部活動に関するアンケート
 資料としては古いが、大規模に実施されたものなので参考までに載せておく。(1990.7初旬実施)
実施校     静岡県東部の中学校 6校
  回答者     中学校3年生 648 人   男子337 人   女子311人 
           教員 202人
  質問方法   生徒用(別紙1)    教員用(別紙2
 
結果の概要
  生徒も教員も、部活動の教育的意義を認めながらも、その活動、指導には悩んでいる。
  教育課程外でありながら、中学校の生活のほとんどを占めている。
なぜ、教育課程に位置づけられないのか。
  生徒も教師も休む暇がない。 
     ※臨教審(第3次答申) 部活動のメリットを強調
      文部省  部室の整備の補助を計画    
  生徒の多くはもっと自主的な活動を望んでいる。 
   
T  生徒側アンケート  
現在の部活動とのかかわり
   
   
現在のあなたの部活動について、下の表の関係するところに一つ○をつけてください。
   
部活に入っている  部活に入っていない 
試合や発表会へ参加
ほとんど出る たまに出る  途中で退部 はじめから入らない
       
  <アンケートから>   
 
  部活に入っている 部活に入っていない
静岡県の今回の調査   92.7 %  7.3 %
神奈川県相模原市  87.0 % 13.0 %
  <実態は>  
  ○文化系所属の生徒・・・・運動が苦手でできず、やむをえずの物がいる。
                     相手にしてくれない。
    ○科学部、華道部の中には・・・・「たこり部」と呼ぶ実態がある。
     
今の部活動を選んだ理由
 
   
あなたは、どのような理由から、今の部活を選びましたか。2つ○印をつけてください。
  <アンケートから>   
  男女とも「身体を鍛えるため」、「特技をのばすため」、「精神力をつけるため」がほとんどで、部活動のねらいにそった選択をしている。
    心身の鍛練、個性の伸長を目的として部活動を選んでいる。
  女子は、友人・先輩とのかかわりで選ぶ傾向が強い。 
  × しかし、レギュラークラス、補欠クラス、退部者クラスによって目的意識に、はっきり差が出てくる。
     レギュラークラス・・・・「身体を鍛える」「特技を伸ばす」・・・・・・・・目的意識が高い
     補欠クラス・・・・・・・・・「身体を鍛える」「友人・先輩のすすめ」・・・目的意識が高い
     退部者クラス・・・・・・「友人・先輩のすすめ」「学校の方針」・・・・・主体性が感じられない
    ※現在の自分のおかれている状態から判断しているところがある。
  <実態は>   
  保護者は何を期待しているのだろうか。
    相模原市の調査・・・・「集団生活の規律を身につけさせるため」
             「幅広い友人をつくるため」
   
部活に入ってよかった思うこと  
   
   
あなたは、部活に入ってよかったと思うことは、どのようなことですか。2つ選んで○印をつけてください。
  <アンケートから>   
  「多くの友人ができた」に「先輩と親しくなれた」を加えた、人間関係の成果が大きいことが表れている。しかし、
  × レギュラークラスの目的達成度意識が高いのに比べ、補欠・退部者クラスの達成度意識は低い。
  × 「試合や発表会で活躍できたか」に対して、レギュラークラスと補欠・退部者クラスで大きな差がある。
  × 「先生と親しくなれた」を上げた生徒が少なかった。 
  <実態は> 
  入部当時の意識と比べ、現実は目的達成の機会が少なく、達成感が低い。試合中心・選手中心の活動に段々魅力がなくなっていく。
  保護者はこの時点で、入部させてよかったと考えているのだろうか。
    部活の教育的意義については、ほとんどの親は理解しているが・・・・?
   
とくにつらいと思うとき
     
 問 あなたは、部活をやっていて、特につらいと思うことを、2つあげ○印をつけてください。
  <アンケートから>  
  生徒の各層の男女とも、「活動時間が長い」ことをあげている。 
  × 教師主導がかなり強い。 
  これはあとの「望むことの・・・」の問に「練習の仕方を生徒にまかせてほしい」ことにも表れている。
  × 疲れから、家庭学習、授業への影響もあげている。 
  × 女子は「仲間とのトラブル」の多いことがうかがえる。
トラブルの理由を考える必要がある。
  <実態は>  
  部活と勉強を両立できない。その力のない子が脱落していくので、レギュラーに「両立」を聞くと、「両立している」と答える。実際は大変むずかしい。
   
部活動の充実のためにのぞむこと
 
   
あなたは、部活動をもっと充実させるためには、どのようなことを望みますか。2つあげ○印をつけてください。 
  <アンケートから>  
  施設の整備や拡充を望んでいる者が多い。
  男子よりも女子の方が、教師に依存する傾向が強い。
  自主的な活動も望んでいる。
  レギュラークラスは、補欠クラスに比べて、技術指導を強く望んでいる。
  活動時間の短縮を望む声は、どの層にもあるが、補欠クラスの方が強い。
  <実態は>  
  × 全員が活動に参加したら、とてもできない状況にある。
    全員加入制を取りながら、矛盾している。
     
U  教師側のアンケート  
教師の考える部活動の教育的意義 
部活動のもつ教育的意義について、先生の考えに近いものを、次の項目から2つ選んで○印しをつけてください。
  生徒の興味・関心を発展させ、技能や体力の向上が図れる。   
  責任感や協力性が養われる。 
  学校生活を楽しくさせ、はりをもたせる。
  より深い生徒理解が得られる。
  集団生活の規律が身につけられる。
  学力だけでははかれない生徒の能力や個性が伸ばせる。 
  その他 
   
  ※本調査と相模原市の調査とほぼ同じ傾向である。
  <どう考えたらよいのだろうか?> 
  ここでいう学力、伸ばすことができる能力、個性とは何か。
  学校でしかはかれない教育的意義があるのか。
    学校でもはかる必要のある教育的意義なのか。 
   
生徒、教師、保護者の三者が等しく認める部活動の教育的意義
  @ 一人一人の生徒の興味・関心を啓き、それに集中・没頭させることによって、個性・能力の伸長を図ることができる。
  A 生徒のもつエネルギーを燃焼させ、昇華させることができる。
  B 具体的、明確な目標をめざして自分の可能性に挑戦し、困難や障害を克服することによって自信や誇りを得ることができる。
  C 自分の、あるいは部員の努力や行動で勝ち得た感動体験を味わうことができる。
  D 生徒と教師、生徒と生徒の直接的なふれあいを通して、協調性・社会性などを培うことができる。
  E 余暇の善用の生活姿勢を培い、生涯学習時代への対応の基礎的な資質を養う機会とすることができる。
   
部活動の指導上の困難点 
部活動の指導上の困難点 (悩み)については、どのようなことがありますか。先生の考えに近いものを、次の項目から2つ選んで○印しをつけてください。
  活動時間が少ない。
  活動時間が多い。
  一緒になって活動する時間が少ない。
  部員が多すぎる。
  部員が少なすぎる。
  部員の理解が得られない。
  部員同士のトラブルが多い。
  教職員の理解が得られない。
  父母の理解が得られない。
  けがの事後処理の問題。
  経験がないため、効果的な指導がわからない。
  活動場所がせまい。
  その他
     
今後の部活動の在り方について、先生のお考えをお聞かせ下さい。
  教育的意義に関すること 
  人間教育の場の一部と考えたい。
  苦しいことを経験し、それを乗り越えて'いく場面が今の生徒には必要、下積みの体験は意義がある。 
    ○顧問としての苦しさをいっしょに乗り越えることによって信頼関係が生まれる。
○問題行動のある生徒の心もひらいてやるきっかけとなり、生徒理解に役立つ。
  教育目標を達成するには、教科指導、その他の教育活動と同等の大事なものである。 
  厳しさ、楽しさ、学年を縦に通した協力性など養いたい。
  ひと昔前までは、「部活を一生懸命やる生徒は非行しない。」という考えが支配的であったが、現在では部活を嫌う生徒が増え、部活の健全な在り方について再検討する必要がある。
  教育課程に関すること 
  部活が教育に及ぼす影響は多大なものがある。だから部活の位置付けをはっきりしたい。
    ○部活を学校教育活動の別枠として活動すればよい。
○中学校の部活動の重要性がますます高まっている。
  クラブや選択教科の時問を含めて総合的に考え、ゆとりをもって部活ができるように。
  部活の全員加入制は辞めたい。 (希望者のみ)
  活動・試合に関すること
    部活は、生徒を主体として行うもので、教師は手助けをする。
技術指導も大切だが、まず自己管理をさせるよう取り組むべきだ。
    ○社会体育への移行を生涯学習の立場から強力に推進すべきである。
○学校教育の中で扱う範囲と、社会体育的な部分の区別が必要
 
    休日を含めて勤務時問外の活動となるので、地域の社会体育へ移行すべきだ。
  (地域の教育力をつけさせ、何でも学校がかかえ過ぎない。)
    中、西部では、社会体育が関連しているというが、東部ではどうか。
    ○子供の負担を、もう少し軽くしだい。
○過熱傾向がみられる結果、生徒も教師も休む暇がない。
○部活が生徒の生活をしめつけないようなものにしたい。
○時間のけじめを考え、休養の時聞をとらせたい。.(効果的な練習)
    ○中学生なので、毎日2時問程度で十分だと思う。
○正常な時間内(勤務時間内)で楽しくやらせたい。
    ○生徒の学習時間がとれる練習の方法が必要
○全員加入制で、6時すぎまで拘束するのは疑問を感じる。
○よい学級があって、よい部活動ができる。
  管理上の問題はあろうが、特に日曜日の部活に時問的制約が多い。
部活の場所を確保しなけれぱならないし、その上、時間で押さえると活動できない(野球)。
一部の当事者でない第三者の理屈でものをいってくるのにかき回されないでほしい。
  日曜日は、試合以外の練習をなしにしたい。 (生徒,教師とも)
  過熱のしすぎも考えものだが、ある程度の厳しさは必要だし、精神的な強さを身に付けさせたい。
  競争するのは当然であるが、あまりエスカレートしすぎて技能を伸ばすことのみ先行し、中学校としてかけ離れすぎた練習するのは考えものだ。 
  各種大会が活発で勝つことに重点をおき過ぎる傾向がある。
  (部費の徴収、部外コーチ、下級生、非レギュラーヘの指導不足)
    ○試合に勝つことだけでなく、「楽しむ」要素があってもよいのではないか。
  3年問続けて、そのスポーツが好きになることも大切
○選手養成ではなく、一つのスポーツを通して師弟一体となってできるような時間確保を
○全国大会は必要ない。
  全国大会に出場するほんの一握りの頂点校のために、学期末の指導がおろそかにならざるを得ない現状を見直したい。
  全中学校、同一の活動時問の中で力を競えるようにしたいものです。
  部長を中心に自主的に活動すべきものだが、実態はなかなか思うようにいかないのが現実。
  教師の指導に期待する部分が多い。
  教師の指導能力に関すること 
  部活が奉仕でも、手を抜いだ指導を見ると腹立たしい思いがする。
  教師が高校時代、大学時代に経験した種目(体育)、または興味ある種目担当になれたら、もっと指導できる。 
    ○部活動を強くしたいと思うなら、種目に精通した人材を外部から迎えることもある。
○部活が主で、学習指導が従になっている教師はおかしい。
  勤務時間・事故等に関すること 
  部活動は、教師にとり大変なことであり、単に好きでサービスしているではすまされない。
  部活指導者への手当の問題、生徒を引率すれば赤字、日曜手当が少な過ぎる。
    ○勤務時間を越えてやっているけれども、何ら見返りがない。考慮したい。
○部活指導が教師に負担、特に勤務時間以降の活動について考えるべきだ。
○土、日、勤務時問外の事故についての心配がある。
  その他 
    ○今まで通りでよい。
○女子体操も63年から平行棒が入る。年々レベルアップをはかることへの問題
○設備など不備なことが多く、予算も限られ、活動範囲が限られてしまう。
  部活を生徒に強制している学校が大部分であるが、その割には施設が不十分で効果が上がっていない。