迎えた第4戦目。
またもや劣勢に立たされながらも、徐々に追い上げていく中央大学。
4対3の1点ビハインドで迎えた後半。1死1塁から僕がレフト前ヒットでつなぐ。
トップに帰り、超攻撃型の1番バッター・石垣が、逆転スリーランで試合をひっくり返した。
これでスコアは6対4。
苦労に苦労を重ねた東京農業大学を、遂に仕留めたのであった。
第4節を終えて8勝1敗2分で勝ち点4。
中央大学以外は、もはや自力優勝の可能性はない。
第5節で立正大学から1勝すれば優勝が決定するという状況になった。
俗にいうマジック1である。
最終節の立正大学戦。
そこにはPLで苦楽を共にした早川と嘉戸がいる。しかも、早川がキャプテンとしてチームを引っ張っていた。
対戦するのは楽しみだが、旧交を温めている余裕はない。
優勝に向けて突き進むだけの僕らにとって、個人的な楽しみを持ち込むことなど許されなかった。
第1戦。昨秋まで1部を守り抜いてきた立正大学も、数々の修羅場をくぐってきた僕らにかなうはずがなかった。
今季の僕らは、他のどの大学よりも高い目標を持っている自負があった。
終始中央のペースで試合を進め、4対2で勝利。
1997年以来の2部優勝を成し遂げたのである。
2年前は監督を胴上げしたが、今回はしなかった。1部昇格への挑戦権を得ただけで、まだまだやり残していることがあるからだ。
結局2戦目も5対2と退け、終わってみれば勝ち点5の完全優勝で全日程を消化した。
「さあ、いよいよ入替戦。2年前の忘れ物を取りにいくぞ」
僕らは2部優勝の勝利の美酒を、あえて浴びなかった。
嬉しいというより、ホッとしたという方が正しいだろう。
まさに、チーム一丸となってつかんだ優勝だった。
日替わりでヒーローが現れ、誰一人欠けてもこの成績は残せない状況だった。
MVPは、4本塁打、14打点で2冠王の石垣。
最優秀投手には、大黒柱に相応しい活躍を見せた花田。
チーム本塁打は13を数え、石垣と慎之助が4本、久保が2本、溝渕と藤原、そして僕がそれぞれ1本ずつを記録した。
視線の先には、悲願の1部復帰のゴールテープが見える。あれを駆け抜けたときには、きっと鳥肌が立つくらいの歓喜が待っているだろう。
僕らの真の戦いは、これから始まるのだ。
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