尿糖試験紙を利用した光合成の実験
 光合成の学習では、生成したデンプンや取り込まれる二酸化炭素が実験の対象となるが、ブドウ糖が対象となることはない。ブドウ糖を検出する方法として尿糖試験紙を用いる方法があるので紹介しておく。やや値段が高いのが難点であるが、陸生植物を利用して光合成が観察できる。
1 尿糖試験紙について
@  尿中のブドウ糖だけを検出する。
A  ブドウ糖酸化酵素、過酸化水素分解酵素、オルト・トリジンをしみこませた黄色の試験紙である。ブドウ糖を含む溶液に触れると緑青色に発色する。
B  0〜2%以上のブドウ糖の定性・定量に用いる。
C  リトマス紙感覚で扱え、わずかな資料で比色定量が可能であり、尿中のブドウ糖だけを検出する。
2 尿糖試験紙を使ってできる観察実験
植物の種類による糖濃度例
植 物 糖濃度
   
トウモロコシ 2%以上
イヌワラビ 0.5%以上
ゼニゴケ 0.1%以上
@ 植物体内で生成される糖の確認
A 植物体内を移動する糖の確認、及び師部の場所の確認
B 光の強さや温度と生成される糖の濃度
3 準備するもの
 尿糖試験紙(テステープー塩野義製薬) 1箱
 調べる植物  
 ビニール袋(黒と透明) 各1
 二酸化炭素検知管 数本
4 実験1<植物の種類による糖濃度(光合成量)の違い>、および、師部の確認
@  光がよくあたった植物の茎を切り、その断面を尿糖試験紙に押しつける。
 ※時刻によって、糖濃度が変化する。
A  尿糖試験紙の発色の様子から、糖のある場所(師部など)が確認できる。
5 実験2(日光と糖濃度の関係)
@  鉢植えにした植物(ホウセンカ、サルビアなど)一昼夜暗室におく。
A  暗室から取り出し、10〜20分ごとの糖濃度を茎の断面で調べる。(根も調べてみる)
 ※鉢植えを数鉢用意して光の強さを変える実験をすると、光の強さとの関係がわかる。
 ※光の強さが、ある程度になると、糖濃度が一定になる。(光飽和)
6 実験3(二酸化炭素と糖濃度の関係)
@  鉢植えの植物を、黒いビニール袋で、一昼夜覆い、植物体内のブドウ糖をクリアする。
A  黒いビニール袋を透明なビニール袋に替え、呼気を満たし、光をあてる。
B  2時間後とに、検知管で二酸化炭素濃度を、尿糖試験紙で糖濃度を調べる。