたけどほんと それじゃほんとの嘘はどれ 小雪
追ってゆくより 追われてみたい しかとできずに また負ける 小雪
(二月には、以下のようなどどいつもあり)
『雪世姫』
雪の要にて 世の嵐を舞い 秘め事となり 行世姫 ひでじろう
雪のようにて 世の嵐に迷い 姫こと隣 雪よ秘め ひでじろう
雪世、おまえの 世之介さんが 秘めて遊んで ゆきました 泥鰌
『かりそめの恋』
夜の銀座は 七いろネオン 誰にあげよか 唇を 龍
かりそめの恋 ああ虹の恋 ふと触れ合うた 指かなし