手動オシロスコープ
  
 音の学習で、子供たちがいくつか理解が困難な問題がある。
 その一つに、物体のふるえ(音)の記録としてのオシロスコープがある。
1 音の波形の学習の困難点
@  子供は、音の大小は、ふるえの巾の大きさ(振幅)であることは、容易に推測理解できるが、音の高低が一定時間内のふるえの多少(振動数)であることは、なかなか理解が困難である。
 どうしても「波形」の考えを持ち出さないとならなくなる。
A  ところが、いきなりオシロスコープを持ち出して波形を見せても、子供にとってオシロスコープはブラックボックスなのである。オシロスコープの原理を多少なりとも理解させながら学習を進め.る必要がある。
 
2 オシロスコープの理解を助ける方法
振るえているものに、ボールペンなどの芯をつけ、紙などに記録する方法
  @ 実験用音さを使う。 
    右上の図のように、実験用音さの片方に、ボーールペンの芯をセロハンテープで固定して振動させ、紙に軽くこするようにして記録する。
    → 振動は長く続くが、小さいのでわかりにくい。
A ピンセットを使う。  
振幅は大きいが、すぐに振動が止まってしまう。
→ すばやく実験する必要がある。コツがいる。
B 市販されている波形説明器を使う。
  紙に記録する方法は、オシロスコープの原理を理解するには、わかりやすいが、いずれにしても、振るえる先を紙に押しつけるので、振動が小さくなり、また止まってしまう。
 
振るえているものに、LEDをつけ、眼の残像を利用して波形を見せる方法
  C  右の図のように、ピアノ線で作った音さの片方の先端にLEDをつける。  
     LED〜点灯させ、手で音さをはさんではなし、振るえさせて、水平に音さを動かすと波形が見える。。
3 Cの材料
 ピアノ線  2mmφ 長さ 50cm
 角材  巾2×厚さ2×長さ10cm
 アルミニウムなら、角材 か 丸棒
 LED (色は緑がよい)
 タッピングネジ
 細い導線 や 乾電池2個、ビニールテープ
 必要なら 定電流ダイオード  
 長さ3cm熱収縮チューブ 4個 
 
4 Cの作り方
  (アルミニウム角材を使って)
@ にぎり部になるアルミニウム角材に、2.0mmφ(できれば、ピアノ線より小さい穴1.9mmφ)の穴をあける。
  A さらに、ピアノ線を固定するネジをねじこむ穴をあける。(上の図を参照)
B ピアノ線を@の穴に通し、注意してU字型に曲げていく。(U字より少し開いた状態につくる。)
C ピアノ線の一方に、3cmの熱収縮チューブ4個を通し、端の一つにLEDの一つの足を、LEDがU字の内側になるように通して固定する。
     ※LEDの足の一つをピアノ線に接触させ、ピアノ線を導線として利用する。
  D LEDのもう一方の足に、細い導線をハンダ付けし、残りの熱収縮チューブに通して、にぎり部へもってくる。
  E ピアノ線のU字の根本近くに、導線を接触させ、Dの導線とたばね、にぎり部にビニールテープで固定する。 
    ※2本の導線の先は、乾電池につながるように長めにしておく。
F LEDは、約3Vで使用するが、回路の途中に定電流ダイオードを直列に入れておけば、LEDの保護になる。
5 実験法
@ ピアノ線の両方の先端をつまむようにして、縮め、指をすべらせるようにしてはじけばピアノ線が振動する。(こつがいるので練習する)
  A 振動したら、すばやく水平に動かせば、上の写真のような波形が見られる。