上皿てんびんの製作  (つり皿から上皿てんびんへ)
1 課題点と工夫点
 つり皿天びんを、上皿てんびんに作り変えるには、てんびんを、もう少し注意深く見ておかないとできない。
 つまり、右の図アでは、左右の皿の中央に、同じ重さのおもりをそれぞれおくと、うでは水平となり、支点とカ点との距離は、
   X=Y となっている。
おもりを、図イのように、皿のはしにおいても、この関係は変わらないが、このとき、よく注意して見ると、皿が少し傾いでいるのがわかる。
 しかし、これによって、うでは水平につりあい、支点からの力点までの距離は、いぜんと X=Y となっているのである。
 ところが、つり皿を単にうでの上に移し、図ウのように、1点に重さがかかるように見かけ上はしても、力点が固定されてしまっていると、皿のはしにおもりをおくと、ただちに、 X=Y の関係がくずれるから、つりあわず、傾いてしまう。
 つり皿のどこにおもりをおいても、いつもおもりの重さが力点に鉛直にかかり、支点から力点までの距離が変わらない(X=Yにしておく)ためには、もう1本うでを用意し、右下の図のような構造にしなければならない。 
 事実、実際の天びんの台の内側には、うでがもう1本入っている。全体が平行四辺形になれば、うでがどのように傾いても、たて軸はいつも鉛直になり、X=Yになる。
 つり皿てんびんを上皿てんびんに作り変えるのは、子供たちだけでは、なかなかむずかしいが、教師側で、ある程度材料を準備し、適切な指導をすれば、子供自身が作ったつり皿てんびんを上皿てんびんに作りかえることはできる。
 子供にやらせないまでも、演示用として、1つ作っておくとよい。
 
2 材料(できるだけ、身近な素材でつくるために)
 牛乳パック(1リットル)  丸形端子(電気工事用)3.8φ 4個
 うでになる角棒(40〜45cm) 1本  目玉クリップ 2個
 プラスチック容器(皿として)  セロハンテープ 少々
 ストロー 8本  両面接着テープ  少々
 竹ぐし 15cm 4本  糸 または ゼムクリップ 少々
 ようじ  または  くぎ 4本  乾電池(おもりとして) 2個
3 各部品の製作
皿をのせるたて軸をつくる。
@ ストロー3本を、上の図のような寸法に切る。
A それをセロハンテープでたばね、これを2組つくる。
B くぎを使って穴をあける。
下のうでをつくる。
@ 丸形端子と竹ぐしで下のうでをつくる。
※ストローでつくってもよい。
※長さを上のうでの支点から力点までとする。
4 上皿てんびんへのつくり替え
@ 牛乳パックに、うでや竹ぐしを通す穴をあける。
※子供には、穴をあける型紙(右図)をつくっておく。
A 左右の下のうでを、牛乳パックに、竹ぐしで通す。
B 左右のたて軸を、ようじか釘で上と下のうでにつなぐ。
C 左右の皿を両面接着テープでつける。
目もりをつける。
必要なら、右図のように目もりをつくるとよい。
5 市販のてこも、上皿てんびんへ
 市販されているてこも、同じように部品を取り付ければ、上皿てんびんに変えることができる。
6 活用の仕方
 グループの中で1人が正規の上皿てんびんを使い、あとの者は、自作のてんびんを使うようにする。
  (正規のてんびんは、順番に使うようにする)
◆おもり作り
 1円玉は、1gであることを教えておく。(50円玉は4gとしておくことの方がやりやすい。)
 各自、ねんどを使って、1g、2g、5g、10gのおもりを作らせる。
    ※50円玉を基準にしたときは、4g、8g、20g、40gのおもりを作らせる。
正規のてんびんを使っている者は、上のおもりの正確な重さを測らせる。
◆重さあて
 いろいろな重さのものき用意し、その重さをはかってお<。
    ※2gとか、16gとか、整数のg数になるものが望ましい。
1円玉をおもりにして、それらのものの重さを測らせる。
あらかじめわかっている重さと比べさせる。 ※正規のてんびんを使っている者も同じようにする。