作用・反作用の指導上の問題
 中学校での「物体間ではたらく力の学習での、「つりあっている2力」と「作用・反作用の2力」の区別は、生徒達にとって実に難解な学習である。そもそも学習指導要領及び解説書には、「作用・反作用(の法則)」の語句の記述はない。にもかかわらず、教科書各社は「作用・反作用(の法則)」の語句をかかげ、その違い・区別を記述している。
 そこで、「作用・反作用」の学習を整理検討してみた。 
T 学習指導要領上での扱いと問題
(5) 運動とエネルギー 
 ア 運動の規則性  
 (ア) 力のつり合い
   物体に働く2力についての実験を行い、力がつり合うときの条件を見いだすこと。また、力の合成と   分解についての実験を行い、合力や分力の規則性を理解すること。
 とあるだけで、ここでは「作用・反作用」の語句はない。
ただ、内容の取り扱いでは、
 ア アの(イ)については、
   物体に働くとき、反対向きにも力が働くことにも触れること。
 とある。暗に「作用・反作用」に触れることを示唆している。
しかし、解説書では、
  例えば、ばねばかりつる巻きばね、輪ゴムなどを用いて、1点に働く2力がつり合うときのそれぞれの力の大きさと向きを調べる実験を行い、力のつり合う条件を見いださせる。このとき、綱引きなどの体験と関連させながら2力のつり合いについて考えさせる。
  その上で、2力のつり合いが身近に存在していることを、例えば、机の上に静止している物体に働く力について考えさせ、下向きに働いている重力とつり合うように机の面が押し上げている力があることを理解させる。
 とあり、「作用・反作用」の語句を記述して、はっきりと説明していない。
記述されている「重力」と「机の面が押し上げている力(抗力)」は、つり合っている2力であり、作用・反作用の2力のつり合いではない。
◆課題及び問題
 @実験することになっている。 → 教科書は、説明実験にとどまっている。
※学校では、生徒実験としては、やりにくい実験
  → 説明だけになりがち、あえて教師実験として行われる。
 A授業の展開は
    体験の例示と確認 → 現象を追体験する → 教師の説明
  ※教師の説明的授業になる。 
 ※すべての教科書で「つり合っている2力」と「作用・反作用の2力」を説明しているが、「力」が実験として確認できないので、難解である。
U 体験のいろいろ
1 台車に乗った場合の考察 
 A 
 B 
@
   
   
   
   
 
     
2 机の上の物体の考察