メダカの飼育と観察
 次のようなことが、よく問題になる。
メダカの飼育がうまくいかない。
メダカの産卵のようすが見られない。
水温とメダカの成長との関係がうまく観察できない。
1 教材としてのメダカ
 メダカの分布−−−北海道を除く日本全域の平野部の池、沼、小川に住んでいる。
 飼育品種−−−ヒメダカ(i(入手しやすく、産卵数も多い)、アオメダカ、シロメダカ
 水温や水質に対する抵抗力が強い。
 人工の光をあて、水温を25℃前後に保てば、1年中、卵を産み続ける。
×  野外から採集してくる場合、ウグイ、オイカワなどの稚魚と間違いやすい。
2 メダカの飼育と水槽
 野生のメダカは、水温15℃ぐらいにならないと、活動をはじめないので、4月早々入手するのは困難
  →→→ 教室で常時、飼育しておく必要がある。
 水1gに10匹が限度(秋・冬は少し多くてもよい。)
 水槽は、空気に触れる水面が広く、ガラス製がよい。水槽の一面は黒い紙でおおい、光が入らないようにする。−−−メダカが安心する。
 えさ−−−@生態系をつくる。
          イトミミズやミジンコなどの生きえさが最良
          (ミジンコなどの微小生物は、田の土を一握り入れればよい)
        A乾燥コジンコ、熱帯魚の稚魚用飼料
          食べ残さないように−−15分ぐらいでなくなる程度
 卵をつけて泳ぐ雌を見つけることは容易である。
 卵は水草にこすりつけるように産み落とす。
 親メダカは、卵や稚魚を食べてしまう。(3mm以下のときは注意) 
→→→ 卵をかかえた雌メダカを隔離し、産卵後、雌メダカも隔離する。
 しかし、卵をつけた親メダカをすくいあげて採ると、親メダカを弱めたり、キズつけたりしてしまう。
→→→ 産みつけられた水草ごと隔離する方法がよい。
 下の図のように、産卵する箱つくり、水槽に入れる。産卵箱には水草を1束入れるが、水槽本体の方へは、水草を入れない。
 ※産卵箱は、台所用プラスチック容器を利用して、数個つくるとよい。
 産卵箱の入り口のふたはあけておき、卵をもった雌が、箱の中の水草に近づいて産卵したら、雌を水槽本体の方へ移し、産卵箱のふたをしめる。
 産卵箱を水槽から出し、別の水槽に水草を出す。産卵箱には別の水草を入れ、もとのメダカがいる水槽にもどす。
 これをくりかえす。
3 産卵を授業中に観察する方法
自然状態 −−− 明け方なので授業中では観察できない。
明け方を人工的につくる。
@  右の図のように、メダカの雌と雄を水槽に入れ、2日前ぐらいから、この水槽全体をダンボールなどでおおって暗くしておく。
 (えさは十分与えておく。)
A  授業のはじまりで、このおおいを取り、明るくすると、5〜20分ぐらいで産卵する。
4 卵の変化(発生)の観察
  次の例は、水温25℃前後で飼育した場合のデータである。
2日後‥‥‥‥‥付着毛の反対側に、杯が現れてくる。
3日後‥‥‥‥‥胚が大きくなり、白っぽい目が現れてくる。
5〜8日後‥‥‥黒い目が大きくなり、心臓が現れ、血流も見られる。
8〜10日後‥‥‥メダカの形をした子魚が動くのが見られる。
10〜12日後‥‥卵がふ化する。はじめは底の方に沈んでいるが、やがて泳ぎ出す。
5 卵のふ化の観察と飼育
@  ふ化したばかりの稚魚は透明で体を曲げているが、やがて体を伸ばし泳ぎ始める。
A  稚魚は、はじめ腹に卵黄の入った袋をつけているが、この卵黄は、2〜3日するとだいたい使い果たされる。その頃からえさをやるようにする。
B  稚魚のえさは、ゆで卵の黄身を布で包んで水中でもみ出すようにしてやる。粉ミルクを小さじ1杯ほど入れてもよい。
C  体長1mmぐらいまでの稚魚は、水温の急変に弱いので、水をかえない。
6 水温の変化とメダカの成長
@  水温の変化によって、卵の産み方や、ふ化までの日数の違いを調べようとするとき、実は、4〜5月では水温の差をつくるのがむずかしい。
 (水温を30℃近くまであげられない。)
A  そこで、メダカの教材を2〜3月に実施することも一つの解決策である。
 20℃とか、25℃というように水温を保ちやすい。
水温の違いによるメダカの発生については、次のような記録がある。
◆6月10日開始
日数 2日目 10 13 14 17
水温℃ 17.5 16.9 18.0 18.0 23.0 28.0 21.0
変化 胚体 眼球 心臓
はく動
むな
びれ
回転
運動
口器
動かす
ふ化
◆7月5日開始
日数 2日目
水温℃ 23.5 24.5 22.0 25.0 24.0 23.0
変化 胚体 眼球 心臓
はく動
むな
びれ
口器動かす
回転運動