電気と磁気の橋渡し(エルステッド 1777〜1851)
 
 1819年のある冬の日、エルステッド(デンマークの科学者)は、電気学の授業を終えて、実験装置の電源スイッチを切った。そのとき、そばで片付けをしていた助手が、導線の近くにあった磁針がかすかにふれるのを見た。
 助手は、この磁針の動きがふしぎでならなかったので、実験装置や器具をあれこれ動かしてみたが、針はそれ以上は少しも動かなかった。そこで、そのことをエルステッドに報告し、その原因についてたずねた。
 助手の報告を興味深く聞いていたエルステッドは、そのとき頭にひらめくものを感じ、回路のスイッチをもう一度、入れたり切ったりすることを命じた。
 その結果、彼のひらめきはみごとに的中し、スイッチを入れたり切ったりするたびに、磁針が瞬間的に左右にふれ動いたのである。 
 その後、さまざまな実験を繰り返して、導線に通した電流が磁針に力をおよぼすことを明らかにして、電流と磁石の相互作用をくわしく研究するきっかけをつくることになったのである。
 電気と磁気とはまったく別のことがらと考えられていた時代のことでありり磁針のふれと電流とを関連づけたエルステッドのひらめきは、偉大なことである。