理科学習の事故および不慣れな器具操作
 
 理科の観察実験で起きた事故について、だいぶ以前に調査された結果があるので、参考までにまとめてみた。
◆ 事故事例 (危険性の高い順に)
1 ガラス器具の取り扱いやガラス細工のときの事故 
@ ガラス器具の洗浄のとき
ブラシを使いながら、力を入れすぎてビーカーを割ったり、試験管の底を突き破る。
A 落下や転倒によるガラス器具の破損からのけが。
B ビーカー内の溶液をガラス棒で撹拌しながらビーカーを倒したり、ガラス棒でビーカー内のかたまりを押しつぶそうとして、ビーカーの底を突き破る。
C 小学校では、普通教室への器具運搬が多いせいか、運搬中の事故が多い。
D ゴム栓にガラス管を通すとき。
E ガラス細工のとき、不注意に熱いガラスに手を触れたための火傷が多い。
2 アルコールランプおよびガスバーナーの取り扱いのときの事故 
 アルコールランプによる直接の事故は、流出したアルコールへの引火により、衣服をこがしたり、火傷を負ったりした例である。
@ 転倒による事故
×筆箱など不安定なものを台にした事故。
A アルコールの入れ過ぎや、逆に不足したための事故。
B アルコールランプからアルコールランプへの点火。
C ガスバーナと三脚を使用した実験の直後、それらに触れての火傷。
3 塩酸に関する事故 
@ 容器の取り扱いの不注意によってはねたり、こぼしたりすることが多い。
×薬品びんの転倒、机下からの落下。
×びんのせんをとるときの吹き出しや、撹拌中のはねたもの。
A 金属との反応をみる場合、不適当な濃度や使用量による突沸や試験管からのあふれ出し。
4 水酸化ナトリウムに関する事故 
@ 薬品びんの転倒、容器に移すときのこぼれ、撹拌中の飛沫による事故。
A 机上にこぼした水酸化ナトリウムに触れたり、また、味をみる際、誤って濃い溶液を使ったための事故
B 器具の洗浄の際に、これがついていると手をすべらせ、器具を破損することがある。
5 水素に関する事故 
水素の燃焼を見せるため、教師の演示実験として行われたときの事故が多い。
@ 水素の発生装置のガス誘導管に直接点火する場合。
×このとき、発生装置内に水素と空気の混合気体があるとガス誘導管に点火した火は装置内まで引火し、大爆発する。
×フラスコを用いた大型発生装置の事故が多い。
6 酸素に関する事故 
@ 二酸化マンガンに過酸化水素水を加えたとき、装置の破損、薬液の飛散。
×濃い過酸化水素水をそのまま使用してしまったとき。
×二酸化マンガン、過酸化水素水を過剰に入れたために、反応が急激に起こったとき。
A 過酸化水素水をうすめるために、びんの栓をとろうとしたとき、栓とともに薬液が吹き出し、手に薬傷を負う事故が多い。
7 理科工作に関する事故 
@ 小刀、カッターなどによる切り傷の事故
A ハンダごてによる火傷