エジソン効果実験器(二極真空管)
 
 二極真空管におけるP〜K間を流れる電流の測定観察に、従来、市販の二極真空管を、まず、ガラス部分を割って内部構造を観察理解させ、ついで、真空管記号を教え、電流がどんな条件のもとで流れるか、実験し考察した。
 生徒は、真空管の内部構造を観察したとたん、真空管は特別なものであるという意識を抱くようで、あとの学習に抵抗がでてくる。
  そこで、J・Aフレミングの実用真空管をすぐに持ち出すのはさけ、そのもとになっているエジソンの実験(エジソン効果)を再現し、真空管の発展の歴史を通した探究を進めてみた。
1 工夫と作り方
自動車ヘッドライト用電球(2つフィラメントがある電球)を利用する。
   エジソンは、自分が発明した白熱電球の中に、もう一つの電極を封入し、その電極と白熱している電極(フィラメント)とを結び、その途中に検流計を入れて、P〜F間に電流が流れることを発見した。このときの電流はわずかであったと思われるが、測定にエジソンがどんな検流計を使用したのか、私は知らない。  
    現在、このエジソンが行った実験をそのまま再現するのは困難であるが、それにできるだけ近いもの、つまり、白熱電球のフィラメントの近くにもう一つ電極がある電球を利用することによって、ある程度、目的が達せられると考える。
   白熱電球の中に、電極が封入されているものが市販されているのを聞いたことがない。そこで思いついたのが、自動車のヘッドライト用の電球の2つのフィラメントのうち、一つを切ることによって、それに近いものを作った。
   たわいもないことであるが、これによって普通の白熱電球と真空管とが、ごく近いものとなり、生徒の印象も身近なものになった。
     
2 使い方(学習の進め方) 
  必要なもの
 自動車ヘッドライト用電球
 マイクロアンメーター(検流計)
 直流電源
 導線
  ◆学習の進め方
   次に、詳しく記述できないが学習の流れを箇条書きにしておく。
  @   右図のように用意した回路において、検流計の針がふれることと、ふれる方向を観察する。
  A   F→A→検流計→Pの方向に電流が流れることから、P〜F間についてどんなことが起こったか。
    生徒は、A電池による電流と考えるので、A電池の方向を吟味させた) 
  B   フィラメントの白熱に関係あるらしいと考えはじめたら、それを確かめるために、A電池の電流を切ってみる。→検流計の針は動かない。 
  C   A電池の電流をしだいに増加していくと、針のふれがそれにつれて大きくなる。フィラメントの色温度と検流計の針のふれ方に気づくようになる。 
  D   フィラメントの温度が高いと、なぜP〜F間に電流が流れるかを考察する。→熱電子
  E   B電池を入れて考察する。
  F  電流を大きくする条件を考察する。
→→材質を考える。→→実用化できることを考える。