アクリル板の工作法 (1990) |
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私がアクリル工作をはじめたのが、昭和44年(1969)ごろで、まだ、誰かがそんなことをして実験器具作っているのを聞いたことがない時でした。工作用のカッターも曲げる道具も、もちろん市販品がない時代で、道具をすべて自作しました。町の看板屋さんがようやく高価なアクリル看板を作りはじめた時でした。私も熱海の看板屋さんに工作法や道具について教わりにいきました。 |
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アクリル板や塩化ビニール板を使った実験器具や立体的なTPが多く市販されている。理由はいくつかあるでしょうが、何よりも加工しやすく、目的にあった器具を作りやすい点にある。少し練習すれば、かなり複雑なものも短時間に作ることができる。今は、透明なものからいろいろな色のもの、鏡、板状のもの、棒状、パイプ状のものと、各種あり、工夫しだいで多様な実験器具やTPを作ることができる。 |
また、アクリル板(透明)の光の屈折率が1.49で、ガラスとほぼ同じであり、絶縁性、耐酸、耐アルカリ、耐水性に優れているが、熱に弱く、少し単価が高い。 |
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1 材料など |
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@ アクリル板 |
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○ 今は、いろいろなところで売っている。(昔は看板屋さんにわけてもらった) |
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○ 厚さもいろいろあるが、厚くなると高くなる。 |
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○ 塩化ビニール板は、アクリルより安価だが、アクリルより透明度が落ちる。 |
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A 接着剤 |
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○ ジクロルメタン または 1・2−ジクロルエタン |
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○ アクリル板の切りかすを少し溶かしておく。 |
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○ 塩化ビニールの接着剤は、シクロヘキサン |
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B 道具など |
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○ カッター(今は、市販されている) |
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○ 曲げヒーター (700円ぐらいで自作できる) |
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○ 注射器 または スポイト |
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○ 金属みがき……ツヤ出しで、普通は必要ない。 |
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○ グラインダー……刃物研磨機があると非常に便利 |
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○ その他 |
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2 アクリル板の切断 |
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薄いものは、カッターでひっかくようにしてキズ(溝)をつけ、机のカドなどを利用して、ガラスを折る要領で折ればよい。 |
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※厚さの1/3ほど溝をつければよいが、慣れないうちは半分ほどキズをつけてから折るよ うにする。 |
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A |
厚いもの または 曲線切り …… 糸のこなどを利用して切る。 |
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B |
穴あけ …… ハンドルがよい。電気ドリルは重くてつい力が入り、アクリル板を割ってしまう。 |
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3 アクリル板の接着 |
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接着面を1図のようにぴったり合わせ、注射器を 利用して接着液を流し込み、しっかり30秒ぐらい 押さえておく。 |
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なお、接着面がせまいときは、2図のように三角 形の補強材をあてて接着するとよい。 |
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4 アクリル板の曲げ方 |
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アクリル板は、150℃ぐらいでやわらかくなり、 簡単に曲げることができる。 |
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ヒーターを利用する場合(3図) |
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A |
型を作って曲げる場合ゆっくり冷やす方がよい。 |
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5 断面を磨く |
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水ペーパーや砥石で磨いたあと、金属みがき(ピカールなど)で磨くと光沢が出てきれいになる。 |